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第112話 小沼・・・お前、純度100%のツンデレ少女なのか?


 はぁ~ こんなに学校って楽しく無いところだったんだな。

 完全に虚無・・・今日はなにもヤル気起きない。


「佐久間?」


 もう・・・無理・・・


「佐久間!!」


 はぁ~ アッコちゃん・・・


「佐久間ったら!!」

「なんだ!? お前はさっきからうるさいな!!」


「早いって!! 私に合わせる気ある? さっきから、ボ~っとピアノ弾いちゃってさ~」


「はぁ~」


「なによ!? いきなり溜息とかめっちゃ失礼なんだけど! アコがいないだけで、なんでそうなるのよ!?」

「・・・・・・」


 当たり前だろ・・・

 アッコちゃんがいないなんて、アトラクションが全部休止中の遊園地に行くようなモンじゃないか。


 何が面白いのかさっぱりだよ。

 はぁ~ 風景が全て灰色に見える・・・


「ちょっと!! 佐久間~ あっちゃん!!」

「うるさい・・・」


「ちゃんと練習見てよ~ 他の組の女の子ばっかり優しくしてさ~ 何なの!? 私のパートナーでしょ!?」

「・・・・・・」


 パートナー? 俺が? お前の?

 俺のパートナーはアッコちゃんだけだが?


「ねえ~え!? 聞いてる!?」


 キン、キン、キン、キン、うるさいな~

 お前がコソ連して、ピアノの先生にも相談して、ガチレッスンお願いしたのだって知ってるちゅ~の。

 お前のレッスン中に待ち合い席にいる時に、話全部聞こえてたし・・・


 その時、先生から指摘されてた所、全然直ってないじゃん。

 俺があれ以上の事言えるわけないだろ?


 あっちはプロ、俺は素人。

 ピアノの先生以上のこと、俺が何教えてあげられるっていうんだよ・・・


「ねえ・・・なんでそんなに冷たいの?」

「はぁ? なんで、そんなに俺にかまって欲しいんだよ? いっつも、ウザそうにしてる癖してさ~?」

「別に・・・ウザくないモン・・・ ズルいじゃん!! 他の組の女の子にばっかり!!」

「もう・・・うるさいな~ お前、この間先生から言われた癖全然直って無いじゃん? ちゃんと、リズム練習してる? 指めっちゃ転んでるけど?」


「うるさいな・・・ちゃんとしてるもん・・・」

「本当に?」

「だって! 早く弾かないといけないのに、なんでゆっくり弾いたり、リズム練習なんてしないといけないの!?」


 はぁ~ コイツ全然分かってないな~

 早く弾くなんて、後からどうとでもなるのに。


 それより、ゆっくり弾いて、確実に指のコントロールの感覚を掴む方が大事なのに・・・

 ちゃんと、リズム練習だって、やったら実感するのにな~


 こいつ、意外とっていうか・・・


 イヤ、性格のまんまだな、頑固だ。


「てか、なんで先生から言われた事しってるのよ?」

「だって、この間、待合室にいる時に、全部聞こえてたから」

「人のレッスン、盗み聞きするなよ!!」

「うるさいな~ アソコの扉、めっちゃ音漏れて来るからしょうがないだろ!?」


 もう・・・理不尽だ・・・

 お前のレッスンの次が、俺だからイヤでもお前のレッスンの内容を毎回聞かされるんだが?


「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ。 その仲良し夫婦!!」


 はぁ? 誰が仲良し夫婦だ!?

 声が聞こえた方を振りむくと・・・


「ルナ? なによ? 邪魔しに来たの!?」

「何よ~ さおりんひっど~い! なんか、喧嘩してるみたいだったから、声かけてあげただけなのに~!」

「ふん! 別に喧嘩なんてしてないもん!」

「なんか、二人しか分からない会話しちゃってさ~ 完全夫婦みたいだったけど~ 佐久間君はアコがいるのに、イケないだ~ 浮気~?」

「はぁ? 何言ってんの?」


 なんだよ・・・お前ら・・・

 濃いもの同士で、絡むなよ~


「ところでさ~ さおりん? 今日って放課後暇?」

「なに? 暇って失礼ね・・・」


 この二人って仲悪いのか?

 

「なんか、サッカー少年団の紅白戦見に来てくれってお願いされちゃったんだけどさ~ 一緒に行かない?」

「はぁ~? 私がなんでサッカーなんて見にいかないといけないの?」

「良いじゃん・・・ だって、他に行ってくれそうな人いないんだもん・・・」


 小菅ってなに?

 微妙に友達少ないのか?


「小菅? 3組の女子を誘えばよいじゃん? たとえば、ホラ、もう一人のヒロインの坂下とか」

「なんで、坂下さんなんて誘わないといけないの!?」

「どうして? 仲悪いの?」

「あの子と一緒にいたら、私が太ってみえるでしょ?」


 ん? ・・・・・・坂下さん?

 小菅と坂下さんを交互に見ると・・・


「ちょっと!! 見比べるのヤメテくれる!! 超失礼なんだけど~!!」

「えっ? イヤ・・・だって・・・」


 あ~ たしかに、坂下の方が小顔だし・・・

 ちょっと、華奢なのか。


 確かに、坂下の隣は、公開処刑モンだな。


「イヤ、小菅。 お前だって、十分痩せてて綺麗じゃん? 自信持てよ。 決して、坂下さんに負けてるって俺には見えないよ」

「はぁ? 何言ってるのよ?」


「だって、顔は・・・お前の方が可愛いと思うけど・・・」

「・・・なにそれ・・・本当?」

「うん、可愛いと思うよ。 それに服のセンスもお前の方が良いよね?」


 クマさん柄のパンツとか・・・


「あっちゃん? な~に~それ~ ルナのこと口説いてる? アコにチクるわよ」

「はぁ? 俺は、正当な評価しただけだぞ。 何でもかんでも口説いてるって、お前の頭の中は、常にお花畑か? バカがよ!」

「はぁ~!? なんですって~ あんたね~ 最近ちょっとモテるからって生意気なのよ!!」

「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ。 ストップ!! もう!! さおりん・・・なんですぐ怒るの?」


 そうだ、小菅もっと言ってヤレ。

 そこの、更年期小学生にな。


「だって・・・」

「ふ~ん・・・さおりん? そういうこと?」

「なによ・・・何!?」


 ん? なんだ?


「べっつに~ ふ~ん、そういうことなんだ~ だったら、一緒にサッカー見に行こうよ~ 応援したい人いるでしょ?」

「・・・・・・そんな子いないもん・・・」


 なんだ? 小沼のヤツ、誰かサッカー少年団に好きなヤツとかいるのか?

 へ~ マジ!? 誰だろう・・・めっちゃ気になる。


 ふふふっ、小沼の好きなヤツがわかったら。

 今度あっちゃんって言ってきたら、対抗できるぞ。


 なんだよ、てっきりハジメ君とか好きなのかと思ったけど。

 違ったのかよ・・・


「まっ、それならそれで良いんだけど。 ねえ、一緒にサッカー見に行こう? お願い?」

「え~ やだよ・・・」

「小沼? 今日で今シーズン最後の練習になりそうなんだよ。 だから、一度見に来てみたら?」


「ほら~ 佐久間君もあんなこと言ってるよ~ さおりん? 行きたくなったんじゃないの?」

「えっ? 佐久間は・・・その・・・私に見に来て欲しいの?」

「えっ? 俺? そんなの、あたりまえじゃん! 小沼に練習見に来てもらって、声援なんてもらったら、めっちゃヤル気出るよ」


 ふふふっ、お前が誰を応援するのかじっくり観察してやろうじゃないの~

 いったい、誰が好きなんだ、お前は~ もう興味無いフリしちゃって~


 お前もツンデレかよ~


「ほら! 佐久間君もヤル気出るって! 行こうさおりん!?」

「う~ん・・・わかったよ・・・」

「じゃあ、放課後1組に迎えに行くね?」

「うん・・・」


 てか、秀樹・・・るなっち誘ったんだな。

 でも、いま普通に1組の方に誘いに来たけど・・・


 今日アッコちゃんが風邪で休んで無かったら、ひょっとして・・・

 あいつ・・・マジで使えないな。


 あ~ アッコちゃんが休んでて危険回避して良かった気もするけど。

 でも、彼女のいない学校なんて、もうクソつまんない。


 はぁ~ 来年の4月からそれが毎日になっちゃうのか?

 マジかよ・・・こんなつまらない毎日なんて、耐えられないぞ俺・・・


 ヤバイ・・・俺6年生になったら、不登校になっちゃいそう・・・

 学校に来るモチベーションが見つからない。


 え~ なんか、改めてアッコちゃんのいない状況想像しちゃったら・・・

 ヤバイ・・・なんか、泣きそう。


 悲しくなってきちゃった・・・


「佐久間? どうしたの?」

「えっ?」

「はぁ!? なんで、泣いてるのよ!?」

「ううん・・・なんでも無い・・・」


 ヤバイ・・・アッコちゃんがいない毎日想像したら、とてつもなく悲しくなって来た。

 涙が止まらないよ・・・


「もう・・・ホラ! なにやってるのよ!」


 えっ? 小沼? めっちゃ優しいじゃん?

 なんだ? お前、純度100%のツンデレ少女なのか?


 なんだよ、その急な優しさ・・・

 お前と会って、早7年・・・こんな優しいところ初めて見たぞ・・・


 3歳の頃から、ずっと俺をさげすんだ目で見て来てたクセしやがって。

 なんだ? 7年越しのツンデレって、前振り長くね?


「もう・・・洗って返してよね!」


 ヤバイ・・・こいつ、マジでテンプレのようなツンデレっ子じゃね~かよ。

 でも、小沼・・・俺ツンデレに萌えないタイプなんだよ。


 俺は、いつだって甘やかして、可愛がってくれる相手じゃないとダメだから。

 そう、常に神対応してくれる子じゃないとイヤなの・・・


 だから、なにげにセンターになる子が好き。

 ごめん・・・小沼。


 俺にはお前の良さが分からん。

 ドMの剛なら、刺さるかもな~


「なに、小沼とイチャイチャしてるんだよ・・・」

「だから・・・お前はなんでいっつも、俺の周りを常にウロウロしてんだよ?」

「だって・・・小沼を練習に誘おうとしてたら・・・」

「てか、お前今までどこに居た? 急に出て来て・・・」

「えっ? イヤ・・・」


 こいつ、マジでどこに居たんだ?

 ・・・・・・!?


 まさか・・・そう思って、ピアノの下にもぐって、小沼の座ってる方を見て見ると・・・


「剛・・・現行犯だ・・・」

「えっ!? なにが?」

「お前・・・最低! 本当にこればっかりは最低!」

「違う!! マジで本当に、違う!」


 何が違うっていうだよ・・・

 小沼・・・こいつの処分どうする?


 マジで、ここ3階から、外に吊るすか? こいつ・・・


「佐久間? どうしたの?」

「アキラ!! お願い!! お願いします!!」

「う・る・さ・い! お前は黙れ!」


「ねえ、石川! 練習の邪魔しないでくれる!?」

「あっ、ごめん・・・そうだよね・・・ ごめん! アキラ! そういうことだから!」


 チッ! 逃げやがって・・・


「なあ、小沼?」

「なに?」

「お前、こっちのピアノで練習しろよ」

「なんで?」

「イイから、俺の言う通りにしろ!」

「もう・・・なによ。 そんなきつく言わないでよ・・・」


 バカ・・・お前のパンチラをあそこの変態から守るためだろ?

 てか、いま気づいたけど・・・


 アソコの鼠集団に、兵隊ども・・・

 あいつらもか。


 はぁ~ 小沼・・・ごめんな。

 気づくの遅くて。


 でも、知らない方が幸せだよな?

 ごめん・・・そうだよな、お前に少し冷たすぎたかもしれないね。

 残りの時間、お前が気のすむまで、付き合ってやるよ。


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