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其の九十八『生まれ落ちた災厄』

前回のあらすじ:物理ダメージは最強

 「なんの音だ!?」

 「りーん!!!」

 「涼さん! それに栞さんとマグノリアさんも!」

 「琳君、無事でしたか!? 少し顔色が悪いようですが!」

 「だ、大丈夫大丈夫! それよりさっきの音は一体……?」



 その時、涼の黒の武器(ブラックウェポン)が鳴って立花からあの月をぶっ壊したという連絡が入った。

 その内容に一同が驚愕したのは言うまでもないだろう、一体どうやって打ち落としたのだろうかなど色々な疑問が浮かんでくるが一番最初に驚いたのは「あれってそもそも撃ち落とせるんだ」ということだろうがあえて誰も触れなかったが聞かないわけにもいかないので代表して涼が聞くことになった。



 「一体何で落としたんだ」

 『えーっとだな、劣化ウラン弾六発撃ったところに鉄鋼榴弾ぶち込んだ』

 「相変わらず無茶苦茶な………つかそんな武器あったか!?」

 『あったぞ。みんなに言って無いだけで若い頃に作ってたのがまだ生き残ってくれててなー。あれに物理ダメージ効くのかどうか試すつもりで撃ったんだが、なんかいけそうだったからそのままぶっ壊した』

 「そ、そうか。あーそうだ、なんか収穫あったか?」

 『あったぞ。ちょい長いからしっかり聞いてくれ』



 立花は電話越しに香月家で見た「ラプソディープロジェクト」の概要を話した。

 アダムを閉じ込めていた月のような入れ物の名前が偽月ということも、この街を覆っているの魔物は外の魔物を吸収して偽月へと送り込む役割を担っていることも、そして外の魔物たちのことも。



 『概ね計画書に書いてあったアダムのことは琳の未来予知と一致していた。でも私がその計画を狂わせた、てなわけで琳の千里眼でもっかいアダムのこと見てやってくれないか?』

 「琳、もう一回アダムの様子見ろってさ」

 「あ、はい」



 琳はもう一度千里眼でアダムのことを覗いた。

 アダムは全身びしょ濡れの状態でアスファルトの地面に横たわるようにしてじっとして動く様子は今のところ見られなかった。

 しかし未来視で見てみると活動する様子が伺えた、ただ先ほどと違うのはノイズが掛かってしまって映像が不鮮明なことだ。

 ノイズが掛かった時に琳の右目はズキリとした痛みが走って琳は思わず目を瞑って視界を切った。



 「大丈夫か香月?」

 「なんとか……急に目に痛みが走ってな………」

 「何か見えたか琳」

 「それが、ノイズがかかってあまりよく見えませんでした」

 「そう、か。分かった、少し目を休めていろ。立花、聞こえていたかもしれないがあまりよく見えなかったってよ。それに少し琳の目を休ませた方が良い、痛みがあるって言ってる」

 『じゃあ休息を挟んだ方が良いな。無理させて悪かったと琳に言っておいてくれ』

 「そりゃいいが、お前はこれからどうすんだよ。こっちに来るのか?」

 『いや、ちょいと野暮用が入ったみたいでな――――――』




△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△




 「いや、ちょいと野暮用が入ったみたいでな。まぁ追って連絡するわ!」

 『了解。立花こそ無理すんなよ? こっちは何とかうまくやるからさ』

 「へへ、頼んだ!」




 立花は涼との電話を終わらせて一つ息を漏らした。




 「よお。よく分かったな」

 「むしろ、分からないとでも?」




 立花の視線の先にいたのは上下黒のスーツと白いワイシャツ紺色のネクタイを身につけた翔馬だった。

 右手には黒の武器(ブラックウェポン)を持ち左手には注射器を一本持って翔馬は立花の元に現れた。



 「狙撃地点をちょっと調べればすぐにここだって分かったよ。それにこんな芸当するのは立花さんしかいないってこともね」

 「おいおい私とも限らないだろー? 涼とか千鶴とかも知れないだろー?」

 「あの偽月を壊せる弾丸はそうそうない、それを撃ちだす銃もだ。そんなものを作れるのは技術的にも行動パターン的にも立花さんしか該当しないんだよ」

 「はっはー、そうかそうか。んで、お前は何しに来たんだ?」

 「分かってるくせに……」



 翔馬はやれやれといった風なジェスチャーをしながら黒の武器(ブラックウェポン)を起動した。

 形状は剣、それを立花に向けて翔馬は言い放った。






 「――――――死んでもらえる? 立花さん」

 「上等っ―――――――!!」






△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△



 涼は立花との会話が終わった後、話していた内容を皆に話した。

 そしたら案の定「あれって壊せるんだ」という反応から「立花さんならまぁ……」という納得の反応に変わっていった。



 「んー、どうしたもんかな。願わくばアダムが何もしないでくれるのを祈りたいが……」

 「……はい、はい……はい分かりました、伝えておきます」

 「栞? 誰と話してんだ?」

 「大介さんがこれからアダムに対して攻撃を開始する、と」

 「まじか!?」





 






 ところ変わって偽月周辺。

 大介たち特殊軍は完全武装をした状態でそこにいた。



 「目標は目の前の奴一人だけ、確実に仕留めるのよ」

 「「「「「了解!!!!!!」」」」」




 まだアダムは動かない、地面で横になっているだけだ。

 特殊軍たちは各々銃を構えてアダムに照準を合わせた。



 「撃てぇ!!」



 大介の号令によって一斉に銃弾がアダムに向けて発射された。

 無数の銃弾が高速で発射されてアダムの体に穴が開く、それでも何の行動も起こさないアダムは銃弾が当たった衝撃で水揚げされた魚のようにビクンビクンと跳ねるだけだった。

 


 このまま押し切れるのであればどれだけ良かったことか。

 銃弾を受けたアダムの体は驚くべきことに傷が即座に治癒されて元通りの状態になった、そうとも気づかずに銃弾を浴びせる特殊軍だったが途中で異変に気付いた大介が発砲を止めた。

 すると見る見るうちに銃創が治癒されていくではないか、大介はそれを見て目を丸くした。



 「これは、中々ね……」



 その事実に軍のメンバーも気づき、ざわつきだした。

 そしてついに、アダムが動いた。

次回はどっちにしようかね。

アダムと特殊軍パートメインで書こうか翔馬対立花メインで書こうか

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