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ひととあやかし  作者: 西園晴彦
5/8

5.

「冴累〜、遊びに来ました……って、わっ!?」

結の目の前に突然現れたのは昨日の然紋という男だった。神木の枝に乗り、幹に寄り掛かった状態で話す。まるで普段の冴累の様に。

「今、冴累の奴は此処には居ないぞ。」

そう言って神木から飛び降りると、然紋は結との距離をずいっと近付け

「だから、俺と遊ぼうではないか」

と柔かに微笑みながら言う。

「えっ、あの!?」

結が何か言う前に然紋は結を抱き抱えて森を走り抜ける。然紋の顔は緩みまくり、柔かを超えてニヤついている様にしか見えなかった。

「待ってください!何処へ行くんですか!?あの!答えてください!」

結の質問には一切答えず、ただ森の中をひたすらに走り抜ける。

遂に森を抜け出し、下に降りてきた其処には大きな社があった。

「此処が俺の住処だ!」

得意げに話す然紋と、抱えられたままの結。

「どうだ?冴累の奴の社よりよっぽど大きいだろう?まぁ元々は奴が此処に居たのだがな、俺が追い出してやった」

まるで子供の様に自慢げな然紋。

結はその社の大きさに声も出なかった。

「凄い所にお住みなんですね……」

「どうだ?惚れたか?」

結の顔を覗き込み、言う。突然の事に結も焦り、しどろもどろになる。

「……えっ?……えっ!?いや、あの、惚れるとかは……無いんですけど……」

「むぅ、何故だ……」

小声で頬を膨らませながら言うものだから、余りにも子供っぽ過ぎて結が笑う。

「ふふっ、でも、然紋さんが凄い人だっていうのはわかりましたよ」

「……おい、その"さん"ってやつ、やめてくれないか?冴累の奴より下みたいで嫌だ」

「わかりました、然紋」

「おう!良し、だな!」

話せば話すほど、然紋が如何に無邪気で素直なのかがわかり、冴累の言っていたことがよくわかる。

「あっ、もう日が暮れてきましたね……私、帰ります」

「おう、じゃあ送っていくぞ」

「ありがとうございます」

今度は抱き抱えられず、2人で歩いて帰る事になった。歩いて帰るとなると、この距離は矢張り時間が掛かるのだった。

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