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「それより僕らの体どうするんだよ! UFO持って行かれちゃったじゃんか! あれが無いと治せないんだろ? だったら、やっぱりお前の事を引き渡して……」
「ちょーっと待ってよ! だからね、もう、分からない奴! あんた達の体質はアタシしか治せないんだからね! もしアタシをあいつらに引き渡したら自殺するから! そしたらあんたとあんたは一生触れ合えないんだからね!」
「自殺なんて出来るもんか」
「出来るわよ! やりたくないけど!」
「宇宙人が自殺したらどうなるか知っているの?」
とみちるちゃん。
「どうなる……って、死ぬのよ。当たり前じゃん」
「あのね、人は死ぬとね、魂になって、天国行きの超特急に乗るの。木造の客車で、ボックス席に座って。知らない人同士で向かい合って座るんだけど、皆死んじゃっているから、いろんなしがらみとか無くなっていて、結構和気藹々とした雰囲気なの。それで天国に着いたら何しようとか、あと芸能人の事とか話して盛り上がったりして。でもね、途中で車掌さんが切符を拝見~って来るんだけど、実は自殺した人は切符をもらっていないの。だからね、途中で、無理矢理降ろされちゃうの。窓から放り出されちゃうのよ。そしてね、宇宙の闇の中で永遠に彷徨うの……。死ぬほど強烈な寒さと猛烈な熱さを交互に感じて、だけどもう死んでいるんだから、終わりがない。それでずっと後悔する事になるの。なんで自殺なんてしたんだろうって。でも、頑張ってね。私応援するから!」
「え……」
なんか急にみちるちゃんが恐ろしい話をしたので、戸惑ってしまった。
「ア、アタシ、別に天国とか興味ないし……」
チロも目を泳がせているし。まあ、自殺はいかんよ、ね。
でも、警察に引き渡さない、自殺はさせないとして、どうしよう?
「お前、さっきちゃっかり逃げようとしてたけど、地球に基地とか別荘とかあるの? ないんだろ?」
「ない。だって来たばっかりだもん。アタシまだ青年部だし、遠出するの大変なのよ。ジイ様達が口やかましいから」
「陽太君、この子可哀想だよ……。ダンボール集めるの手伝ってあげよ?」
どうやらみちるちゃんはチロに野宿させる気満々のようだった。
「服の間に新聞紙を詰めると温かいんだって。チロ、知ってた?」
なんて言っているし。
チロの方は、みちるちゃんにグイグイ押されながら、僕の方をちらちら見ている。まるで助けを求めるように。
「野犬には気をつけてね。あ、それと、野宿している人を無意味に襲う若者もいるかも。あと……、あ、そうだ。家出少女を言葉巧みに信用させて、凄く酷い商売に利用する怖い人達もいるからね。気を抜かないでね。でも、警察に助けを求めたりはしないよね? だって宇宙の秘密がバレちゃうもんね……。負けたくないよね、チロ……」
「よ、よ、陽太~」
とうとうチロがベソをかき出した。
「…………仕方ない。僕んち、来る?」
「いいの? イエーイ!」
とチロ。こいつ……現金なやつ。
「ふーん、陽太君ち泊まるんだ。良かったね、チロ」
とみちるちゃん。
「陽太君、もしかして、街灯を舐めて練習していた事を、チロにするの?」
「ぜ、絶対にしないよ!」
「相手は宇宙人だからね、お腹壊さないようにね!」
みちるちゃんが片目を瞑った。でも、柔らかそうな頬からは、赤みが引いていた。
そんな。みちるちゃんとせっかく近づけたのに、また遠くに離れてしまう。
違う。近づけてなんてないんだ。だって、愛の告白だってまだ出来ていないんだ。
「あの、みちるちゃん」
「また明日ね、陽太君」
「うん……」
僕は馬鹿だ。そして意気地がない。




