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望郷約束

 腰に6本の剣をさした女性はニーナと名乗った。


彼女に連れられてまずは装備を整えることにする。


「私はこれにしようかな、可愛いし。ヒロトはどう思う?」


可愛さが重要なのか…… どう考えても性能を重視するべきだと思うが。


これが女の買い物というやつなのだろう、しかし身を守るためのものなんだからちゃんと選ぶべきだ。


「ちゃんと性能で選ぶべきじゃないか? ボクよりもニーナさんに意見をもらった方がいい。」


「可愛いかどうかを聞いてるんだから可愛いと言え、なっ?」


チラリとニーナさんを見る。


見ているなら早く助けてほしいんだが……


「それはダメ、確かに有名なデザイナーの作る防具はオシャレだったり可愛かったりするけど、値段の割りに性能はいまいちだから。

武器や防具は使われてる鉱石の種類や含有率をみて選ぶんだよ。」


鉱石の種類…… 確かに値段以外にもいろいろな数字が書かれている。


トルム鉱石は堅く物理的なダメージに強いらしい。


対して陽光石という鉱石はしなやかでさまざまな物に加工できるとのことだ。


魔力耐性に優れており衝撃吸収性能も高いらしく、インナーに最適だと勧められた。


それぞれの鉱石の含有率が高いほど性能が高いというわけだ。


当然値段も高くなるわけだ。


というか有名なデザイナーってなんだ、そんな職業の人間がいるのか?




ひとまず安価な剣を一本だけ買うことにした、本屋に迷惑料として手持ちの銀貨をいくらか置いてきたためボクの懐は初日からカツカツだ。


謝罪もしておいたから出禁はないだろう。


もちろんこの二人はそんなこと気にもしていないだろうが……





装備を調えてようやく異世界人ギルドにやってきた。


木造の建物に入ると綺麗に整頓された部屋で受付らしき男性がにこやかに出迎えてくれた。


「あら~ニーナちゃんじゃないの、新しい勇者様ね、可愛い男の子じゃない、紹介してよ~。」


首と顔の色が明らかに変わるほどにファンデーションを塗りたくり、アイシャドウはグリーンを選ぶ斜め上のセンス。


この世界に存在しているのか疑問に感じるが、それ以上に存在を主張するバサバサのつけまつげ、とても地毛とは思えないピンクのサラサラヘアー、ここが異世界だと改めて思い知らせてくれた男性はアリアと名乗った。


おそらく偽名だろう。


もちろん受付が女性だと思い込んでいたボクが悪いというのは理解している。


しかし、しかしだ……


「可愛いけど女だよ、失礼な。

私はミホ、この可愛くない男はヒロト、性格が特に可愛くないね。」


「可愛いじゃない、あたしは好みよ、よろしくねヒロト君。」


「どうも、よろしくお願いします。」


ボクを紹介してくれるのはありがたいが聞きたくもない情報を聞かされてしまった。


女性に好みのタイプと言われるのは初めてだが悪い気しかしない。


いや男だった、いつからこの受付嬢が女だと錯覚した、なんらかの魔術攻撃を受けたのか……


「よかったじゃん、順調にヒロト君ハーレムができてるんじゃないの?

やっぱり男の子はハーレム作りたいのかな?」


ニーナさんがクスクスと笑っている、ボクはまったく笑えない状況だ。


勝手についてきた女と暴力女、女ですらない受付嬢に、まわりには見えてもいない謎の銀髪女。


これじゃないハーレムなら出来上がりつつあるが嬉しくはない。


「さっさと話を進めてくださいよ、ボクの目的は魔獣を倒すことなんですから。」


テンポよくいかないとな。


この人たちのペースに合わせていたら状況は悪くなるばかりだ。


「そう焦らないでさ、せっかくなら楽しんで行こうよ。

魔獣を倒すのは私たちみんなの目標でしょう、ヒロト君の目標とか、やりたいこととかはないの? 」


目標か……


この世界には興味がある。


知らないことばかりだから知りたいとは思う。


だから本屋に行ったんだ……


本屋にいけば大抵のことは調べられるから、でも……


「この世界に興味はあります、できれば自分の眼でいろんなものを見て知りたいです。」


本を読むだけでは前の世界と変わらない、ネットで調べて満足していただけの引きこもりにはなりたくない。


この世界では知りたいことを知るために自分で足を運ばないといけないんだ。


「私は半年くらい観光したら前の世界に帰りたいかな。

ヒロトも観光目的なら付き合ってあげるよ。」


ミホは本当にアホの子だな。


この国にここまでしてもらって観光だけして帰れるわけあるか。


「帰る方法はないって王様も言ってただろ、どうやって帰るつもりなんだよ。」


「それを探しながら観光するの、絶対帰る方法あるから探しにいこうぜ。」


ミホが帰りたがっていたのは研修の時から聞いていたが、王様にあれだけはっきりと帰る方法はないと言われてなぜそこまで自信満々に絶対なんて言えるんだ……


「ボクは帰りたいなんて思ってない、何でそんなに帰りたいんだよ? 」


「楽しかったからだよ、今も楽しいけど前の世界も楽しかった!! 

ヒロトは何で帰りたくないの? 」


イラつくな……


ミホの言う前の世界がどんな世界か知らないけど、前の世界が楽しいって言葉に無性に不快感を感じる。


あんな世界はゴミだ、ゴミ共が暮らすゴミ溜めでしかなかった。


「うるさいな、いじめられてたんだよ、学校で。

家の風呂場で自殺したらこの世界に来てたんだ、あんな世界に帰りたいなんて思うわけないだろ。」


ミホには関係ない、関係ない人間にあたり散らすなんて最低だ。


こんな性格だから友達もできなかったんだろう。


ミホのように社交性があれば違っていたのだろうか……


今からでも変わることができるのだろうか……


「じゃあ私のいた世界に一緒に帰ろうぜ!! 

そんで私が友達になるよ、そしたらいじめられたりしないから、絶対!!」


何が絶対なんだよ、そんなことあるわけないだろ。


根拠もないくせに変な説得力出しやがって、こいつは本当にアホの子だな。


「キミは本当にアホの子だな。」


「なんでさ!! 感動して涙して私に忠誠を誓うところでしょ!!」


誓うわけないだろ、どんな思考回路してるんだよ。


また絶対って言ってるし、絶対なんてあるわけないだろ。


「まぁ、でも……もしも帰る方法が見付かったら考えるよ。」


どうせ叶わない約束だと思う。


ボクは性格がねじ曲がっているから、約束なんて信じないし、したくもない。


それでも信じてみたいと思った、まだ知り合って間もないけれどミホなら約束を忘れないでいてくれると思えたから……


だからそれまでは、このこれじゃないハーレムを楽しむのも悪くはないか。


本作を読んでいただきありがとうございます。


京マーリンです。


実はこの作品を書く前に、追放のテンプレートをお借りして作品を書こうとしたことがありました。


ダメでした、難しくて書けませんでした。


モチベーションが保てないのが一番の理由ですね。


流行っているから題材にするというのも、高いプロ意識がなければできないことだと思い知りました。


未熟な私は書きたいものを書くのではなく、書きたいものしか書けないということですね。


きっちりとテンプレートを使える方は素晴らしい努力家なのだと感じております。


では次のお話で、またあなたにお会いできることを楽しみにしております。         みやこ

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