第12話 彼氏が出来たら、友達とちょっと距離が出来た気がする・・・
「アッコ~?」
「なに~?」
「今日はアイツの所に行かないの?」
「今日はサッカーの練習って言ってたから」
「本当にあいつと付き合ってるの?」
「なんで~? 付き合ってるよ」
「なんか、あんまりに急で・・・」
「わたしもびっくりしてるけど」
「あいつの事、優しい感じだけど特に好きとか、何にも無いって言ってたじゃん」
「まあそうなんだけど・・・ あんなにストレートにはっきり好きって言われたらね~」
「好きって言われたから、好きになっちゃったの?」
だって、あんな素敵な経験したら、誰だって好きになっちゃうよ。
「やっぱり、あの日かな・・・ 仲間外れにされて、辛くて体育館で座ってたら、こっちをまっすぐ見つめてるなって思ってたら、ズンズン私の方に歩いて来て『行こう!』って言われて、ちょっと強引だったけど手を引っ張られて、私のことあの場から連れ出してくれて・・・ なんか、強引にあんな風にされて、ちょっとドキっとしちゃったし。 それに、その後に貰った手紙が・・・」
「手紙?」
そうよ、あんな手紙反則だよ。
愛してるなんて言われたことないモン。
それに、クリクリの目とか、サラサラの髪が素敵とか・・・
もう、そんなに私の事好きなのかって、めっちゃ彼の気持ちが伝わって来たんだモン。
「もう、こっちが恥ずかしくなるような内容でさ~ キャ~! もう! 思い出しただけでも、ダメ!!」
「そんな素敵な手紙だったの?」
「希美・・・?」
「なに?」
「愛してるなんて言われたことある?」
「なに・・・それ? 付き合っても無いのに・・・」
「もうずっと好きだったんだって。 初恋だって! 一目惚れだったんだって!! それで、俺が守ってヤルって。 それにね・・・」
「それに?」
「私がずっと学校行くの嫌だったの気づいてくれてたの・・・ それに気づいてくれてて、守ってくれるって・・・」
「まあ・・・実際、この2週間あいつらからなんか言われても、全部佐久間が追い返してるもんね」
そうだよ、彼はずっと私のことを見ていてくれたんだ。
ずっと前から見守ってくれてたんだよ。
希美がいっつも一緒だから、恥ずかしくて告白出来なかっただけで。
ずっと、彼は私のこと思ってくれてたんだもん。
「何か、前は優しいだけで、女の子みたいでちょっと頼り無いなって思ってたんだけど。 この間、告白された日から急になんか男の子っぽくなっちゃって、なんかめっちゃカッコイイんだ~ もうね、佐久間君のこと大好きなの!」
「まあ・・・ 妙に大人っぽい言葉使ったり、甘い言葉とか・・・ でも~ あいつそんなにカッコイイ?」
「カッコイイじゃん!」
「別に背も低いし、ひょろひょろだし、何かなよってて頼り無いじゃん」
「なんかさ~ 佐久間君と一緒にいると、少女漫画の主人公になったような気持ちにさせてくれるだ~ 俺が守ってヤルから、俺のソバにいろって、すっごい男の子らしいもん」
「まあ・・・確かに・・・ この間谷口を投げ飛ばした日から、あいつなんか雰囲気違うよね。 でも、そんな急に大好きになっちゃうもの?」
「う~ん・・・ 自分でもびっくり。 彼に好きって言われて嬉しかったけど、よく気持ちが分からなくて戸惑ってたけど。 あの日、一緒に帰った後に、マクドナルドで佐久間君と話しているうちに、好きなのかもって思っちゃったんだもん」
彼のカッコよさは、外見だけじゃないモン。
大人っぽくて、なんか余裕があって、どっか知的な感じで、それでいて優しくて。
でも・・・今はなんか外見もカッコよく見えちゃう。
「一緒にマック行ったの?」
「うん、シェイクとポテトおごってくれたの~ 何か大人っぽくない?」
「食べ物につられたんだ・・・」
そんなことないもん・・・
ポテトは美味しかったけど。
マックで普通に店員さんと話しして買い物してる姿もめっちゃかっこよかったんだもん。
「ちがうもん! 彼の言葉が、気持ち整理するのに凄いしっくり来たんだもん。それに彼の部屋で、お姫様抱っこみたいに体抱えられて、そのまま彼の膝の上で、抱っこされた時に、ああこの人好きかもって思っちゃたんだモン」
「イヤラシ・・・」
もうなんだよ?
この間からヤラシイって・・・
たしかに佐久間君、ちょっとエッチだけどさ。
「ヤラシクないもん! なんか彼の膝の上にいると、お父さん見たいで安心するんだもん・・・」
「チビなのに?」
「背は小さいけど・・・ 抱っこされる時は、力強くて、なんか大人っぽくて、こう包容力みたいのがあるんだよ」
「分からないな~」
「別に、佐久間君の良いところはわたしだけが知っていれば良いんだモン」
「ねえ? アッコ? 付き合ってるのに、ずっと佐久間って呼ぶんだね?」
「なんで?」
「名前で読んだりしないの?」
「えっ? 名前で・・・?」
「だって、付きあってたら、名前で呼ぶもんじゃ無いの?」
「そんな名前で読んだら、付き合ってるのが皆にバレちゃうもん」
そんな、アキラなんて・・・
恥ずかしく呼べないよ。
「バレちゃうもんって・・・ もう結構手遅れのような気がするけどな~」
「えっ? バレてる?」
「バレてるよ。あんな普通に二人で一緒に帰ったりしてさ」
「えっ? そんなに見られてたの?」
佐久間君が一緒に帰ろって言うから。
嬉しくって、一緒に帰ってたの見られてたのか。
「気づかないくらい二人の世界に入ってるからよ」
「だって、ずっと一緒に居たいんだモン」
「抱っこされて、抱きしめられて、ほっぺにキス?」
「なに? ダメなの?」
「イヤらしい・・・」
「ヤラシクないもん・・・ 子供出来るようなことはしてないもん」
もう! 希美!
なんでそんなこと言うの?
「ん? そうだ! 希美のお兄ちゃんって彼女とどんな事してたの?」
「言いたくない・・・」
「なんで? 教えてよ~」
「ヤダ! 知ってどうするのよ!?」
「佐久間君が興味あるかもしれないから・・・」
「ダメ! あんな事絶対ダメ!」
「希美・・・?」
あんな事?
「ダメだよ・・・あんな事しちゃ・・・」
「そんなにダメなことだったの?」
どんな事してたんだろう?
「だって、お兄ちゃんの彼女、すごい痛い痛いって、泣いてたんだもん・・・」
「痛いの?」
「分からないけど・・・ずっと、痛い、痛いって・・・ずっと泣いてて、可哀そうだった」
「泣いて痛いって言ってたのに、止めてくれなかったの?」
「なんか、お兄ちゃんは、ずっと・・・」
「佐久間君はそんな酷いことしないよ・・・」
佐久間君はそんな痛いことしないよ。
私の事大事にしてくれてるもん。
「分からないわよ! 男は皆獣なんだよ」
「獣って・・・ そんな、ショックだったの?」
「だって、お兄ちゃんが、女の子にあんな酷い事するなんて・・・」
「だいじょうぶだよ。佐久間君、私の事大事だって言ってくれてたし。そういうことは高校生くらいまではしないって言ってくれたし」
「佐久間がそう言ったの?」
「うん、そうだよ」
「ふ~ん・・ あいつ知ってるのかな?」
「なんか、知ってるような雰囲気だったし。お姉さんもなんか、もう経験ある見たいだった」
「あいつ姉ちゃんいるのか・・・ 何か見たのかな?」
「すっごい綺麗なお姉さんだったけど。 お姉ちゃんから教えて貰ったとかは無いって言ってたよ」
「ふ~ん」
「今度の土曜日は、彼と一緒にルスツ行くんだ~」
「えっ!? 二人で?」
「佐久間君のお姉ちゃんの彼氏が車で連れてってくれるんだって」
「あいつの姉ちゃんの彼氏の車?」
「うん、お姉ちゃんカップルと、私達でダブルデートだって」
「へ~ なんか羨ましいな・・・」
「希美も藤澤君に気持ち伝えれば良いのに」
「ダメだよ。藤澤君はアッコのこと好きだもん・・・」
「あっ!? そうだった・・・」
ヤバっ!
ごめん、希美・・・
「なに?」
「ごめん・・・ 佐久間君が、そっか・・・ごめん・・・」
「なに?」
「佐久間君が、藤澤君が私の事好きっだって言ってたかも・・・」
「ほら、やっぱりそうなんだよ。みんなアッコの事が好きになるんだモン」
「でも、本人から聞いたわけじゃないから・・・」
「そんなの、藤澤君のここ数日の顔みてたらわかるよ・・・」
「希美・・・」
そんな藤澤君が好きだったんだ・・・
なんかゴメンだよ。
「別に気にしなくて良いよ。私そんな彼氏とか欲しく無いし」
嘘ばっかり。
「でも、さっき羨ましいって・・・」
「それは、アイツが思った以上に、アッコのこと大事にしてるから・・・」
「うん・・・めちゃくちゃ大事にされてる気がする」
佐久間君・・・会いたいな。
一緒にゲームしたいな。
「もう!! コイツ!! そういう幸せそうな顔するから羨ましくなるんだよ!! ヤメロ! その顔!!」
「ゴメン! ゴメン!! ヤメて・・・ちょっと、希美・・・ くすぐったいよ!!」
「ふん! 腹立つからやめてあげない!!」
「イヤ~!! ヤダ、ヤダ、ヤダ!!! ヤメてよ~!!!」
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