HIGH
浮くこと
私はよく夢の中で、自分が階段を飛びながら下りていく夢を見る。
開放感
重力を感じず自由になるあの感覚。
私はあの感覚が好きだ。
自由
FREEDOM
何もない世界
何も意味しない世界
現実から切り離されたその世界は確かにそこにある。
どこに?
どんな場所?
そこは、皆が無関心を装いながら暮らす場所。
そこは音がない。
光さえも。
真っ暗な闇が広がって、誰も、何も見えない。
あるのは、感覚だけ。
錯覚?
わからない。
自由は、手に入らない。
そう実質的な自由はそこにあるけれど私達はどこかで自らを拘束している。
無意識の拘束。
欲は限りなく広がって人間を更に新たな欲へと駆り立てる。
どこにもない場所なんて名付けて。
あの空に希望を、欲を、見出だす。
果てしない空、宇宙。
ふわりと浮かんで私はまたあの世界へ行こうとする。
無意識の自由への欲。
たまらない。
もう知っちゃったんだ。
後戻り?
するわけない。
痛みなんてもう要らない。
現実逃避、ぴったりだ。
麻薬みたいに私を蝕むそれを繰り返し夢に見る。
解放、自由、浮遊。
高く飛んでハイになれ。
それが望みなら。
後は…急降下。
無力さ、儚さを感じて静かに目を開ける。
今日もこんな感じ。
音が、光が私を支配しようとする。今日も私は言葉を話し、考える。
たいていは馬鹿な事。
けれどそれは満更でもなくて、楽しい。
この世界を愛している。
目を閉じる。
そこには何も映らなかった。