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漢字少女

 「おはよーヒロト君、今日も頑張って行こーぜ!!」


「おはようございます三日先輩、静かにしてください。」


研修も三日目になり、ここでの生活にも慣れ始めた。


魔術の扱いにも少しずつ慣れて、だんだん出力が上がってきている実感があって楽しい。


朝から騒がしいミホを適当にやり過ごしながらキリュウさんを待つ時間もそれなりに楽しめるようになった。



「二人ともおはよう、今日もよろしくね。

さて、今日は始める前にギフトについて少し話しておこうか。

とはいえ、私たちもギフトに関してはわからないことが多いからね、わかっている範囲での説明にはなるけど。」


ギフト……初日に少し聞いたけどボクにはそんな力はない。


「ギフトは異世界人がこの世界に持ち込むものだからね、私たちにとっても未知の力なんだ。

そもそもこの世界にないものだから、研究はほとんどされていない。

ミホちゃんにも確認したけど、もともと……前の世界で持っていた力というわけじゃないらしい。

そうだったよね?」


「はい、そうなんですよ、ホントいつの間にって感じでした!!

ヒロト君もそんな感じ?」


(ボクに振るのか……)


「ボクは…… わからない、ギフトなんて持ってない、と思う。

どのタイミングでわかるんだ?」


「えっ? 最初ッからだけど?

なんとなく使い方わかるっていうか、なんとなく使えるようになった感じだよ。」


彼女に聞いたボクがバカなだけだ、わかってる。


感覚で生きている人間の代表みたいな性格だからな。


「どんな力なんだ?」


「よくぞ聞いてくれたな、私のギフトは漢字パワーだよ!!」


(かんじパワー、感じパワーか? 感覚だけで生きているからな……)


「で、どんな力なんだ?」


「えっとねー、漢字を書いたらそれが起こるみたいな?」


言語化が苦手なのはよくわかった。


かんじは漢字のことらしいのもわかった。


起こる、現実になるってことか……


「水って漢字を書いたら水が出る、みたいな感じか?」


「そうそう、そんな感じ!!」


かんじかんじうるさいな。


でも本当ならすごい力だ、水を出すなら魔術で代用できるだろうけど、そのギフトでしか起こせない事象もあるだろう……


「漢字は得意なのか?」


「はははっ、全然書けない!!」


そうだろうな、まぁそんな感じはしていたよ。





「ふぅ……」


自室に戻りベッドに腰掛ける。


一日が短い、前の世界じゃこんなに疲れることはなかったな。


「ずいぶん楽しそうだな。」


部屋の隅に置かれた椅子に腰掛けて両足をプラプラとさせるザリチェが声をかけてきた。


「まぁそれなりにはね。

ただ……ボクにはギフトがない。」


この世界でも、前の世界でも、ボクには与えられなかったらしい。


「あの女のギフトは凄そうだな。

しかしお前とは雲泥の差だ、お前のギフトはもっと凄いぞ。」


「ボクのギフトがわかるのか!?」


つい喰いぎみにきいてしまった。


「お前のギフトは任意発動型じゃないんだよ、その時がきたら教えてやる。

その時が来ないように祈っておけ。」


「自分の意思で発動しないってことか……

条件が揃った場合において自動的に発動する力。

なにか他にもヒントをくれ。」


「断る、ギフト以外についてなら答えてやるがな。」


ギフト以外か……


ボクにギフトがあったとして、それが自分の意思で使えないとするなら、別に身を守る手段が必要になる。


「魔術だ。魔術について詳しく知りたい。」


「魔術か……そうだな。

お前たちは魔術書を使って魔術を使っているが、それは近代魔法だ。」


「近代? 古代魔法もあるってことか?」


「あぁ、近代魔法やら古代魔法やらだと呼びにくいから魔法と魔術に分けたという歴史がある。

誰が書いたかもわからない、今では読める人間もほとんどいない魔導書に書かれたのが魔法、古代の遺物だな。

それを解読して劣化コピーしたものが魔術書を使用した魔術だ。」


読める人間がいなくなるくらい古いものか……


でも劣化コピーってことは魔術よりも魔法のほうが強力なんだろう。


もし手に入れることができればそれなりの武器にはなりそうだな。


「具体的にどう違うんだ? 後は入手方法も知りたい。」


「バカだなお前は、そんなに簡単に手に入るわけがないだろう。

確認できているのは五冊だ、危険な物だから国が管理している。

民間人では見ることもできんぞ。」


まぁ古代遺産だしな、魔術も危険だけどそれよりも危険な物なら仕方ないか……


「一番の違いは使うエネルギーだ、魔術は使用者の魔力で発動するが、魔法は自然界のエネルギーで術式を起動する。

人間の尺度でみればほとんど無限に近いエネルギーだろうが、自然のエネルギーも当然有限だ。

そんな物を好き勝手に使っていれば当然しっぺ返しを喰らうことになる。

使用禁止、封印、まぁ妥当な対策だな。」


「そのまま誰も使えなくなったか……

魔力って生命力だよな? 確か研修で習ったけど、使っていいものなのか?」


「筋力を使ってもなくならないだろ、筋肉が生み出す力だからな。

魔力は魂が生み出す力だ、かなり無茶な使い方をしない限りは枯渇して死んだりはしない。

ただ、お前は知っておいて損はないだろうから教えてやる。

人間がもっとも魔力を生み出すのは魂を燃やした時だ、命が燃え尽きる瞬間こそ、最大の魔力が生まれる。」


「それ死ぬんじゃないか?」


「死ぬな、確実に。」


結局地道にやるしかないってことか……


まずは魔術書の扱いだな、魔術の種類を覚えてどのページにどんな魔術が書かれているかを記憶する。


すぐにそのページを開けるようにしないとな。


やることはたくさんある。


この少女は謎だらけだし、魔獣のこと、ギフトのこと、考えることはたくさんある。


今は出来ることを一つずつやっていくしかないだろう。


この新しい日々を、少しでも楽しみながら。

あとがき


本作を読んでいただきありがとうございます。


京マーリンです。


今日は文字数のお話を少し。


大体一話につき二千文字を目安に書いています。


人が集中して読める量がその程度らしいです。


多くてもダラダラしてしまうし、少なくても物足りない。


加減が難しいですね。


もっとこうしてほしい等、ご意見がありましたらコメント欄で教えていただけると幸いです。


それではまた、次のお話であなたにお会いできることを楽しみにしております。       みやこ

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