第10話 綺麗なお姉さんは好きですか?
夕方まで降っていた雨もいったん止み。
二人にそれを言うと、今のうちに帰ると言うので。
玄関まで二人を見送りに降りて来ると。
「じゃあね佐久間君。バイバイ」
「うん、アッコちゃん明日は?」
「ん? ごめん、明日は家族でお出かけなんだ」
「そっか、お出かけならしょうがないよね」
「会え無いと寂しい?」
「うん、出来ることなら、毎日会いたいから・・・」
「ふふっ、甘えん坊だな。 ごめんね、また月曜日すぐ会えるからさ」
「うん、そうだね。 月曜日まで我慢する・・・」
「もう、そんな顔しないでよ。 別れが辛くなっちゃうでしょ」
「・・・ごめん」
「もう、ほら、ヨシヨシ。 寂しくない、寂しくない」
はぁ・・・どっちが大人なんだろう?
小学5年生のアッコちゃんに、頭ヨシヨシされながら慰められるとか。
我ながら情けないし、隣にいる木下にニヤニヤしながら見られているのがさらに恥ずかしい。
それでも、やっぱりすぐに別れるのが寂しくて。
二人のことを途中の公園まで送って行き。
橋の手間で、バイバイっと言って別れた。
二人が橋を渡って、こっちを振り向いてバイバイっと手を振ってくれので、それにこちらも手を降って返し。
そのまま二人が見えなくなるまで見送ると。
そのまま1人で、トボトボと元来た道を歩きはじめた。
雨混じりの天気で、厚い雲に覆われたどんよりした天気で。
さらに夕方になり日が落ち始めた、いつもよりも暗い公園の中を、トボトボ歩いて、テニスコートの横を通って道路に出た瞬間。
テニスコート脇の駐車場に、エンジンがかかったまま、ヘッドライトは消えた車が止まっているのが目に留まり。
気になって、しばらく歩きながら、その車をジーっと見ていると。
車の中で、男女がキスをしているのが見えてしまい。
ウワ~っと思いながら、車の前を通り過ぎていたんだけど。
こんな所で、恥じらいも無くと思いながら、ジーっと見ながら歩いていたんだけど。
どう考えても、見覚えのあるヤツが助手席に座っていて。
運転席には大学生か社会人か若い男性が1人・・・
そんな二人がキスをしている場面に出くわしてしまい。
木下じゃないけど、かなり気まずい思いになりつつも。
そのまま、車の前を通り過ぎて、少し先で様子を伺うことにした。
それにしても、アイツ、高2の時点ですでに彼氏がいたなんて、前の人生じゃ全然気づかなったんだけど。
相手は、大学生か、社会人か? 誰だよアイツ!
いったい、どこで出会ったんだよ・・・
美姫なんて、口は悪いし、すぐキレるし、人の気持ちなんてどうでもよいみたいに、弟でも平気で傷つけるようなヤツなのに。
どうせ、そんなことも知らないで美姫と付き合ってんだろ?
美姫なんて、ただ黙ってれば可愛いだけの酷い女なのに。
見た目の可愛さと、あの綺麗な巨乳だけに目がくらんで惚れちゃったんだろうけど。
中身の性格も良くしりもしないで、付き合ってんじゃね~よ。
って、何回キスしてんだアイツ!
しかも、美姫のおっぱい触ってないかアイツ!?
美姫もなんで、黙っておっぱい触らせてるんだよ!
何やってんだよ! さっさと離れろよ!
クソッ、美姫のことなんてもう何とも思ってないはずなのに・・・
なんで、こんなにモヤモヤするだよ・・・
もう、だから美姫がいるあの家には帰って来たく無かったのに。
姉貴のヤツ・・・
バカみたいに、乙女みたいな顔してんじゃね~よ、バカが!
―――ガチャ。
『じゃあまたね、雄太』
車から姉ちゃんが降りて来た。
『うん、じゃあまた来週。 朝迎えにくるから』
来週、また朝に迎えに来るだと?
『うん、気を付けて帰ってね。バイバイ』
『バイバイ』
美姫が手を振ると、ヘッドライトがパッとついて。
駐車場からゆっくり車が走り出すと。
―――プップッ!
クラクションを鳴らして走り去って行き。
突き当りを曲がる手間で、テールランプが5回、パッ、パッ、パッ、パッ、パッっと点滅して走りさっていった。
てか、テールランプの点滅5回って。
マジかよ・・・ベタにあんな事するヤツいたのかよ?
てか、美姫のヤツ。
家から離れた公園の駐車場で男とイチャイチャしやがって。
しかもなんだよ、あんな短いスカート履いて、足なんて出しちゃってさ。
わざわざ、あんな冴えないヤツ相手に、そんな可愛い格好なんてしなくて良いのに。
なんか、イライラするな~
でも、そう言えば、小6の時に、たまに帰ってくるの遅くて、親に怒られてたことがあったっけ。
なるほどね、あの時の相手が今のヤツってわけか。
それにしても、弟に一部始終見られてるとも知らずにバカめ。
車から降りて、走り去るのを見送った美姫が家の方向へ歩き始めたので。
隠れていた電柱から離れると、そのまま美姫にバレない様に慎重に美姫の背後に近づいて行き。
そのまま、一気に距離を縮めると背後から―――
「ワァ~~~~~~!!!!」
「ウギャ~~~!!!! えっ!? なに!?」
飛び上がってビックリする美姫の、すぐ前に回り込むと。
暗闇で、急に現れた不審人物の俺を見て、さらにビクッと肩を震わせてびっくりする美姫に対して。
「えへへへ~」
「・・・・・・えっ? ・・・アキラ? もう! びっくりするじゃない!! バカなの!! も~う、ヤメてよ~ 変質者に襲われたかと思ったゃじゃない!」
本気でびっくりしたらしく、腰を抜かしてその場にペタっと座り込んでしまい。
流石にやり過ぎたかと思い、可哀そうになり、姉ちゃんを起こしてあげようと思い。
腕の間に首を潜り込ませて、立たせようとした瞬間。
ぐえっ!? ちょっ!! 美姫!! ギブギブギブ!!!!
こっちは善意で起こしてヤロウとしたのに。
急にヘッドロックをかまして、そのまま首を締めあげるとか暴挙に出てんじゃね~よ~!
身動きも出来ず、首はギュッと完全に絞まってしまい、息も出来なくなり、必死にもがいていると。
「もう! バカ! 本気でびっくりしたんだから!」
「姉ちゃん・・・ギブ、ギブ、ギブ。 死んじゃう・・・」
必死に姉ちゃんの腕に何度もタップをしてアピールする。
マジでもうダメ死ぬっと思った直前、ようやく解放され。
逆にその場に、ヘタっと座り込まされてしまう。
ゲホ、ゲホ、ゲホっと俯いて下を見ていると。
目の前に姉ちゃんの足がニュッと現れ、そのまま上を見上げると。
仁王立ちした美姫が、ドヤ顔で立ちはだかっていた。
なんなんだよ、その逆にやり返して満足みたいな顔・・・
やっぱり、こいつ最悪だよ。
可愛い弟を本気で締め落とそうとするなんて。
しばらく、その場で咳き込んでしまい、ようやく収まって来たので、そのまま立とうとした瞬間。
姉貴の腕がにゅっと僕の脇の下に伸びてきて。
そのままひょいっと持ち上げられると、赤ちゃん抱っこをされてしまい、美姫の胸の中に完全に拘束されてしまうと。
「お前、こんな時間までどこほっつき歩てたんだ!? 危ないだろ!」
「姉ちゃんだって、あんな駐車場の車の中で何してたのさ!」
「えっ? 嘘・・・あんた、見てたの?」
ふん、ざま~みろ!
俺に見られていたって知って、急に顔色が変わりやがって。
明らかに焦り初めた美姫に、再度やり替えしたような満足感を覚え。
美姫の腕の中で、ドヤ顔をしていると。
「お前、どこまで見てたんだよ! 言え!」
赤ちゃん抱っこをされた状態で、左右にブンブン振り回され。
言うまでヤメて貰えそうもないので、仕方なく口を開き。
「姉ちゃんが、乙女みたいな表情で、どこぞの知らんオッサンと車の中でキスしているところなんて見てないよ!」
答えるとすぐ、振り回すのを止めてくれたものの、三半規管を震わされて美姫の腕の中でフラフラしながら。
えへ~ 美姫の弱みゲット~ っと思っていると。
「あんた! ちょっと、お父さん達には、そのこと内緒だからね!!」
おっほ、これは思った以上の収穫なのではと、悪知恵が浮かび。
「え~ 黙ってても良いけど、タダで~?」
お姉ちゃんに甘えるように、抱き着いてスリスリしていると。
「お前・・・お姉ちゃんにたかる気?」
「え~ でもさ~ 姉ちゃんさ~ これって、かなりのビックスクープだと思わない? 軽く見積もっても、貸3つ、くらいの価値はあると思うんだけど~」
「はぁ~ 最悪・・・なんでこんな奴に見られたんだよ」
ん? 待てよ・・・
さっき、美姫のヤツ。
『じゃあ、来週楽しみしてるね?』
『うん、朝迎えにくるから』
「てか、姉貴さ~ 彼氏と来週どっか行くの?」
「何よ? 来週って?」
「会話、全部聞いちゃったんだよね~ ねえ、ねえ、来週どこ行くの?」
「なんで言わないといけないのよ!」
「ふ~ん、そういう態度とるんだ~ じゃあ、来週姉ちゃんが帰ってくるの遅かったら、俺うっかり母さんに、お姉ちゃんは男の人の車で出かけていったよ~とか言っちゃうかもしれないな~」
「おっ、お前! 汚いわよ!」
美姫が怒って、抱き着いた状態の俺をそのまま、また左右にブンブン振り回そうとするが。
がっちりと美樹に抱き着いてるお陰で、ダメージは受けずに済み。
「ふふ~ん、だからさ~ 来週どこ行くのって聞いてんじゃん?」
「うぅっ・・・来週は、アイツとルスツ行く約束したの!」
ルスツ? 遊園地か!?
「ルスツって遊園地行くの? 車で?」
「そうよ!」
「え~ 俺も行きたい!」
「バカなの!? どこの世界に弟連れてデートに行くバカがいるのよ!」
「ヤダ、ヤダ! 連れてってよ~! ダブルデートしようよ~!?」
「はぁ? ダブルデートだぁ?」
くぅぅぅ、アッコちゃんと遊園地デート行けるんじゃね?
転校前の思い出作りに最高じゃん!
「うん、姉ちゃんの彼氏と、俺の彼女と一緒にダブルデートしよう!?」
「嫌よ! 弟とダブルデートって、ただのガキ二人のお守りじゃん! 絶対にイヤ!」
「イイじゃん! 現地では別行動で良いから。 絶対邪魔しないから! お願い!」
「イヤよ!」
はぁ? 良いのかな~そんな態度で・・・
「あっそう・・・姉貴さ~ 携帯の基本料金、親父が払ってるんだよね?」
「なっ・・・なによ、いきなり?」
「高校2年生なのに、車でデートしてコソコソ公園の駐車場でキスとかしちゃう男と付き合ってるって言っちゃおうかな~」
「あんた、どこまで汚いのよ!」
「あ~ 大好きな綺麗なお姉ちゃんが、汚い大人に汚されてるなんて耐えられないよ~ 絶対にお父さんに言って別れさせないと! 僕の大事なお姉ちゃんが汚い大人に、性の捌け口にされてるなんて耐えられない!」
「だぁ~! バカ! うるさい! 誰かに聞かれたらどうするのよ! しかも、そのわざとらしい棒読みヤメなさいよ、腹立つわね!」
「じゃあ・・・ルスツ。 連れてってくれますか?」
「お前、マジで、どこでそんな碌でも無い知識を・・・性の捌け口とかどこで覚えたのよ!? もうバカ!」
「じゃあ、ダブルデートしてくれるの?」
「弟とダブルデートって・・・あんた彼女なんて、いつ出来たのよ?」
「えっ? 5日前です。 お姉様」
「そういえば、月曜日にあんたが女の子家に連れてきてたけど。 まさか、あのチンチクリンと付きあってるの!?」
「オイ! 人の彼女捕まえて、チンチクリンってなんだよ!」
「マジ言ってんの? あんたまだ小学生でしょ? 本当に彼女なの?」
「姉貴さ~ 今時の小学生は普通に恋愛だってするんだぜ。 もうほっぺにキスもされちゃったし、ハグもしちゃってラブラブなんだから~」
「ふん、何がラブラブよ。 ほっぺにキスって。 ふっ、まだそれだけなの? アキラ? あんた、お姉ちゃんととっくに口同士のキスまで済ませてるわよね~ チンチクリンより、お姉ちゃんとの方がずっとアキラとラブラブよね?」
うるせ~な~ いつの話だよ!
子供の頃の話持ち出して、マウント取ってくんじゃね~よ!
「ねぇえ! それよりも、ダブルデート! 俺とアッコちゃんを一緒に連れてって!」
「ふ~ん、あのチンチクリン、アッコちゃんて言うんだ。 どうしようかな~」
「良いじゃん! 絶対現地じゃ、邪魔しないから!」
「じゃあ、お姉ちゃんに、今キスしてくれる?」
「はぁ? なんでそうなるんだよ! てか、嫌だよ! あんなオッサンとキスしたお姉ちゃんとキスなんて! オッサンと関節キスするようなもんじゃん!」
「じゃあ、家に帰って顔洗ったらキスしてくれる?」
「なんで、そうなるんだよ!?」
「してくれるの!?」
「分かったよ・・・でも、ちゃんとお風呂入って、歯磨きして、全身綺麗にしてからだからね!」
「うっふ~ そんなの当たり前でしょ~ 絶対だからね! 約束よ!」
「もう、するよ・・・したら良いんでしょ?」
「もう、だったら、しょうがないな~ ちょっと待ってなさいよ」
そう言うと、抱っこしている僕を道路に降ろして。
少し僕から離れて姉ちゃんが電話をかけ始める。
『もしもし? 雄太? ごめんね。あのね、ちょっとお願いがあって・・・弟にさっきキスしてる所見られて。 うん・・・そんなの。 でね、ルスツ一緒につれてけって言うのよ。 うん、弟と弟の彼女の二人だって。 うん、じゃないと親にバラすって脅すのよ。 うん。えっ? イイノ? ごめんね・・・うん、ありがとう。 雄太大好き』
ケッ、何が雄太大好きだ。
何かイライラするな~
電話が終り、携帯をカバンにしまうと。
また、僕の方へ姉ちゃんが戻って来ると、不服そうな顔をしながら。
「イイって」
「やっぱり、持つべきものは綺麗なお姉ちゃんだな~ お姉ちゃん大好き!」
「ふん! ワザとらしい・・・」
「でも、やった~! さっそく帰ったら、お母さんに言ってお小遣い貰わないと~♪」
「お前、バカなのか! それ言ったらバレるだろ!」
「ノン、ノン、ノンそこはちゃんと考えてるから安心したまえ」
「安心できないなんだけど・・・それより、ちょっと、ちゃんと忘れないでよ! キス!?」
「わかった、わかたって~ キスでもなんでもしてあげるって~」
「なんでもって言った?」
えっ? なに、このイヤな予感?
てか、なんで美姫とキスなんてしないといけないんだよ。
なんか、タイムリープして来てからずっと違和感を感じてるんだけど。
何で、美姫のヤツ、ことあるごとに俺に絡んで来るんだ?
お風呂に入ろうとしたら、一緒に入ろうとしてくるし。
毎晩、俺の部屋に来ては、一緒に寝ようとするし・・・
昔は姉ちゃんが帰って来て、ピアノ弾いてる近くで遊んでたら、邪魔だって思い切り足蹴にされたりして乱暴された記憶しかないし。
テレビのチャンネル変えたら、殴られたり、モノを投げつけられたりしたのに。
ここ最近の美姫は、帰って来て制服のままピアノ弾いてる近くで寝転がってずっと美姫のことジーっと見てても優しく微笑み掛けてくれるだけで、全然蹴ったりしてこないし。
ピアノのペダルに乗っけた美姫の足が綺麗だなって思って、触りたくなってサワサワして悪戯しても、怖いくらい全然怒られないし。
それどころか、触りやすいように足を僕の所へ移動してくれたりして、なんか調子狂うんだよな・・・
なんだろう、タイムリープして、美姫の性格変わったりしたのか?
妙に優しくて、たまにマジで可愛く見えちゃうんだけど・・・
今だって、なんか自然と手なんて繋いじゃってるし。
さっきも、赤ちゃん抱っこなんかしちゃってさ。
何だコイツ、前の人生の記憶とちょっと違うような気がするんだけど。
なんなんだ、なんかこう、引っかかるっていうか。
色々モヤモヤするんだよな・・・
「アキラ、ケーキ買ってきてあげたから、一緒にお風呂入った後に食べようね~?」
ほら、俺にケーキを買ってくるとかありえないんだけど。
マジ、どうしたんだ? まるで別人なんだけど・・・
それとも、俺の記憶がどっか変なのか?
「てか、一緒にお風呂なんて入らないよ」
「ぶ~ なんでよ~ お姉ちゃんのこと嫌いになったの?」
「あんなオッサンとキスしてるお姉ちゃんなんて嫌い!」
クソッ、なんかイライラする。
なんなんだ、あのオッサンは・・・
「もう、そんなに怒ることないじゃん? アキラが私の事ちゃんとカマってくれないからでしょ?」
「じゃあ、俺がアイツと別れてって言ったら別れてくれるの?」
「えっ? 別に良いけど。 そしたら、ルスツに行けなくなるわよ?」
イヤ、それは困る・・・
でも、なんだろう、今一瞬、美姫とあいつを別れさせたいとか本気で思ちゃたんだけど。
もう、なんかこの時代の美姫が優しくて、可愛いから調子が狂うんだよ。
「ねえ? 今日のお姉ちゃんの格好どう思う?」
「普通に可愛い・・・」
「本当!? ねえ、ねえ、どの辺が可愛い?」
「プリーツのミニスカートとタイツの組み合わせがスッゴイエロイし。その清楚系みたいなフリル袖のフワフワのブラウスはその綺麗なおっぱいを強調しちゃってめちゃくちゃエロいし、黒のスカートに白のブラウスでお嬢さな感半端ないし可愛いすぎなんだよ。バカにみたいに、アイツにおっぱいなんて触らせちゃってさ!」
「もう、そこまで見てたの? ごめんって、わたしだって急に触られてビックリしたんだから。 ちゃんと、嫌だって言ったんだよ?」
「ふん、知らないよそんなの・・・」
「じゃあ、アキラがお姉ちゃんのおっぱい触って、全部上書きしてくる?」
「なんだよそれ・・・バカじゃないの?」
「素直じゃないな・・・おっぱいが綺麗でお嬢様みたいとかべた褒めしおいてその態度は無いんじゃないの? 本当は触りたくて仕方がないくせにさ~ 昔は素直に触ってくれたし、おっぱいだって吸ってくれたのにな~」
「そんなの知らないよ! 俺が赤ちゃんの時の話だろそれ!?」
「え~? 小学校入ってからもしばらくの間は、おっぱい吸わせてあげたもん」
「覚えてません! そんなの・・・」
「ぶ~ すぐそうやって覚えてないとか言うし。 泣き止まない時は、おっぱいあげたらすぐ泣き止んだクセに」
「だから・・・赤ちゃんの時の話だろそれ?」
もう、何言ってんだよコイツ・・・
そんな記憶無いって。
「ねえ、それよりさ、さっきお姉ちゃんの足、綺麗って言った? そんなに好き? エロイとか言っちゃってさ~ 好きだと思ったんだこういうの~ 触りたい?」
「・・・別に、嫌いじゃないし。 触らせてくれるなら、別に触ってあげても良いけど・・・」
「ふふふっ、素直じゃないな~ じゃあ、帰ったらピアノの練習するから、その間だったらずっと触らせてあげても良いけどな~」
「・・・じゃあ、そうする」
「ふふふっ、可愛い。 バーカ」
「どうせ、バカですよ・・・」
あぁぁ、もう調子狂うな~ なんなんだよ、この違和感・・・
ダメだ、目の前の美姫と記憶の中の美姫とのギャップが有り過ぎて、何が本当の記憶か分かんなくなって来ちゃったよ~
俺どっかで頭でも打ったのかな?
こんなにも、記憶が曖昧になってることってあるのか?
それとも、前の人生の記憶と、全然違う世界に来ちゃってるのかな。
アッコちゃんとの関係もあんなにスンナリ行っちゃうし、あまりに自分に都合よく事が進み過ぎる気がする。
あれかな、やっぱりタイムリープなんて嘘で、ずっと長い夢でも見ちゃってるんだろうか。
そんな現実逃避みたいな事を考えながら、美姫と手を繋ぎながら家まで帰ってくると。
美姫が先に家に入り、続いて僕が家に入り、そのまま扉を締めて鍵を掛けた。
鍵を掛け終わり、振り向くと美姫が玄関に座り込んでいて、一生懸命ショートブーツを脱ごうとしていた。
そして、ブーツと格闘を始めた美姫は、少しお股を広げ気味になると、僕の目の前でいきなり右脚を大きく上に上げるものだからミニスカートがはだけて美姫のパンツが――――――
パンツが・・・
ん? ・・・パンツが、玄関が暗くて見えない!
絶対見えてるはずなのに、お姉ちゃんの魅惑ゾーンはどこまでも暗くて、そして黒い・・・
チィッ・・・せっかくパンチラチャンスだったの。
いまから、玄関の電気を付けて、ここまで戻って来るのもパンツ見てますって感じでわざとらしいし。
はぁ~ 残念だけど、いったん諦めるしかない・・・
まぁ、どうせこの後すぐにピアノの練習するって言ってたから、その時に見れるだろう・・・
そう思いながら、美姫よりも先に靴を脱ぐと、そのまま洗面所へ行きを手を洗っていると。
後ろから、美姫がやってきて、僕を後ろから抱きしめるように手を伸ばして来て。
僕におっぱいをムニュムニュと押し付けながら、一緒に手を洗い始め。
「姉ちゃん、洗いにくよ~」
「ふふふっ、イイじゃない、一緒に洗えば~」
「なんでだよ? ちょっと待ってればイイじゃん?」
「良いでしょ? この方が効率的なんだから」
どこがだよ、俺はもう洗い終わりそうなのに。
美姫がふざけて、僕の手に石鹸の泡々を擦り付けて来るものだから、全然洗い終わら無い・・・
これのどこが効率良いんだよ。
姉ちゃんと手洗いでイチャイチャし終わると、僕はそのままキッチンへ行き冷蔵庫から麦茶を出して、ダイニングテーブルで一休みしていた。
しばらくして、二階へカバンとかを置きに行っていた美姫がバタバタ足音を立てながら階段を降りて来て、キッチンまで戻ってくると。
「お母さん、今日ケーキ買って来たんだ~」
「あら、そんな無理しなくても良いのに、どこの?」
「ろまん亭のケーキ」
「へ~ ひなのちゃんのお父さんにお礼言ったの?」
「ちゃんとお礼したもん」
ひなのちゃんのお父さん?
はぁ・・・そう言う嘘を・・・
ルンルンの美姫が、ケーキの入った白い箱を開けた瞬間。
急に美姫の顔から笑顔が消えた・・・
「なにこれ!?」
美姫が急に大声を出すから、何事だと思い。
母親と僕が、姉ちゃんの手元にあるケーキの箱の中を覗き込むと。
うぁ、これは・・・
でも、ん?
「ケーキ・・・グチャグチャね。 美姫、あんたどんな持ち方してたのよ?」
「え~ ちゃんと手に持ってたのに~」
イヤ・・・お前、さっき。
俺のこと抱っこして、そのまま俺に嫌がらせするのにブンブン左右に振り回してきたけど・・・
あの時、お前・・・手にしっかりとこれ持ってたよな?
イヤ、あんなにぶん回してたらこうなるって。
はぁ~ マジで美姫ってバカっていうか、天然ていうか・・・
とわいえ、あまりのへこみ様に可哀そうになり。
イスの上に立って、美姫の頭をヨシヨシとしながら慰めながら・・・
「まぁ、ケーキは崩れてるけど、味は美味しいよきっと」
「アキラ~ ごめんね~ うぅぅぅ、ケーキがこんなになるなんて、アイツに触らせ損だよ・・・」
触らせ損って何言ってんだコイツ?
相変わらず意味不明なことを・・・
「まぁ、ケーキは後で皆で食べようよ。 でさ、お姉ちゃん、ピアノの練習しないの?」
「ん? うん・・・するけど・・・」
肩を落とす美姫の代わりに、ケーキの箱を冷蔵庫に閉まっていると。
リビングからピアノの音が鳴り始めたので、僕は急いでグランドピアノの下に潜り込み。
ここ最近の定番になりつつある、ソフトべダルのすぐ脇に陣取ると、そこに寝転がって絶景を・・・
ん? 絶景を・・・
―――なんで? どこまでも暗い・・・
はぁ? ピアノの上にある関節照明もついてて、壁に光が反射して、良い感じに美姫のスカートの中に光が届いているはずなのに。
それともあれか?
さっきまで夕日が綺麗だったけど、日が沈んでしまったせいで、隣の部屋の窓から差し込む光が弱いのか?
イヤ・・・光は十分に足りてるはずだよ。
だって、美姫の太腿はあんなに綺麗に見えてるモン。
でも、何故か、美姫の魅惑ゾーンだけが、さっき玄関で見た時と同じで・・・
どこまでも暗くて、そして黒いんだ。
えっ!? なんでよ!? いつもより少し厚手のタイツだから!?
でも、肌の色はイイ感じに透けてるし、そんなパンツが見えなくなるほど、真っクロクロスケでは無いのに・・・
この頃の僕は視力には相当の自信があり、常に両目2.0で、大抵のモノは見えてしまうワケなんだけど。
それでも、どこまでも暗くて黒い・・・
僕はその真相の原因を探るために、美姫の魅惑ゾーンをジーっと凝視し。
そして、あることに気づいてしまったのだ・・・
お姉ちゃん・・・嘘だろ!?
何てことだ・・・クソッ。
そんなのダメなのに、色気も何もないじゃないか・・・
なんでそんな・・・
お姉ちゃんのバカ! なんで黒のパンツなんて履いてるんだよ!?
うぅぅぅ、バカ、バカ、バカ。
黒のパンツなんて、全然エロくないのに。
この世で一番エロイパンツの色は白なのに!!
ラッキーパンチラは白のパンツって決まってるのに!
それが、男のロマンのはずなのに・・・
イヤ、白で無くても良いよ。
でも、最低限、パステル系の明るい色のパンツしか俺は認めたくない。
女の子を最高に可愛くセクシーに見せるのは、白系統の下着だっていうのに。
うぅぅ、黒ってなんだよ・・・
水曜日は、ヒョウ柄とか意味不明なパンツも履いてたし。
昨日なんて、真っ赤の下着とかなんなんだよ!
美姫のパンツのラインナップはどうなってるんだよ!
あぁ~あ、黒のパンツ・・・確かに見えてるけど。
はぁ~ どうして、こんなにも残念な気持ちになっちゃうんだろう。
ふん、もう良いよ・・・お姉ちゃんの足がココにあるし。
いったん残念な気持ちを抑えて、目の間にあるお姉ちゃんの左足の甲をスリスリしはじめて、気持ちを落ち着かせようとしていると・・・
最近妙に優しい美姫がまた気を利かせて、僕の鼻先にスススッと足を差し出してくれたので、喜んで飛びついてスリスリし始めたのだが。
――――――なんか違う。
いつもの、大好きなお姉ちゃんの香りじゃない・・・
なんかこう・・・鼻にツーンっとくる香りというか。
ちょっと、直接スリスリするには、あまりにちょっと・・・
僕は、とにかく子供の頃から、匂いには敏感で、香りの強いものが苦手というか。
すき焼きの春菊、付け合わせの三つ葉、セロリにわさびなんて拒絶レベルで、ネギや紫蘇は我慢したら行ける程度で、とにかく匂いのきついものはダメなんだよ。
うぅぅ、僕の大好きな・・・いつもの美姫が使ってるボディソープの香りにフローラルの様な香りとココナッツのような甘い香りを僅かに含んだ良い香りに、その奥にほんの少しだけ靴のゴムのような香りがまざったあの独特に美姫の香りがしない・・・
悲しすぎるよ・・・さっき触らせてあげるって言うから、ドキドキして待ってたのに・・・
今日のお姉ちゃんの足――――――
なんか臭い。
はぅ~ 最悪だよ。
お姉ちゃんのおっぱいはあの変なヤツに、俺の目の前で揉まれまくるし。
しかも、一度だけで飽き足らず、何度も何度もキスしやがって・・・
それでも、僕は耐えて、この時間を楽しみしてたのに。
お姉ちゃんのパンツは黒くてよく見えないし、足は臭いし・・・
はぁ~ なんか、色んなことが恨めしい。
テンションがダダ下がりで、でも美姫の足の感触だけはいつも通りというか。
きめ細やかな、お値段が少し高そうなタイツの肌触りだけは最高に気持ちが良くて。
残念な気持ちを抑えながら、美姫のあんよをスリスリしていると。
美姫が不思議そうな表情を浮かべて僕の方を見たと思ったら、左足のつま先を僕の鼻先までスススっと移動してくれたんだけど・・・
お姉ちゃんの、その優しさが本当に嬉しい。
僕を思って優しくしてくれてる、お姉ちゃんの気持ちはスッゴイ嬉しいんだけさ・・・
でも、今日のお姉ちゃんの足はその・・・
―――ちょと臭いんだよ。
いつもみたいに夢中で抱き着いてスリスリするなんて無理。
はぁ~ お姉ちゃん・・・早くお風呂に入って来て。
お願い、お風呂に・・・
もし気に入っていただけたり、少しでもおもしろいなと思ったら
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