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ひととあやかし  作者: 西園晴彦
3/8

3.

それから翌日。天気は清々しい程の晴れ。私はまたここへ来た。

「さっ、冴累……さん?」

驚く程静かな森におどおどしながら、冴累の名を呼ぶ。

「冴累さーん……キャッ!?」

後ろから何者かに肩を掴まれる。

「ハッハッハ!驚いたか!?」

愉快そうにケラケラと笑う冴累。

「も……もぉ〜〜……」

「ハッハッハ!許せ!少しばかり驚かせたかっただけだ!」

と、その瞬間、柔かだった冴累の顔が強張る。

「結」

結の肩を抱き、神木の上に飛び乗る。

「きゃっ!」

「静かに……此処に居るのだぞ」

其処へ「おい」という声がした。

「おい、冴累。居るんだろう?」

その声に応じて冴累が神木から飛び降りる。

「やぁ、これは珍しいな」

冴累に声を掛けた人物は矢張り和服姿で、額には二本の角、目玉が一つの青年であった。

「フン、今日も今日とて暇しているのだろう?良い加減に……」

苦々しい顔をした青年が言い切る前に

「あぁはいはい、お前の相手はまた今度。今忙しくてな、暇ではないのだ」

冴累は両手を広げてハッハッハと豪快に笑う。

「確かに。人間の匂いがする。……今も居るんだろう?出せよ」

そう言う青年に対して笑いながら冴累は言う。

「おいおい、如何する気だ?取って食うか?攫って嫁にするか?」

「茶化すな。この神木をぶち壊しても良いんだぞ」

「それは止してくれ、ちょいと待ってろ」

そう言うと、ひょいと神木の上に登り、結を抱き寄せピョンと降りる。

「紹介しよう、友人の結だ。結、此奴は然紋(さもん)、山の下の神社に住む者だ」

「あ、あの……結です、よろしく……」

然紋と呼ばれた青年は呆然と立ち尽くしている。と、思いきや

「……美しい」

ぽつりと呟く様に言う。

「……へ?」

突然の事で、結は間抜けな声を出す。

「美しい、何と美しい女性だ!」

然紋は結の手を取り、跪く。

「おい冴累、何故お前なんかにこんな美女が会いに来ているのだ!」

「何故と言われても……なぁ?」

理不尽な怒りを向けられ、困り果ててしまう冴累。と、そこで流石に戸惑った結が提案をする。

「あの、そろそろ手を放してもらっても……?」

「そうだ、結と言ったか、俺と婚儀を執り行うのはどうだ?」

「婚……儀?」

あまりにも唐突なプロポーズにただ困惑する結であった。

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