2-2
■2-2
「ここだ!」
「何ここ。なんかゴチャゴチャしてて嫌なんだけど……。地球人がいっぱいいるし……」
僕らの向って左手にある門柱には、水星、金星、地球に火星。右手の門柱には、木星、土星、天王星と海王星が、積み重なっている。まるで串団子のように。
二本の門柱を結ぶアーチの頂点には、太陽が乗っかっていて、その下に「おいで銀河アメージング帝国」と書いてあった。
そう、ここは銀河アメージング帝国。SF映画のテーマパークだった。
今日の遠足の舞台だ。遠足と言いつつ現地集合現地解散なので、親睦会と言った方がいいんだろうけど。
ゴールデンウイーク初日とあって、入り口もかなりの混雑ぶりだった。
「ほら、行くぞ」
「ええー。アタシも入るのー? なんか怖いんだけど……」
集合場所は、巨大な緑色のクリスタルの前だった。もちろんハリボテだけどね。高さ三メートルほどもあり、緑色の光を放っている。なぜかこの光を浴びていると力が抜けてくるという都市伝説がある。
クラスの連中はもう集まっているようだ。
そのクリスタルからちょっと離れた場所、地面にロケットが逆さに突き刺さっていて、内部がベビーカー貸し出し所になっている建物の陰に、僕とチロはいる。
「なんでアタシまでこんな所に……」
チロがブツブツ言っている。
そうは言ったって、一人にしておく事は出来ないじゃないか。逃げ出すに決まっている。そうしたら僕とみちるちゃんの体質を元に戻せなくなってしまう! あ、ついでに地球侵略も進んでしまうかもしれない。
「変なまねするなよ」
「分かってるって。それにしても地球人て、群れていると余計に間抜けっぽく見えるね。ファッションセンスも垢抜けてないし」
そう言うチロは、今日は銀色のスーツを着ていない。僕が反対したからだ。あれで外を歩くのは余りに目立ち過ぎる。なので、別の服を着せる事にしたんだけど……。
今、チロは僕の中学時代のジャージを来ている。カラーはあずき色。チロが自分で選んだのだ。別のもいろいろ提案したんだけど、他の服は嫌なんだって。このジャージ、捨ててなくて良かったよ。
あとは白いゴム手袋と白いゴム長靴。この手袋と長靴は宇宙服の一部だったもの。でも、とても宇宙的とは思えない、ただのゴム手袋とゴム長靴にしか見えないんだよね。と言うか、あずき色のジャージと合わせると、なんとなく酪農系の学校の生徒みたい。なんとなくだけど。
パーソナル・フォトン・ベルトも巻いていない。チロは、あれを巻いていると地球人の中で頭の良さで浮いてしまうと言っていた。けど、あれ、絶対意味ないよね。業者に騙されてるんじゃないのかな。
今日はクラスメート全員参加の遠足だから、僕もずっと一人でいるわけにはいかないだろう。チロの腰に紐を付けて逃げないように繋いでおこうかとも思ったけど、それは変なプレイみたいだからやめた。
僕がクラスの連中といる時にはチロは一人で大人しくしていてもらわないと。
「見つかると大変だから、なるべく目立たないようにね。地球人になりきって。もしバレて政府に捕まったら解剖されちゃうからな!」
僕が脅かしても、チロは、「えー、あ、うん」なんて生返事。周りをきょろきょろしている。これはダメだな。
それに、もろに中学生のジャージ姿の女の子ってのは、今時地方からの修学旅行生でもいないよ。これはこれで、変に目立つかも……。
そもそもここはSFテーマパークだし、レトロな宇宙服姿のスタッフさんも沢山いる。あの銀色の服のままの方が目立たなかったかな? あ、でも、チロがスタッフと間違われても、ダメだな。話しかけられでもしたら、百パーセントボロが出る。
「じゃ、すぐに戻るから、ここにいろよ!」
「え? うん……」
僕はチロを逆さロケットの脇に残して、急いで皆のもとへ向った。出欠席だけ取ったら、すぐに戻ってきた方が良さそうだ。




