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第101話 過去と未来

さっきのは一体なんだったんだ・・・

はぁ~ ダメ・・・頭から、あの綺麗なゆかりちゃんの裸が離れない。

イヤ、勿論、美姫のエッチな裸も忘れられない・・・


あのどこか幼い頃の表情を残した、綺麗なゆかりちゃんの顔がもうずっと頭から離れないし。

ゆかりちゃんの、裸はもう一生忘れられないよ・・・


あんな理想的なおっぱい、この世にあって良いのかよ。

完璧なおわん型で、これが黄金比だと感じる大きさと形に、色素薄めの綺麗な色のトップ・・・

そこから、綺麗にくびれたウェストに、適度に張り出した綺麗なお尻にかけてのモデルさんのようなスタイル。


そして、不可抗力でガン見しちゃって下腹部・・・

ゆかりちゃんは何もしてないって言うけど。

あんな、無いもんなのか?

そのせいで、丸見えというか。

ゆかりちゃん、もうダメ。

再会して間もないのに刺激強すぎなんだよ。


今も僕の部屋で、美姫とゲームしているゆかりちゃんをボーっと眺めているけど。

パジャマ着ててても、もうさっきの裸の姿しか思い浮かばないよ・・・


はぁ~ あんな姿、前の人生でも見た事ないのに。

再会してから、ずっとドキドキしっぱなしで、情緒がグチャグチャだよ・・・



でも、先週の公園でのブランコの所での会話といい。

今日、部屋に入った直後に見た天使のような姿に、その後の会話とか・・・


なんか、デジャプというか。

前の人生でも、同じような会話をゆかりちゃんとしたことがあるんだよな。

懐かしいというか、辛い思い出というか・・・


イヤ、俺の知ってるゆかりちゃんも、いま目の前にいるゆかりちゃんも同一人物だから。

俺と再会した時期が違うだけで、同じような事を僕に話すのも当たり前なのかもしれないけど。


ゆかりちゃんとの再会は、どうしてもあの記憶を思い出してしまって、胸が苦しくなってしまう・・・

でも、目の前にいる、ゆかりちゃんが、この時代でも僕に同じ事をするとは、限らないし。


そもそも、前の人生じゃ、この時期にゆかりちゃんとは疎遠だったし。

いま再会して、目の前にゆかりちゃんがいること自体、すでに僕が知ってる過去ではないし。


ダメだ・・・

もう、延々ループしちゃって、情緒がグチャグチャだよ。

どうしても、あの時の記憶がよみがえちゃって・・・

いまの君とは関係ないってわかってるのに、なんであんな事したのって聞きたくなってしまう。


人生で一番辛かった、高校2年の冬の出来事を・・・



はじめは、高校2年の秋だった。

本当に偶然だった・・・


友達からドタキャンをされてしまい、午前中に予定が無くなり、大通りの地下街の壁に寄りかかって、携帯を開きながら、この後どうしようっと、考えていた時だった。


通り過ぎる人が皆振り返って見ていくような、CanC〇mの雑誌からそのまま出て来たんじゃないかと思うくらい、綺麗な女性が、ずっと僕を見てるような気がしてチラっと見た瞬間、完全に目が会ってしまい。 人見知りで、初対面の女性なんて、直視が出来ない僕は、すぐに目線を外すと、気づかないふりをして、視線を自分の足元へ移して俯いていた。


すると、視界の端でその綺麗な女性がまっすぐこっちへ向かって歩いてくる姿が見えて。

なんで、こっちに来るんだろうと、軽くパニックになって。


俺、なんかしたんだろうか・・・ひょっとして、噂で聞く、綺麗な女性に家電とかを買わされてしまう詐欺かなにかで、俺がターゲットにされたんじゃないかと、携帯をひたすら凝視して無視していたのに。


その女性は、迷い無しに僕の方へ向かって歩いて来て、視界の端に移る姿がどんどん大きくなっていき。

これは、もう絶対俺がターゲットじゃん!

そう思っていると、不意に良い香りがフワっと僕の鼻先をかすめていくと―――


「ヤッホー アキラ~」


5年ぶりの再会とは思えない。

さっき振り~ みたいなノリだった。


「どうしたの? 私よ、ゆかり。 忘れちゃった?」


ポケーっと固まる僕に、グイグイくるゆかりちゃんに、暇なら付き合ってと言われ。

久しぶりの再会で、軽く人見知りを発揮していた僕の手を取ると、そのまま強制的に連れていかれて。

ゆかりちゃんの買い物に1日中付き合って、当時一人暮らしをしていたゆかりちゃんの家まで連れて行かれると、上がってと言われて緊張しながらゆかりちゃんの家におじゃますると。


適当にソファーに座ってと言われ、大人しく座っていると。

飲み物やらお菓子をもったらゆかりちゃんが来て、僕の隣に腰を降ろすと「大きくなったね~」っとしみじみと僕を見ながら話し始めて。 ゆかりちゃんとテレビを見ていると、急に甘えるように僕に寄りかかって来たゆかりちゃんに「こうしてると、昔にも取ったみたいで、なんか懐かしいね」っと言われ、ゆかりちゃんの良い香りと、彼女のカラダから伝わって来る温もりを感じているだけで、あっというまに僕の心は彼女に鷲掴みにされてしまい、ドキドキでゆかりちゃんと連絡先を交換したのが始まりだった。


それから、ゆかりちゃんから頻繁に電話が掛かって来るようになり、特に要はないんだけどと言いながら、会話を始めるゆかりちゃんの話し相手をするようになり。 少しずつ昔のように緊張しないで話せるようになって行くと、平日もゆかりちゃんに気軽にメールで呼び出されるようになり、買い物につきあったり、一緒に食事をして過ごすことが増えていくと。 ゆかりちゃんが、ちょくちょくウチにも来るようになり、昔みたいに一緒に夕飯を食べて、僕の部屋でおしゃべりをして、帰って言ったり、どんどんゆかりちゃんとの距離が縮まっていった。


そんなある日、急にメールで呼び出された僕は、ドキドキしながら指定された場所へ向かうと、公園で彼女が泣いていて。 心配で、どうしたのと聞いても何も話さないゆかりちゃんが心配で、彼女に寄り添いつづけた僕に、男らしくなったね、そんな風に優しくされたら好きなっちゃうじゃないっと。

この間の、彼女とまったく同じようなことを僕に言って来た・・・


高校生だった純粋な僕がそんなことをゆかりちゃんに言われたら、簡単に勘違いしてしまうわけで。

冬が始まる頃には、ゆかりちゃんの事が大好きになっていた。


そして、クリスマスに彼女にサプライズで、プレゼントを渡したら。

「どうして、こんなモノをくれるの?」なんていうから、「好きだから?」っと誤魔化すように言ったら、嬉しいっと言いながら僕を抱きしめてくれた。


彼女に抱きしめられた瞬間、僕はゆかりちゃんに、初めて男として認められたような気がして。

そして、ゆかりちゃんが、僕の耳元で囁いたんだ。


好きよ、アキラ・・・


そう言われて、僕は・・・人生で初めて彼女が出来たと思ってしまった。


それからは、すべての中心がゆかりちゃんだった。

学校帰り、毎日のようにゆかりちゃんと待ち合わせをして、一緒にすごした。

そして、いつもゆかりちゃんがお金を払ってくれて、それだけが気まずくて、気が引けたというか。

だから、僕は将来は絶対に恩返しというか、大人になったら、ゆかりちゃんを幸せにしようって・・・


お嫁さんになってもらって、その時に全て返そうって思うようにして、気持ちに折り合いをつけながら彼女と一緒にいた。


ゆかりちゃんから、呼び出されれば、お金を彼女に払わせてしまからと、気まずい気持ちでいっぱいだったのに、それでも、ゆかりちゃんに会いたい気持ちに抗えるはずが無くて、呼び出されればすぐに彼女の元へと駆け付けていた。


平日の夜でも、ゆかりちゃんと会って来ると言えば、両親は多少帰りが遅くても僕を怒る事も無く、すべてを許してくれた。


毎週金曜日は決まってゆかりちゃんから、連絡が来るようになり、僕は毎週それがとっても楽しみだった。

一緒に食事をしていると「ふふふっ」っと彼女が僕を見て笑ってくるから。

「どうしたの」って聞くと「だって、今日ずっと朝からそんな感じだったんでしょ?」っと言われ。


なんのことだろうっと思っていると、「そんな嬉しそうに私のこと見つめるから、きっと朝からずっとそうやって、嬉しそうにワクワクしてたんだろうなって。 もうわかるもん、本当にアキラは可愛いね?」と言われ。


あまりに図星で、そして、子供っぽいっと言われたような気がして、めちゃくちゃ恥ずかしくなってしまったのを覚えている。


帰りに少しムスッとして拗ねていたら、「もう、ほら、おいでと言われ」ゆかりちゃんに両手を広げながら言われて、黙って、ゆかりちゃんの両手に吸い込まれていくと、ギュッと抱きしめられて「ヨシヨシ、なに拗ねてるの? でも、そんな無邪気なアキラが好きよ」っと言われ。


毎回それで機嫌を直してしまう、僕もなんともチョロいというか、ゆかりちゃんは完璧に僕の扱い方が分かっていた・・・


週末は、一人暮らしをしているゆかりちゃんの部屋へ出かけては、ずっとおしゃべりをして一緒にゲームをして遊んでいた。


でも、日曜日だけは、なぜかゆかりちゃんと会うことが出来なくて、でも・・・仕事なんだと言われ、僕はそれを鵜呑みにしていたんだ。


だから、日曜日は決まって会えないから、僕を心の隙間埋めるようにバイトを始めたんだ・・・

ゆかりちゃんから、会えないと言われた日に、バイト先から今日入れるって連絡が来た日は、会えない寂しさを埋めるようにバイトに行った。


それでも、平日は普通にゆかりちゃんから連絡が来たし。

土曜日は毎週、ゆかりちゃんは僕と一緒に居てくれた・・・


そうして、時が過ぎて、バレンタインの日に、生まれて初めて、女の子から手作りの本命チョコを貰ったんだ。


僕はそれが嬉しくて、ただただ感動していると、それを見たゆかりちゃんが、「もう、そんなに嬉しい?」っと聞いてきたので「人生で初めて貰ったチョコだもん嬉しいに決まってるよ」っと無邪気に返事をすると。


じゃあ、これも今日は初めてだねといって・・・

ゆかりちゃんが、僕に初めてのキスをしてくれたんだ。


そして、キスをした後に、ゆかりちゃんは瞳をウルウルさせながら、僕に向かって・・・


『これで一生私はアキラの思い出の人になれたかな?』


と言ったんだ。


ファーストキスだった・・・


そりゃ、なんていうか。

子供の頃は、美姫とゆかりちゃんとも、何度もキスはした事はあったけど。

アレは、なんていうかお姉ちゃん相手のキスで・・・


何て言うか、家族愛を確かめあうための儀式みたいなものというか。

家族内での、挨拶のようなものだった。

だから、何を言われも、僕はお姉ちゃん達とのキスをファーストキスとは認めていなかった。


だから、初めて出来た彼女のゆかりちゃんとのキスが、僕にとってのファーストキスだったんだ。

でも、あの頃から、なんかゆかりちゃんの様子がおかしくなっていったというか。

僕と別れる時に、いつもさみしいといって、泣き出したり。


ゆかりちゃんに車で学校まで迎えに来てもらい、車に乗った途端に、すがるようにゆかりちゃんにキスをされるようなこともしばしばで・・・


なにかあったのって聞いても「ううん、大丈夫。 アキラとキスしたら元気でちゃった」と言って、明らかに何か不安を隠しているようで、僕はずっとそれが心配だった・・・


そんなゆかりちゃんが元気づけたいと思った僕は、バイトで稼いだお金で、ゆかりちゃんの誕生日に彼女の誕生石のついた指輪をプレゼントした。


プレゼントした瞬間、彼女は泣きだしてしまって、僕はただただゆかりちゃんを抱きしめて、彼女が泣き止むのを待った。


そして、気持ちが落ち着いたゆかりちゃんが「ハメて欲しいな」っと、左手を差し出して来たので、僕な内心ドキドキで、プロポーズのような気持ちで、彼女の薬指にその指輪をハメたんだ・・・


それが、ゆかりちゃんに伝わったのか、指輪を付けた瞬間、またゆかりちゃんは僕の胸の中に顔を埋めて泣いてしまった。


そして、新学期がはじまって、僕が3年生になった頃・・・

ゆかりちゃんが、急に受験で大変だろうからと言って、会えない日が少しずつ増えて行き。

1週間連絡が来ない日が続いて、僕は心配と不安で押しつぶされそうになっていた。


久しぶりに連絡が来て、仕事が終わったら学校に迎えに行くと言われ。

僕は、いつも通り、学校のラウンジで残って勉強をして、彼女を待った。


そして、メールが来て、いつもの場所に行くと、そのまま彼女の車へ乗り込み。

その日も、普通に食事をして、楽しく会話をして、僕は久しぶりにあったゆかりちゃんとの時間を堪能した。

いつもならゆかりちゃんの家によって、一緒にDVDをみたり、ゲームをしたりして過ごしてたのに。


その日は、いつもと違い、景色の良い公園へ連れて行かれて、久しぶりに、手を繋いで歩こうかと言われ。

夜の公園を二人で歩きながら、もうすぐ桜が咲くかなとか、他愛の無い会話をしながら、その公園で一番景色の良い場所へと歩いていった。


そして、そこにあったベンチに2人で座ると、ゆかりちゃんは僕へ甘えるように寄り添って来て。

いつもの違う雰囲気を感じ取った僕は、緊張で何も言えなくなり。

しばらく、二人で無言で過ごしていると・・・


ゆかりちゃんが「ごめんね」っと一言だけ発すると、涙を流し始めると、ゆかりちゃんが、僕の頬に愛おしそうに両手を添えると、「好きよ」っと言いながら、ゆっくりと僕へキスをしてくれたんだ。


でも・・・それが、ゆかりちゃんとの最後の会話だった・・・


それから、すぐだった。

母親から、ゆかりちゃんが結婚するって話を急に聞かされて・・・


信じられ無いというか、何が起こったのかしばらく理解すら出来なかった。

ゆかりちゃんに会いたくてメールをしても、あれ以来返事がくることはなかった。


そして、本格的な夏が始まる前に、彼女は人のモノになってしまったんだ。

そして、前の人生での僕の初恋は、その時、全てが終わった・・・


死ぬほど苦しんだし、毎日泣き続けたし。

どれほど、泣いても、気持ちがおさまることはなかった・・・



それでも、惰性でバイトは続けていて・・・

1人で部屋に居ると気がおかしくなりそうだったので、ただただ隙間を埋めるためだけにバイトをした。

すると、勝手にバイト内でのランクが上がって行き、気づくと僕の周りには、自然とバイト仲間の女の子が集まるようになっていた。


どこか影があって、クールな印象を持たれて居たらしい。


そこで、仲良くなった、他の高校の女の子から、遊びに誘われるようになって。

コミュ力の高い彼女は、僕の話をだまって全て聞いてくれた。


彼女はゆかりちゃんのことを決して悪く言わなかったし、とにかく僕と正反対の陽キャな子で。

あの頃の僕は、そんな彼女と一緒にいるのが楽だったし、同い年なのに、どこかお姉ちゃんのような彼女に甘えていたのかもしれない。


彼女の気持ちは薄々感じ獲れてたし、いつかわ言われてしまうかもと思っていたけど。

一緒にすごして数カ月がたったところに、いきなり、彼女から好きな人がいても良いから、付き合って欲しいと言われてしまったんだ・・・


当然、好きでも無いのに付き合うなんて、彼女に悪いと思ったし、好きじゃない相手を彼女と呼ぶことへ物凄く抵抗感があった・・・


高校に入ってすぐに、家が近いってだけで仲良くなった親友のような女友達ちが同級生にいて。

ゆかりちゃんに捨てられて、フラフラになっていた僕をずっと心配して見守ってくれていた。


その親友と、告白してくれた女の子は、中学が同じだったらしく。

僕は、その親友に、彼女から告白されたことを打ち明けて、どうしたらよいのかわからないと相談した。


すると、ゆかりちゃんの事を忘れようとしたって忘れられないんだから、他の人とお付き合いしてみるのもアリだと思うと言われ。 さらに、あの子は可愛いし、良い子だから、一緒にいたら絶対に好きになっちゃうから付き合った方が良いと言われ。


僕は好きでも無いのに、彼女のそんな都合の良い言葉に流されて、告白してくれた子と付き合う事にしたんだ。 付きあったと言っても、それまでの友達のような関係がすぐ変わるかと言ったら、けっしてそんなことは無かったし、ただ、前より、彼女のスキンシップが増えた程度だった。


付き合う前と同じように、彼女と一緒にいれば、楽しかったし、気持ちは楽だった。


お姉ちゃんのような感じのその子が、僕に甘えてくるようになって、恥ずかしい気持ちになりつつも、嫌な気持ちではなかった。


そして、少しずつ仲良くなっていくと、彼女が僕の部屋に遊びに行きたいと言い出して、ドキドキしながら初めて同い年の女の子が部屋に招き入れたのを今でも覚えている。


それからは、学校帰りに普通に彼女は僕の家に来るようになって、コミュ力の高い彼女はあっという間に、僕の母親にも気に入られて、気づいたら、夕飯の席に、母親と親父と、僕と彼女の4人で食事をするようなことが増えて行き。


週末はバイトが終わると、そのまま一緒に僕に家へ帰って来て、普通にウチでお風呂に入った彼女は、僕の部屋でくつろぐというのが、いつの間にか当たり前になっていった。


彼女のスキンシップも、最初は腕に抱き付く位だったのが、その頃には、普通に僕に抱き着くようになっていたし、僕の膝の上にお姫様だっこのように座って、僕に甘えてくるようになって。


ゆかりちゃんの事はそれでも忘れたことが無かったし、忘れられ無かったんだけど、そんな事をしてくれる彼女に、ドキドキしないかと言ったら、ちゃんとドキドキしちゃうのが僕がまた最低なところで。


そんなある日、彼女から、いつものように甘えらえれていると、急に彼女にキスをされてしまい、モジモジする彼女に、まだダメ? っと聞かれてしまい・・・そのまま流されるように、彼女と産まれて初めてのエッチをしてしまった。


初めて彼女とキスをして、エッチをしてしまった日の夜・・・僕はとてつもない罪悪感に襲われてしまい、好きでもないのに、彼女を抱いてしまい、傷つけてしまったんじゃないかという思いがグルグルしてしまい、そのまま、ろくに寝れないまま、次の日バイト先で彼女と会って、おはようっと普通に挨拶をして、彼女の顔を見た瞬間。


頭の中に、彼女とのキスやエッチの映像が蘇って来て、それと同時に口の中に気持ち悪い感じが広がり。

吐き気の様なものを感じてしまって・・・


彼女は何も悪くないのに。

僕がひたすら最低だっただけなのに。


彼女のことは友達として好きだったし、お姉ちゃんみたいで一緒にいて安心できたし、居心地が良かったのは本当だし、でも、彼女と付き合ってる間も、僕はずっとゆかりちゃんのことを引きずっていて。

どれだけ長く他の女の子といても、頭の中からゆかりちゃんの存在が消えることはなかった。


自分勝手で、最低だと思ったけど、でも、あの時はもう彼女と一緒にいれることが出来なくて。

健気で、献身的に僕を支えてくれた彼女に、本当に申し訳ないと思いながら。

泣いて嫌がる彼女と、別れてしまったんだ。


別れた後も、周りの女の子達に、彼女は僕のことをけっして悪く言わなかった。

むしろ、会う度に大丈夫っと心配してくれる彼女と、けっきょく離れることが出来ず。

僕が大学生になっても、プラトニックな関係のまま、彼女と友達関係を続けてしまたんだ・・・



「―――あきら? 具合悪いの?」

「ゆかり、そんなヤツ放っておけば良いのよ。 ふんっだ、裏切りもの」


本当に美姫の言う通りだ。

僕は彼女の気持ちを裏切って、傷つけて・・・

本当に最低なヤツだったんだ。


それでも、前の人生で僕は彼女に救われたと今でも思ってるし。

彼女と一緒にいた時間は、楽しかったし。

いまなら、彼女とだって、上手くやりなせるような気がするけど。


「ふん、餃子の食いすぎよ! バカみたいに、バクバク食べちゃって」

「ふふっ、アキラは、昔から、私の作った餃子が大好物だっからな~」


あぁ、本当にゆかりちゃんは綺麗だな・・・

あの頃となんにも変わらないや。


記憶の中にある彼女より、いま目の前にいるゆかりちゃんは、少し幼さが残るけど、それでも、完成された美は当時の彼女とかわらない・・・


ゆかりちゃんに再会して、引き出しにしまっていた記憶が一気に飛び出して来て。

楽しい思いでも、辛い思いでも、色んな思い出を思い出してしまった。


こうして、彼女を見ていると、どうしたって、あの頃のゆかりちゃんと、いま目の前にいるゆかりちゃんがシンクロしてしまう・・・


それでも、あれは過去であって、未来じゃない。

記憶にあるゆかりちゃんは、過去に実際に一緒にいたし、今いるゆかりちゃんと同一人物なのは事実だけど。

でも、あのゆかりちゃんと、今目の前にいるゆかりちゃんは、違う人なんだ・・・


でも、辛い記憶は残り続けるし、違うんだけど、違わないっていうか。

なんなだろう、この複雑な感情は・・・

ううう、苦しい、胸が苦しい・・・


ゆかりちゃんに引き出された記憶の子供の頃の記憶は、ここでも引き継がれけど。

タイムリープした、この人生では、前の人生で経験した小6以降の記憶はもう過去であって、未来じゃ無い・・・


僕が見て来た過去は変えることができるし、もう、未来じゃ無いってわかってるのに。

でも、やっぱり、過去の記憶に引きずられてしまう。


どこかで、どうせ僕なんて―――と思ってしまう。

どうせ、ゆかりちゃんもお姉ちゃんも、僕のことなんて―――とどこかで諦めてる自分がいる。


目の前にいる、彼女達は優しくて、僕の大好きだったお姉ちゃん達の姿そのままで。

きっと、僕の行動しだいで、僕が見た過去の未来は変えられるかもしれない。

それでも、僕の根幹にある、イジイジして煮え切らない性格が、どうせこの人生でも、結局アソコにたどりついてしまうって思ってしまう。


僕自身が、過去を変えられるって証明したハズなのに。

この1カ月、明らかに過去は変わったし、見た事の無い未来を手に入れられているのに・・・


ゆかりちゃんは、魔性の女だ・・・

ずっと、僕に会いたかった、ずっと好きだった、理想の男の子だった、初めてはアキラが良かったって。

僕が喜ぶ言葉を、ゆかりちゃんは沢山くれた・・・


そんな、彼女の記憶が。

どうしても、いま目の前にいるゆかりちゃんとシンクロしてしまう。


「アキラ、どうしたの? だいじょうぶ?」

「だから、放っておきなさいよ、そんな浮気者なんて!」


また、そうやって、僕に優しくして。

いつか、必要が無くなったら、簡単に僕を捨てるクセにと思ってしまう。

でも、そんな未来も自分次第なんじゃないかと思える自分もいるわけで。


「アキラ・・・泣いてるの? 本当どうしちゃったの?」

「なんで、こいつ泣いてるのよ?」

「知らないけど、美姫がお風呂場で強引にアキラのこと掴んだから、きっとどっか痛いんだよ!」

「はぁ!? それはあんたがアキラを離さなかったからでしょ!?」

「なによ! 恨みっこ無しって言って、アキラに選ばれなかったからって、乱暴してきたの美姫でしょ!?」


ふふっ、でも、女子高生時代の彼女たちを僕はあまり知らないから。・・・

こんな二人はやっぱり見た事ないわけで、それだけでも過去と今は違うんだと思ってしまうわけで。


2人が喧嘩している姿を見てると、昔の夢を見てるみたいな気持ちになってしまう。

本当に、子供の頃に戻ったみたいだ。


「うるさい、うるさい! いきなり私のアキラを奪って! この淫乱女!」

「誰が淫乱女よ! いい加減、美姫も弟離れしなさいよね!」

「私は、弟離れしてます~ この間まで彼氏だっていたし~」


美姫は、全然弟離れは出来てない思うけどな~

ただ・・・まぁ、その逆もアレというか。

僕も、いますぐに美姫との関係を手放したくないと思ってるわけで・・・


「ふん、どうせ、キスされておっぱい揉まれた位で、いつもみたいにヒステリックになって、ギャーギャー騒いでフラれたんでしょ!?」

「はぁ!? 違います~ あんなヤツ、私がフッたんです~! ふん、何よ、そういうお前は、ヤリ逃げされたくせに~」


「はぁ!? あんな変態、私からフッたんです! それに、私はアイツに一切犯されてませんから! 清いカラダのままで、まだ処女です!」 

「はぁ!? 私だって、まだ清いカラダで処女だもん!」


イヤ・・・お姉ちゃん達・・・

うぅぅぅ、女の子同士の喧嘩、内容がエグすぎる。

てか、美姫・・・ゆかりちゃんに、ヤリ逃げとかはマズイっていうか。

もう少し、オブラートに包めよ。

そんな、イヤなこと思い出させるような言い方。

まだ、この間から時間たってないのに・・・


「え~ん、アキラ~! 美姫がイジメる~!」


そう言うと、近くで寝転んでいた、僕を抱き起してギュッと抱きしめてくるゆかりちゃんに・・・


「はぁ!? 何勝手にアキラのこと抱きしめてるのよ!?」

「うるさいな! 今日はアキラは私と一緒に寝るの! アンタはもう、自分の部屋に帰りなさいよ!」

「ぐぎぎぎぎ・・・言われ無くても帰るわよ! フン! ゆかり!? これで勝ったと思うなよ!」

「フンっだ! 帰れ、帰れ!」


激しい・・・過去一激しいんだが。

だいじょうぶか、この二人。


うぅぅぅ、明日は美姫にいっぱい甘えてあげないと。

はぁ、どっちか選べなんて美姫が言うからだよ・・・


本当にバカなんだから、どこまでも自信過剰なんだから。

僕が昔から、美姫とゆかりちゃん、順番に甘えて気を使ってバランス取ってたことに、いまだに気づいてないのかよアイツ。


まぁ、多少はゆかりちゃん贔屓なところがあったのは認めるけどさ・・・

でも、美姫が可哀そうで、美姫が喜ぶように、こういうことが会った次の日は意識して美姫に甘えていたし、弟の気苦労をもうそろそろ気づいて欲しいんだけどな・・・


あぁぁ・・・美姫が行っちゃう。

あ~ 目にあんなに涙貯めちゃってさ。


「フン! アキラのバカ!」


『―――バン!!』


うぅぅ、明日、反動が怖いなぁっと思っていると。

美姫のことなんて、気にも留めない感じで、ウキウキのゆかりちゃんが僕の目の前にいた。


前の人生でもこんな風に二人っきりでお部屋で過ごすことは会ったけど。

女子高生になった、大人のゆかりちゃんが僕の部屋に来て、二人っきりになったことなんて無くて。


お風呂に入って、まだ少し湿った髪のパジャマ姿のゆかりちゃんっていうのも新鮮で、なんていうか、そんな姿が少し色っぽく感じてしまい、さらに二人っきりで抱き合ってることに、また急にドキドキしてきてしまい、ゆかりちゃんの腕の中で、緊張と恥ずかしさで完全に固まっていると・・・


「アキラ、うちらも寝よっか?」

「えっ? うっ、うん・・・」

「ハイ、立って」


ゆかりちゃんに、立つように言われてスクっと立つと。

ほらほらっと言われながら、背中を押されながらベッドに連れて行かれて。

2人でベッド登って、いったんベッドの上で座って見つめ合うと。


「アキラはどっちが良い?」

「えっ? なにが?」

「左と、右、どっちに寝たい?」

「えっと、出来れば僕の左側に、ゆかりちゃんが寝てくれると安心するかもだけど」

「ふふっ、じゃあ、そうしようか」


美姫は絶対、僕が美姫の左側に来ないと嫌がるのに。

ゆかりちゃんは気にしないのかな?


「ゆかりちゃんは、どっちが良いとかないの?」

「ん? う~ん、アキラが落ち着く方が、私の落ち着く場所だもん」


うぅぅ、可愛すぎる・・・

つくづく、言うことが可愛らしいだよこの人。

そういう所は、全然変わってないというか・・・

違うな・・・元々こういう人なんだよ、ゆかりちゃんは・・・


もう、過去のあの辛い記憶は捨てよう。

また、新しい人生とゆかりちゃんと作るんだから。

どうなるなんか、まだわからないけど。


前の人生よりも、ずっと沢山時間があるんだから。

ゆっくり、ゆかりちゃんとも関係を気づいて行けたら良いんだ。


ゆっくりか・・・いきなり二人っきりで寝ちゃうとか、全然ゆっくりじゃないし・・・

正直どうなのかな~


ゆかりちゃんが良いと言ったけど。

正直、ドキドキで眠れる気がしないし。

今日は美姫のマジックハンドも無いし、あんな気持ちになったらどうしたら・・・


「どうしたの、アキラ? ほら、おいで、一緒に寝よう?」

「・・・うん」


ハァ~ 自然と腕を出してくるから、思わずそのまま、ゆかりちゃんの腕枕で寝ちゃったけど。

ゆかりちゃんの、おっぱい・・・


「ん~ やっぱり、アキラは暖かいな・・・」

「ゆかりちゃん?」

「な~に?」


「どうして、再会してまだ日も浅いのに、そんなに可愛がってくれるの? 一緒にお風呂なんて嫌じゃなかったの?」

「なにそれ? 私、アキラのこと1日だって忘れた事なかったのよ。 ずっと、会いたい、会いたい、会いたいって思ってたんだから。 そんな思いが叶ったのよ、可愛がるなんて当り前でしょ。 でも・・・お風呂は流石に恥ずかしかったけど・・・でも、アキラだから平気だもん」


「裸、僕にみられちゃって平気だったの?」

「どうだった? わたしのはだか?」


「そ↑っ・・・それは、綺麗だったよ! すっごい、綺麗で、まるでルネッサンス美術の頂点に君臨しちゃうような美しさっていうか。 もう完璧すぎて、見惚れちゃったっていうか」

「ふふっ、ありがとう。 べた褒めだな」


「だって、本当に綺麗だったから・・・」

「うん、ありがとう、嬉しいな。 さっきね、お風呂場でアキラと抱き合ってる時、本当に幸せだったんだ」


「どうして?」

「あいつに触れたら所を、アキラに手で触られて、アキラのカラダとぴったりふれあってたら、なんかね・・・・・・私の全てがアキラのモノにされたような気持ちになって、そしたらすごく幸せな気持ちになってきて。 ずっと気持ち悪くて、辛くて、泣きたい気持ちだったのに、今はね、アキラとこうして触れ合ってることで安心できるから。 ありがとう、アキラ」

「イヤ、そんな、僕なんてなんにも・・・」


美姫がバカみたいにギューギュー押し付けるから、色んな所さわちゃったんだよ!

・・・でも、不可抗力とはいえ、さわちゃってイヤな思いしてるのかもって心配してから。

なんか、いまの話聞かされて、少し安心したっていうか、触れてよかったっていうか。


はぁ~ でも、この手に残ってるゆかりちゃんの裸の感触が・・・

ダメだ・・・こんな気持ちで、俺・・・今日一晩中、色んなことを我慢出来るんだろうか?

もう、すでに俺の下腹部の住民は、スタンバイオーケーになってるし・・・


「アキラ? また来て、一緒に寝ても良い?」

「うん、良いよ。 昔みたいに、毎日でも良いって思ってるから」

「ふふっ、じゃあママに相談してみるね?」


「ほんとう?」

「うん、アキラとまた一緒にいたいってお願いしてみる」

「ふふっ、ゆかりちゃんと毎日一緒かぁ・・・楽しみだな~」

「でも、一番の敵は美姫だけどね。 アキラはどうして今日私を選んでくれたの?」


「だって、美姫とは毎日一緒にいるし、ゆかりちゃんとは今日しか無いかもしれないでしょ? それに、裸見ちゃったら、自然とゆかりちゃんの方へ惹かれちゃったいうか・・・」

「そっか、美姫より私の方が魅力的だったってことかな?」


「ゆかりちゃんは本当に綺麗だったから。 美姫の裸も綺麗は綺麗だけど・・・次元が違うというか、ベクトルが違うと言うか・・・」

「はぁ・・・しばらく会わないうちに、難しいこと言うようになったねの? ふふっ、でもベクトルが違うってなによ? どう違うの?」


「えっ? ゆかりちゃんの裸は、美しくて憧れのような感じで。 美姫の裸は、シンプルにエロイっていうか・・・」

「ぷっ、美姫のカラダはエロイってなによ? それで、美姫と毎日お風呂一緒に入ってるのね? このマセガキがエッチなんだから」

「だって、美姫も好きだし。 ゆかりちゃんも好きなんだもん」


「ふふっ、二人とも好きって、相変わらずだな。 この、モテ男」

「モテてないよ・・・」


「少なくとも、私達からはモテてるでしょ?」

「でも、美姫とは結婚できないから。 美姫に甘えられる時間って意外ともうあんまり時間が無いというか。 だから、いつかは、ゆかりちゃん、一択になっちゃうっていうか。 でも、その時に、ゆかりちゃんが僕の傍に居てくれるのかて不安に思うって言うか・・・」


「アキラ・・・そんなこと考えてるの?」

「だって、いつまでも子供のままじゃいられないし。 いつかわって覚悟は必要だから」


「なんだか、しばらく見ないうちに、現実的な子になっちゃって。 でも、普段そういうの隠して美姫と接してるの?」

「今はまぁ。 美姫が甘えるのを許してくれてるうちは、ずっと甘えたいし・・・」

「なによそれ。 なんか、焼きもち焼いちゃうなそれ」


「なんで、焼きもち?」

「私だって、アキラに美姫みたいに甘えて欲しいもん」

「イヤ、でも・・・それは・・・」

「平気よ、美姫がこのあいだアキラにされたこと、学校で自慢しまくってから。 だいたい、二人が普段何してたのか知ってるから」


あいつ・・・学校でなにを言い降らしてんだよ!

ただの変態弟妹と思われるだろうが!!

バカなのか・・・アイツ・・・


「アキラ・・・いつか、わたしにもちゃんと甘えてね。 そしたら、わたし・・・しあわせ・・・だか・・・」


「ゆかりちゃん?」



あれ? ゆかりちゃん?


―――寝ちゃった、みたい。



いつかって・・・そんな、ゆかりちゃんが許してくれるなら、いますぐにでも甘えたいよ。

でも、最近美姫があまりに起こらないから、調子乗って色々しすぎて。

さすがに、ゆかりちゃんにいきなり美姫と同じようにって、ハードル高過ぎだよそんなの・・・


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