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現実世界に魔物が現れたようです  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:ようこそ、世界の裏側へ!
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其の十四『姉御と母親と同級生』

前回のあらすじ:キレて許して正式加入

 琳は頭の中の記憶を、忘れないようにノートにまとめていた。



 「書いとかねぇと絶対何かしら忘れる気がする……」



 夜十時頃、音楽プレーヤーにスピーカーを繋いで音楽をかけ、うるさくならない程度にボリュームを下げてBGM代わりに聞きながらノートに書き綴っていったのは以下のことだ。


 




 『庭園の守り手(ガーデンキーパー)』



 簡単にまとめれば対魔物特別機関で、魔物というのは生物実験の果てに生まれたいわゆる化物。



 狂化細胞という特別な細胞に浸食されて理性を失い巨大化・凶暴化した魔物は現代の武器が役に立たないほどで、それを対処するために開発された開化細胞という細胞を移植された人間『適合者』が戦っている。


 

 翔馬の話によれば、開化細胞を移植された人間、つまり適合者は身体能力が冗談抜きで馬鹿みたいに底上げされ、生身の体が強化スーツを超える強度を持つというコストパフォーマンスの良い体になるらしい。



 そして専用武器である黒の武器(ブラックウェポン)は、携帯と同じように通信が出来る黒い板状のデバイスモード、それから武器に変形することが出来るルービックキューブ状のキューブモードがある。



 武器形態にはいくつかの種類があるが、今のところ涼が見せてくれたスピアという黒い槍しかわからない。



 そしてこの庭園の守り手(ガーデンキーパー)は世界中に十個ほどあり、涼や翔馬そして琳たちが所属する場所は『極東支部』と呼ばれている。



 「……っと、とりあえずこんなもんか」


 

 琳は一通り書き出させそうなことをノートに書いて机の引き出しの中にしまった。



 「はぁ~………」



 琳は息を深く吐きながらベッドの上へと寝転がった、漫画ならばボスンという効果音が書かれそうな勢いで琳に乗られたベッドはスプリングを反発させて琳の体を揺らした。



 琳は自分の体の中に全く別な細胞が移植されていることを思い出し、不意に自分の右手を天井の明かりにかざすようにして伸ばした。



 「(俺の体って今どうなってんだろうなー)」



 ふとそう思った琳だが考えるだけ無駄だと瞬時に悟り、電気と音楽を消して眠りにつくことに決めた。



 目を閉じてからほんの数分で琳の意識は深いところまで落ちていき、まるで瞬きするかのようにして朝になった。




△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△




 「んん………」

 「いつまで寝てんだ琳」

 「…………? 朝比奈さん………? なんで………?」



 目が覚めると、涼が覗き込んでいた。



 「お前の母さんが普通に通してくれたぞ」

 「そうですか……………………………いやだからなんでいるんですか!?」

 「おっ、起きた」



 衝撃の事実に一瞬で眠気が覚め、がばっと勢いよく琳はベッドから跳ね起きた。涼はそれを琳の部屋にあるキャスターの付いた椅子に背もたれを前にして座りながら見ていた。



 「おはよ、いい夢は見れたか?」

 「見れたとしても今ので全部忘れましたよ! ほんとになんでいるんですか!?」

 「いやだからお前の母さんが――――」

 「そうじゃなくて……」

 「わーってるよ、なんでこんな朝に、しかもお前の部屋まで来てんのかって話だろ?」

 「まぁ……そうですけど……」

 「いやな? 今日は別に用事もないし、お前も支部に来ないから暇だなーって思ってよ、じゃあこっちからいけばいいじゃんって考えてなー」

 「おかしいおかしいおかしい」

 「んで流石に現役男子高校生の住んでる家に一人で行くのもあれだからあいつ叩き起こして連れてきたんだわ」

 「あいつ?」

 「ほれ、お前の足元に」



 琳が自分の足元の方へと視点を移動させるとそこには琳の本棚にあった漫画をパラパラとめくって読んでいる千鶴の姿があった。琳はそのあまりの事実に驚いて声にならない声を上げた、千鶴は漫画が面白いのか起きた琳に目もくれず読み進めていた。



 「あ、香月君。おはよう」

 「おは、よう……」

 「これの続きってどこ?」

 「それはまだ最新刊が出てなくて………ってそうじゃねぇよ、なんで雨宮さんもいるの!?」

 「……? 涼に連れてこられたから」

 「あ……そ」



 目覚めて早々ダブルパンチをくらい、琳はもう一度ベッドに倒れ込んだ。



 それから涼と千鶴には出てもらい軽く着替えて三人で一階へと降りていった。



 「お、琳。飯出来てるから食っちゃいな」



 下に来ると母親の文乃が朝食をテーブルに並べているところだった。



 「ほら、二人も食べてきな」

 「いやいやすみません」

 「……ありがとうございます」

 「まっさかうちの息子に同級生とそのお姉さんが朝から来るなんてねー! いやいや参っちゃうよー!」

 「……お姉さん?」



 琳が「お姉さん」という言葉に対して疑問を抱いていると涼がそっと耳元に顔を近づけて怪しまれないようにお姉さんという設定にしていることを話した。



 三人、もとい文乃を含めた四人は揃って朝食を食べ始めた。



 今日は休日なので文乃も仕事は休みなので琳もゆっくりするつもりだったのだが恐らくゆっくりはできないだろうなと琳は朝食を食べながら思っていた。



 「あんた今日どうすんの、のんびりしてんのか?」

 「あー……その予定ではある」

 「んじゃあ息子さんお借りしていいですか?」



 ほら来た。



 「いいよいいよ! 適当に連れ出しちゃって」



 文乃の一言でその数十分後、琳は太陽が照らす日のもとへと連れ出された。



 

 「それでどこか行く当てはあるんですか?」



 琳は涼からヘルメットを受け取りながら尋ねた。そしてすでにその時、千鶴は一人でサイドカーに乗っていたためもう逃げることは出来ないようにちゃっかりと包囲されていた。



 「あぁ? んなもんねぇよ」

 「じゃあどうするんですか」

 「適当に走らせればどっかたどり着くだろ、ほら後ろ乗れ」



 いつも通り琳は涼の後ろに乗ると涼はバイクのエンジンを噴かせて当てもなく出発した。










 十分後、三人が着いたのは新築感のある白を基調とした大きい一軒家だった。



 「ここって?」

 「私の家」

 「は?」

 「私の家」

 「………うっそ」

 「本当」



 平然と、いや、自分の家なのだから当たり前と言えば当たり前のことだが、千鶴が自分の家だと証言したことに琳は驚きを隠せなかった。



 千鶴は玄関の鍵を開けて二人を招き入れた。



 「どうぞ入って」

 「おっじゃましまーす」

 「お邪魔します……」



 香月琳、女子の家に入るのは葵以外で初めてのことである。

最近総一郎と葵が出てない?

私もそれは感じておりますとも、任せてください。

ノープランですが()

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