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其の七十九『再会』

前回のあらすじ:わいわいゲーム大会

 「ま、待て! 落ち着け!! 話が違うじゃないか! 一旦落ち着こう!」

 


 大都会、その中心、警視庁。

 その一室、電気もついていない真っ暗な月明かりだけが照らす部屋で一人の男性が拳銃を持った背の高い細身の女性に怯えていた。

 


 「お言葉ですが警視総監殿。私はこれ以上ないくらいに落ち着いています、そう、素晴らしいくらいに」

 「ふ、ふざけるな! お前の計画に協力すれば、私は……あ、新しい秩序の元で、い、今よりも高い地位に就けると………それに、妻と娘の命も保証するって―――――」



 女性は話を遮るように指を一つパチンと鳴らすと本来誰も立ち入らないはずのこの場所この時間帯に白装束を来た三人の人間が、一人は中年の女性そして一人は中学生くらいの少女を担いで雑に警視総監の前にどさりと置いた。



 「んー!! んんんんー!!!!」

 「由美子! 春香!」



 警視総監の妻の由美子と娘の春香。

 二人は口にガムテープを張られており、両手首両足首は麻縄で固く締め付けられていた。

 娘の方は恐怖のあまりに失禁し、涙と鼻水をこれでもかと流して折角の整った顔立ちが台無しになっていた。

 警視総監は腰の抜けた状態で二人に近寄り安否を確かめようとしたが、それは許されなかった。



 



 ――――パスッ。




 サプレッサーが付いた拳銃から銃弾が発射され、まず女性は由美子の頭を撃ち抜いた。

 正確に撃ちだされた弾丸は脳髄を弾けさせて床に飛び散らせ、名もなき死体へと変えた。



 続いて女性は一切目視することなく娘の方へとしっかりと照準を合わせて引き金を引いた。

 結末は先ほどと全く同じ、強いて言うなら飛び散った脳髄が警視総監の顔にかかったことくらいだろうか。



 絶句する警視総監、女性はただただ冷静に銃口をそちらへと向けた。

 



 「さようなら」

 「待てっ! 話を――――――――」




 


 











 やがてその一室には死体が三つ、誰も知らぬうちに出来上がっていた。



 「――――首尾は?」

 「は。現在()()()()の総数が想定値を超えており、貯蔵数としては十分かと。それと庭園の守り手(ガーデンキーパー)は極東支部を奪還、香月琳の捕獲には至っておらず、ここ最近如月神社への出入りが頻繁に行われているそうで、恐らく香月琳に何かしらの変化があったと見てよろしいかと思われます」

 「……………そ。まぁ良しとしましょう。あ、そうだ、もう香月琳君の捕獲はいいよ。ほっといても大丈夫」

 「宜しいので?」

 「向こうから飛び込んでくると思うしね。今はいいの」



 女性は窓から差し込む月明かりに照らされた一角へと足を運び、自らを照らした。

 





 「楽しくなるわね」







△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△








 「最近さー………平和じゃね?」

 「あー分かる! 魔物とか全然いないもんね!」

 「あれあったじゃん、暴走とかなんとかってニュース。あれもないしな」



 琳たちの通う学校は実に平和、実に快適、実に優雅だった。

 ここ数日、今までの騒動が嘘だったかのように街から魔物や楽園(エデン)の民が消えた。

 見かけなくなったとか報告が無くなったではない、本当に一切の影も形もなく姿を消したのだ。



 実際、どこかに入るのだろうし姿を消したというのはただの比喩だ。

 限りなく直喩に近いだけで。

 それ故に学校のクラスメイトたちは数年前の出来事を思い返すような口ぶりでここ最近のことをすでに過ぎ去った遠い日の思い出を掘り返すようにして語っていた。



 琳たちもこの事については色々と思うことがあって、昼食の時に五人集まって話をしていた。



 「嵐の前の静けさ」

 「そうっすよね~……やっぱり……」

 「ま、千鶴の言う通りだろうなー」

 「僕もそれには同意見だ。近々なんかあるんじゃないかと思ってる」

 「私は今日にでも来るんじゃないかと思ってますよ」

 「おぉうフラグ…………」



 琳たちは机をくっつけて、葵は自分の教室からやって来て、五人はお弁当を食べながらそんなことを半笑いで話していた。

 琳たちも、こんなアホみたいなことを話している間には襲撃の類はないだろうと、漠然と無責任にそう思っていた。











 そんなわけないのに。










 ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!



 






 突如として鳴り響く非常ベルに教室はおろか学校中が騒然とした、生徒たちだけではなく教師たちも。

 琳たちも一体何事かと立ち上がった。

 直後、地震が起こったかのようにグラグラと揺れた、だが実際には地震などなく下からの振動が凄かったのだ。



 「なんすか!? もうフラグ回収っすか!?」

 「どうやらそうっぽいな……」

 「いやそうっぽいなじゃなくて……っとと、下か?」

 


 教室中はパニックになった、一体どういうことかと理解が追い付いていない琳たちの元へと同じく理解の追いついていないクラスメイトたちが「何が起こってんだ!?」と質問してきたが詳しくは琳たちも流石に分からない。



 驚天動地の最中、教師が教室に入ってきて事の次第を知らせた。

 曰く、下の階が爆発したらしい。

 何のことか全くわからない。



 「と、とにかくっ! ここから、今すぐに今すぐに逃げるんだ!」

 「下の階が爆発って一体何がどうなって―――――っ!?」



 琳がそう、反発すると今度は先ほどよりも大きな揺れが起こった。

 そして浮遊感、一体何が起きたのかすぐには分からなかったがこの降下していく感覚で分かった。



 


 床が抜け落ちて、真っ逆さまに落下しているのだと、そう分かったのだ。




 そしてその途中、落ちていく最中、見たくもない人間の顔を見ることになった。








 「また、お会いできましたね」

 「溝呂木――――――――――――――――」






 その姿を見た直後、地面に背を打ち付けて空気を強制的に吐き出させられ、琳たちは瓦礫の中に閉じ込められた。

再び現るは過去の異形

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