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エクストラ・ナイツ   作者: クマ
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エクストラナイツ1-2

読者の皆様、ページを開いて頂きありがとうございます。なかなか更新できないもので、

少しづつ出していきますのでよろしくおねかいします。

 アデルとカテレアが学院の教室に到着したあとほどなくして、担当教師らしき女性が入ってきた。


「全員席に着いてくださーい、これからホームルームを始めます。今日の契約の儀について簡単に説明をしますので、よく聞くように」


  紺色のスカートスーツを身につけ、腰まで届くストレートな金髪の女性教諭は、ニコニコしながら壇上についた。

  しかし、すり鉢状の教室の中心に、教諭が来たにも関わらず、教室の一部では、まだ騒ぐ3人組がいた。

  アデルは、自分よりも二段下にいる彼らを見下ろし、溜息をついた。

  あの教師では、注意しても舐められるだろうなあ 、と思ったアデルは、うるさくする連中に声をかける。

 

  「おーい、教師が来てるから静かにしたほうがいいぞ」


  騒がしくする連中が、ピタッと話をやめ、アデルのほうを向く。全員如何にも「元気」そうな顔つきの生徒達の中に、一際「元気」な生徒が一人、立ち上がってアデルを睨めつける。どうやら、このグループのリーダー格のようだ。

  その後に取り巻きの2人も立ち上がりアデルを睨む。

 

  「随分と優等生な野郎だな、あ?」

  「何様だてめえ……初っ端から調子乗りやがって」


  自己中心的発言をする3人組は、ゲラゲラと笑いだす。典型的なヤンキー思考である。

  アデルは、どうしたものかと頭を掻き、思案していると、3人組が突然首元を抑えて、苦しみだした。


  「はーい、貴方たち以外は皆さんお静かでしたよぉ。先生が来た時は静かにしましょうねぇ。」


  羽毛布団のような柔らかさの口調で、しかし濃密なオーラを身に纏った女性教諭が杖をこちらに向けて微笑んでいた。女性教諭が杖をしまうと、3人組は力なく崩れ落ちて荒い息をついてうずくまった。

  教室の空気が一瞬で静まり返る中、話を切り替える合図代わりに両手をパンッと合わせて場の空気を切り換えた。

  「はい、話に戻りますねえ。あ、紹介がまだでしたね。私はアニエラ・レギウスです。このクラスの担任で、担当はウェスタリア歴史学でーす。よろしくお願いします」

  綺麗なお辞儀をして挨拶するアニエラ。先程の容赦ない魔法からの柔らかい物腰は、教室の全生徒にはっきりと上下関係を植え付けた。

教室が完全に静かになったのを確認し、アニエラは空中ディスプレイを操作して、1枚のカードを投影した。


「えー、皆さんが今から参加する魂装ファントムの儀について説明しますね。大体の人は知ってると思いますが、まず魂装ファントムとは、魂魄外装具現化システム、通称魂装ファントムのことです。見ての通り、ただのデバイスですが、これは使用者の魂をトレース、使用者の心象意識から最善となる武器へと姿を力を持っています」


アニエラは胸ポケットからデバイスを取り出し、一言二言何かを呟きそれを宙に投げた。

するとそのデバイスが粒子となって弾け飛び、アニエラの周りを衛星のように一定の距離で回り始めた。その光景に生徒達から歓声がもれた。


「そして魂装にはもう一つ重要な役割があります。それは、私達魔法士の魔力の調整です。私達魔法士15歳から20歳までの間、魔力が不安定になり、ほうっておくと自家発電起こして大変なことになる危険性があります。それの解決手段として、大昔の偉人達が作ったもの、それがこの魂装です。まあ先生もはっきりわかってないんだけどね」


 アニエラは軽やかな手つきで操作パネルを動かし、柔らかな微笑みを浮かべ、時折冗談を交えて説明をする。生徒を魔法で締め上げる強引さからくるこのギャップに、少しづつ張りつめていた教室の空気が和らいでいく。

アデルは、魂装の説明よりもそちらが気になってしまい、全く話が入っていなかった。



「この魂装を装備することを「纏う」と私たちは、読んでいます。そして、皆さんが契約の儀で顕現させた魂装ファントムには天と魔の二つの特性に分かれます。それによって2年次のカリキュラムが分かれるので頭の隅にでも入れておくように。

 さて、そろそろ時間になるのでアリーナに向かいます。私の後に続いてくるように、以上!」


 アニエラは、一通りの説明を終え、生徒達を誘導するために早歩きで教室を出ていく。教室にいる面々も、いそいそと先生の後に続こうと席を立ち始めた。

アデルも立ち上がる。すると隣に座っていた男子生徒がぼやいた。


「あの先生は絶対ドSだわ。なぁ、アンタもそう思わねえか?」


 アデルより背格好が一回り大きな金髪の男子が、アデルに話しかけてきた。


「あ、あぁ…まぁ、確証はないが」


 唐突に話しかけられ、言葉を詰まらせるがなんとか会話をつなげるアデル。その反応に口元をニヤッとさせて立ち上がりアデルの前に右手を差し出す。


「俺はレオナルド・クルスだ。レオって呼んでくれよ。さっきのはナイスファイトだったぜ」


さっきとは、3人組を注意した時のことだろう。レオにの目には、アデルが勇敢な人間と映ったようだ。

レオに求められた握手をアデルは笑顔で応えた。

「ああ、ありがとう。俺はアデル・バランだ。普通にアデルでいいぞ」

「おう!よろしくなアデル!」


 二人の手が離れると、前のドアからカテレアがひょこっと顔を出してアデルを呼ぶ。


「アデル君~!何してるの?みんな行っちゃうよ~?」

「だ、そうだ。レオ、とりあえずアリーナに行こうぜ」

「おう!」

 白い歯が見えるほどの笑顔で応えたレオは、踵を返して階段を降りる。アデルもそれに続き、カテレアの立つ出口まで向かった。 

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