第106話 プロフ帳書いてくれ? もう~しょうがないな~
えへ・・・えへ、えへ、えへ。
イヤ~ そうかな~
「も~う、本当に綺麗♪」
「素敵な音色~♪」
「本当にカッコイイ♪」
え~ そうかな~ そんなにカッコイイ?
イヤ~ こんな女子に囲まれて、褒められまくるなんて~
こんなの初めてだよ~
「もう! 佐久間!! デレデレしてないで、ちゃんと指導してよ!」
ん? 木下め・・・
俺が気持ちよくなってる所に水を差しやがって。
「えっと、この曲はやっぱり軽快なテンポが欲しい曲だから。皆、タンギングって言って、舌のを上手く使って、音をトゥ、トゥ、トゥ、トゥって感じで、音を細かく切れる練習をしてみてくえる?」
「舌? ってどいういこと?」
「皆さ~ 『た』って発音してみて」
『た!』
「この時、舌が口の中の上の部分にくっつていのわかる?」
『たっ、たっ、たっ、たっ。 すご~い♪ ついてるかも~♪』
うんうん、良いリアクションするね~
あ~ 女子達からキラキラした憧れのような目線・・・
たまらなく、優越感・・・か・い・か・ん♪
「そのたの発音する状態で、舌を上に付けたたまま、リコーダーを吹いてみて? 音鳴る?」
『鳴らな~い♪』
「それを、上手く使って、舌を付けた瞬間は音が出ない、離すと音が出る。 それを利用して、細かく音を切る練習をしてみると、たっ、たった、たったったったって綺麗な音が出せるようになるはずだから、ちょっと練習してみくれる?」
『は~い♪』
「あとは~ リコーダーって、一定の息で吹かないと、ピーって音がなっちゃうから。 吹く瞬間に一生懸命息を出さないとって感じじゃ無くって、お腹からジンワリと息をだす感じで練習してみてくれないかな?」
『は~い♪』
ヤバイ、皆めっちゃ素直。
はぁ~ めちゃくちゃ気持ち良い~
「佐久間・・・」
「なに?」
また・・・木下?
なんで、お前だけは、そのジト目で俺を見ながら、低音ボイスで蔑んだ感を出すんだ?
萎えるわ~ こいつ・・・
「あんたって、ピアノだけじゃなくって、リコーダーの事も詳しいのね?」
「ん~ 別にそんなには詳しくないけど、基本的なことだけだよ。 でも、それだけでだいぶ音が変わるはずだから」
「へ~ やっぱり、音楽に関してはちょっと見直すかも・・・」
ん? 木下~ お前・・・さてはツンデレさんなのか!?
も~う、お前さ~ 俺に惚れるなよ~
「じゃあ、そんな感じで、個人練習してある程度出来るようになったら、また皆で合わせてみようか?」
『は~い♪』
うんうん、この黄色い声、気~持ちい~♪
「えっと、中学とか入って、吹奏楽とかしたいな~ って思ってる人は、いまのは役に立つと思うから練習して出来るようになると、便利かもしれないよ~」
「佐久間君? なんでそんなこと知ってるの? ピアノ弾けるとそんなことまでわかるの?」
「えっと~ 姉ちゃんの友達で、吹奏楽やってる友達がいて、その人から教えてもらっただけだよ」
ナハハハ・・・実際は、そんな友達はいないけど。
前世で付き合ってた彼女が、たまたま吹奏楽でフルートやってて、その子から聞いた受け売りなんだけどね~
「あ~ そういうことか~ 私、中学入ったら吹奏楽やってみようかな?」
「あゆみちゃん、吹奏楽とか好きなんだ?」
「えっ? うん、ちょっとフルートに興味あるんだ~」
「フルートの音色って良いよね?」
「でしょ? なんか、ちょっと憧れちゃうんだよな~」
あゆみちゃんって、中学吹奏楽部だっけ?
そう言えば、中学から同じクラスになったことなかったから、あんまり覚えて無いな~
どっちかと言ったら、中学から同じクラスになるアイツ・・・
紫宮だ! 小学校は、隣の琴似小の女で。
俺と剛に、いっつもチビチビって言って、めっちゃバカにしてきたヤツ。
吹奏楽部って言えば、アイツのイメージしかないもんな。
「佐久間く~ん♪ リコーダーの練習終わった?」
ん? 2組のピアノの子?
「うん、ひと段落ついたけど」
「じゃあ、私たちのピアノもちょっと聞いてくれない?」
「うん、良いよ」
えっと・・・この子は確か、2組の坂下萌ちゃんだっけ。
もう一人は、服部千絵さん。
「千絵? 佐久間君連れて来たよ~」
「あっ・・・佐久間君♪」
ん?
いま、千絵さんの佐久間君の後ろに、ハートマークが見えた気がしたけど。
気のせい?
「えっと、二人は、序曲と金米糖の踊りの2曲だっけ?」
「うん・・・そうなんだけど、序曲がすっごい難しくって」
「えっと、一度引いてみてくれる?」
「うん」
『千絵? せ~の ♪ ♪~♪♪☆♪♪×*♪♪♪☆♪♪×♪~*♪』
うっ・・・これは・・・
てか、テンポ速すぎじゃないの?
テンポが速いせいで、指が回ってないし。
ミスタッチも多いし・・・二人の音も全然会ってないし・・・
「あ~ ごめん・・・いったんストップ」
「うん、どうだった?」
「えっと、テンポなんだけど、いまめっちゃ早いからもっと遅くても良いよ」
「えっ!? だって、allegroって書いてあるから・・・ ピアノの先生に聞いても、allegroって言われて・・・」
・・・ピアノの先生に聞いたら、そりゃ原曲の楽譜通りのスピードでとか言っちゃうよね。
「う~ん、今回リコーダーとか他の楽器初心者もいるから、andanteぐらいで弾いてもらって大丈夫だよ。 テンポ70くらいで良いよ。 たぶん、それだったら指も追いついて、弾けるんじゃないかな? それと、相手の音をちゃんと聞いて、合わせる努力しようね」
てか、遥ちゃん、テンポの指示書いてないのかよ・・・
「今回は、金米糖の踊りと同じくらいテンポで弾いて良いから。 二人が、ピアノ続けて、そのうちピアノソロ版を弾く機会が来たら、その時はallegroで楽譜の指示通り弾いたら良いと思うよ」
「うん、わかった~ ありがとう♪」
「佐久間君に聞いてよかった・・・ずっと悩んでたんだ・・・」
「今言ったテンポでも、中間部が難しいってなったら、また相談してくれる?」
「うん♪ わかった~ ありがとう佐久間君♪」
坂下さんは、明るい性格だけど~
千絵さんは、ネガティブ系なのかな?
「イイな・・・お前ばっかりモテて・・・」
「!? びっくりした~!? てか・・・剛? なんでお前こんな所にいるんだよ?」
「え~ だって・・・あっち男だらけで、なんか面白くないんだもん」
はぁ? 相変わらず、自分勝手なヤツだな~
自由人すぎるだろ・・・
「お前いなかったから、困る人いるだろ?」
「だいじょうぶだよ・・・皆柔軟しかしてないし・・・ハジメ君は裏切るし」
「裏切るって何?」
「ハジメ君だけ、るなっちと一緒に柔軟してるの!」
はぁ? るなっちって、秀樹と一緒じゃないのかな?
「秀樹と一緒じゃないの?」
「え~? 最初アッコちゃんとるなっちが一緒に柔軟してたけど。 途中から、なんかハジメ君とるなっちが一緒に柔軟初めて。 で、山崎のヤツがアッコちゃんに話しかけて、何か揉めてて、アッコちゃんが秀樹に助け求めて。 いまアッコちゃんは秀樹と一緒にやってるよ」
はぁ? 山崎とアッコちゃんが揉めた?
秀樹と一緒にやってるだ?
どういう状況だよそれ?
説明下手かこいつ・・・
「ねえ? 佐久間君・・・その・・・」
「なに? 坂下さん?」
「あのね? プロフ帳とか、書いてもらうとかダメかな?」
「えっ? まあ、良いけど・・・」
プロフ帳・・・俺に?
「えっ!? ごめん、佐久間君! 私も・・・良いかな?」
「えっ? 服部さんも?」
「うん・・・ダメ?」
「イヤ・・・良いけど」
え~ プロフ帳って~
前世の俺には一切こんな女の子から書いてなんて頼まれること皆無だったのに。
やっぱり、俺・・・モテ期!
う~ん・・・でも、これってガッツリ個人情報だよな~
2022年から来た俺にとっては、めっちゃ抵抗感が・・・
でも、子猫ちゃん達が、目をキラキラさせてるからな~
もう・・・しょうがないな~ 書いてやんよ!
えっと・・・性格は?
俺の性格・・・なんだろう?
マイペース? かな~
特技・・・ピアノ? サッカー?
将来の夢・・・将来の夢ね~
社畜にはならないぞ!
って、こんな意味不明な事書けないよ~
なんだろう?
yout〇ber? イヤイヤ、そもそもyout〇beがまだ無い!!
も~う・・・オッサンに夢語れって酷じゃね?
どうしよう~ う~ん・・・お婿さん? ダメかな?
これじゃ~ ただのヒモ男になっちゃう?
プロフ帳・・・書くのムッズ。
次・・・次・・・
好きな人?
来た~ この質問欄。
プロフ帳の目的の90%がここだろ!?
好きな人はいますかって・・・まあyes?
初恋・・・う~ん・・・now?
好きな人のイニシャル!?
え~ アッコちゃん・・・って素直に書いて良いのかな?
Aちゃんって書いちゃう?
どうしよう~ こういうのマジわかんないよ~
イヤ~ ここは・・・やっぱり、ナイショ?
ナイショがベターだよな・・・
彼女はいますか!?
ううう・・・どうしよう。
これはyesで良いのかな~?
女子達の夢を、粉砕して良いのだろうか~?
空気読まずにイッチャウ?
イヤ~ でもな~ わかった!
これは、必殺の・・・
ひ・み・つ
これだな、これが王道だよ!
女子の夢は、壊しちゃダメ絶対・・・うんうん。
「なにが秘密だよ・・・」
「ん? 剛・・・お前はさっさとネズミ組に帰れよ!」
「俺は兵隊!」
「もう、お前じゃま! さっさとどっか行け! バカ」
「ふん! アキラばっかり・・・」
なんだ・・・アイツは・・・
立ち回り自由人すぎるだろ。
えっと・・・次。
告白したこと? yes?
告白されたこと?
遥ちゃんからは結婚しようってプロポーズされちゃったし~
ゆかりちゃんからの好きよって言われたのは?
お婿に貰ってくれるって言ったし、やっぱあれもプロポーズ?
これ・・・どうしよう?
yes? no? う~ん・・・メンドイから、おっきく両方に〇っと。
好きな人に言われたい事?
こんなの、もうシンプル、好きじゃないの?
・・・・・・イヤ~ さすがに・・・おもんなって言われそう。
う~ん・・・・・・ハードル高いってこの質問!
!? ハイ、ハイ、ハイ、思いつきました。
『こんなのはじめて~♪』
適度にエロくて、良い感じだし。
シンプル言われて嬉しいし。
これしかないだろ!
てか、まだある・・・
好きな人に何って呼ばれたい?
ハイハイ、アキラで良いです。
女の子のタイプ?
う~ん・・・甘えん坊?
で? 好きなブランド?
う~ん、これで書いたブランドの服を、この子らが着てきたら超ウケるけど。
えっと、千絵ちゃんは、地味だからな~ ちょっとガーリーに~ mezzo p〇ano?
萌ちゃんは、性格明るいけど、黙ってたら綺麗系だから pom pon〇tteかな?
決して、ナルミヤイン〇ーナルの回し者ではないから・・・
これはちょっと実験してみたくなるやん?
俺が書いたら、このブランドの服着ちゃうのかい実験?
てか・・・プロフ帳って、めっちゃっムズイし、シンプル恥!
これ、絶対黒歴史化するヤツ~!
「ねえ!?」
あん!?
「なに、他の女のプロフ帳なんて書いてるのよ!?」
うるせ~な~ お前は小姑か木下!
「良いでしょ? お願いされちゃったんだから。 お前だって藤さんに書いてもらっただろ?」
「あれは・・・良いじゃん・・・」
「じゃあ、俺だって良いじゃん!」
「あんたはアコがいるでしょ~!? なにがひ・み・つっよ!? バッカじゃないの!?」
「バカかお前は・・・ここでバカ正直に書いて、夢を壊すのも可哀そうだろ!」
「はぁ!? ただの浮気心じゃん!?」
「はぁ? 浮気じゃね~ ボケ!」
てか、見てんじゃね~よ!
剛と良い、木下良い、マジ厄介だな!
「アコに言っても良いの!?」
「ハァ~!? 言えば良いじゃん! アッコちゃんは、こんな事じゃ怒りません~!」
「あんた、アコが意外と独占欲強い女だって知らないでしょ?」
はっ!? なめんな! そんなこと・・・薄々知ってったし。
そして、意外と根に持つタイプだってこともね!
大人アッコちゃんから色々話を聞いて知ってたつもりだったけど・・・
改めて、最近、大人アッコちゃんの言ってた事を身に染みて感じてる所だよ!
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