化物が住む町
「化物が住んでるんだってよ」
男は笑いながら近くに居た年の数10程の少女に言った。
少女はそれに対して我関せずといった風で返事などしようともしない。
「化物は、この町の領主の家に住みついて、今もその領主の家に立て籠っているらしい。怖いねー」
男がおどける。そうこう言っている間にどうやらその町の入り口についたらしい。
相変わらず少女は我関せずだ。
「そんなに怒んなよー。さっきも謝っただろう?悪かったって」
男がわざとらしく悲しそうな声をあげる。
そんな事をしている男にムカついたのか、少女は男のこめかみ目掛けて思い切り握りこぶしを突き立てた。
男は驚くべきことに物理法則を無視したかのように吹き飛び近くにあった大きな岩に叩きつけられる。岩に亀裂が走り男が岩にめり込む非現実的な光景がそこにはあった。
「痛ってぇー!」
「自業自得だ。少しは『品』と言う物を養え!この腐敗者が!」
少女は吐き捨てるように言った。
そこで初めてそんな二人の様子を近くで傍観していた者達が動いた。
「あんた、大丈夫かい?」
町の門兵だ。一人の門兵が岩に叩きつけられた男のもとにより心配して声をかけてくれる。
どうやら、優しい門兵さんだったらしい。
男は門番の手をとる。
「うぅ~人の優しさが心に染みる」
それを冷ややかに見下したように見る少女。
どうやら、もう一発きついのが来そうだ。
そんな時、甲高い獣の雄叫びが聞こえた。
その声を聞いた瞬間、門番達はうつ伏せになり、ガタガタと震え始める。
「ん?どうしたんだい?そんな急に山羊みたいに怯え出して」
「あんたっ!!あの声が聞こえなかったのかっ?」
不思議に思って聞いた男に対して逆に逃げださない方が異常だと告げる。
「化物の声だ……化物がまた暴れだしたんだ!」
門番はそう言うと、急ぎ足で門の中にある兵士小屋の中に隠れた。
「あはは~、置いてかれちゃったねどうしよ?」
その男は呑気に笑って、邪悪に嗤って、子供のように笑って、とても楽しくて仕方ないようだった。
「貴様の人望が無かっただけだろ」
バッサリと切って捨てる少女。その様子は男の異様さと対立しているかのように正常過ぎる程正常だ。
そうやって、しばらく門の前に立っていると再び門番達が戻ってきた。
「もしかして、あんた達が依頼した化物狩りの二人かい?」
恐る恐るといった感じに尋ねてくる門番達。後ろでは先程の門番が仲間に男を少女を殴り飛ばした事を語って聞かせている。
「君、凄いじゃないか。凄い人望だ」
ニヤニヤしながら男が少女に言う。どうやら少女も満更では無さそうだ。
「そう言えば化物の特徴を話していなかったね」
機嫌を少し取り戻した少女は饒舌に語り始める。
その後、兵士小屋を指差し。
「中で話そうじゃないか。私はしょうゆ、コイツはサトウだ。只の狩人だよ。決して補食される側ではない、ね」
そう言って少女は純粋に、男は愉しそうに、笑って嗤うのだった。
終わりました。……二話で。




