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2-4

■2-4


 銀河アメージング帝国は東京郊外の都心からもアクセスしやすい場所にある。昭和の時代に民間の遊園地だったのが、潰れ、広い敷地を活かす為に大規模な団地エリアの計画が進められて、途中で中止され、広大な駐車場になって、潰れ、十年くらい放置された後、最寄り駅に急行が停まるようになってから急遽付近の開発が進んで、SF映画のテーマパークとして新生したんだ。


 僕も三回ぐらい来た事があるけど、これが結構面白い場所なんだ。国内外のいろんなSF映画をモチーフにしたアトラクションがあるし、いろんな宇宙船のオブジェがあちこちにあって、マニアには堪らないだろう。


 とは言え、映画なんて所詮はフィクション。本物の宇宙人であるチロには笑われてしまうかもな……。なんか気恥ずかしいというか、勝手に負けた気分になってきてしまう。


 なんて思っていたんだけど。


「なんだここは!? なんでこんなに多種多様な種族がウロチョロしているんだ!?」


 こういうテーマパークらしく、ここの園内には様々なSF映画のキャラクターに扮したスタッフさんがいっぱいいる。そんな彼らに、チロがいちいち驚いたり恐怖したりしているのだ。


 頭に小さいプロペラを付けた赤い毛むくじゃらのキグルミがおどけて見せる。すかさず僕の後ろに隠れるチロ。


「来るな! 来るんじゃない!」


 チロの涙ながらの叫びに、ギョロ目の赤いキグルミが「困りましたぞ」とリアクションして去って行った。


「な、なんだあいつは!? こっちの言語が分かっているのか……?」


「あれはただのキグルミだよ。お前、ちょっと落ち着けって」




 それから、他のクラスメートに誘われる形で、射撃タイプのアトラクションをやる事になった。チロの事もあるので、なるべく皆とは別行動するつもりだったんだけど、「みちるもやるってー」という女子達の言葉に、「じゃ、ぼぼ僕も!」となってしまったわけ。


 アトラクションは「プラネット・ガーディアン」。レールの上を自動で走るゴンドラに乗り、席に設置されたレーザーガンで、あちこちに現れる悪いエイリアンを撃っていくというやつだ。


 ゴンドラは二人乗りなので、みちるちゃんが誰と乗るか気がかりでならない。本当なら僕が一緒に乗る予定だったのに~! チロの面倒見ないといけないせいで。


「射的か? やっぱり地球人て低俗で攻撃的な種族だな」


 腕組みをして鼻を鳴らすチロ。やれやれ、だよ。


 男どもがどうにかみちるちゃんを誘おうとしているが、まるでみちるちゃんをガードするようにいる女の子軍団を突破出来ずにいた。ナイスだ! 普段は、ああいう女子どもって本当に邪魔で腹が立つ存在なんだけど、今だけは頼もしかった。


「地球の平和は貴方達プラネット・ガーディアンにかかっています! さあ、頑張ってくださーい!」


 先頭のゴンドラに乗った係りのお姉さんに煽られて、出発。


 街を模したセットの間をゴンドラがゆっくりと走る。


 と、セットの陰から、エイリアンの描かれた「的」がひょっこり現れた。ここを狙えとばかり、弱点の部分がチカチカ光っている。お客さん達は歓声を上げてゴンドラに設置されたオモチャの銃をピコピコ撃ち出した。


 だけども、そんな歓声を切り裂いて響き渡る、悲鳴。チロだ。


「ぎゃああ! 怖いー!」


 作り物、と言うかセットのエイリアンに本気で驚いている。どう見ても立て看板程度のクオリティなのに。


「ア、アタシだってペキンパー一族の端くれ! 党内子供早撃ち大会でベスト8に入った事もあるんだから! バカにすんじゃないよ!」


 チロはブラスターを構えた。チョココロネのように、先端が尖り、ねじれている。って、あれ!? それって本物の光線銃じゃないか!? 部屋に隠しておいたはずなのに!


「そこ! ちい! なぜ出てくる!」


 ぷよよ。ぷよよ。


 例の光線銃を撃ちまくるチロ!


 ドーナツ状のレーザーがボードに描かれた宇宙人に当たってはシャボン玉のように弾ける。あ、弾けたのはレーザーの方ね。エイリアンのボードは無傷のようだ。


「やめろよチロ! 大丈夫だって! あれは作り物! 本物じゃないの!」


「ううう! 死ね! 死ね!」


「さあ、もうすぐ宇宙の大魔王です! 高得点のチャンスですよー! 皆さん頑張ってアヨヨヨヨ」


「バカ! お姉さんを撃つな!」




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