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エクストラ・ナイツ   作者: クマ
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プロローグ

初めましてとなります。pixivにて挫折しかけていた。物語を、もう一度始めることにしました。

現実世界に、魔法という概念が入り交じった世界観感となっております。

皆様のお口に合えば幸いです。

プロローグ



「ハァ…ハァッ……ハァッ!!」


 見渡すかぎり大木しか生えていない森を、息を切らしながら走る、一人の少年がいた。


「ハァッ、急いで…知らせないと…!姉さまが!」


 少年は、泣きながら走ってきたのか瞼が腫れ、着ている服はあちこちが破れているか、泥でよごれていたた。


「誰かッ…助けて…うわっ!」


 少年は、木の根に足を引っ掛け、顔面から勢いよく転んでしまった。

 

「うぅ…痛いよぉ…姉さまぁ」

  少年は、転んだ痛みでまた目から涙がまた溢れ出し、心が折れたのか起き上がらず、そのまま恐怖と不安に満ちた顔を地面にうずめてしまった。

 1分ほど経っただろうか、少年は、地面にうずめていた顔を再び上げる。少年の目は、先ほどまでの涙でぐしゃぐしゃになった顔ではない。課せられた使命を果たそうとする決意の眼となっていた。


「あきらめちゃ…ダメだ…!絶対にッ!」


  少年は、足にもう一度力を入れて、再び起き上がる。溢れ出す涙をこれでもかと腕でガシガシと拭い、ガクガクと怖くて震える足に力を入れ、懸命に一歩を踏み出した。

 どれぐらい歩いたのだろう、少年は、朦朧とし始めた意識のなかでそう考える。

  歩く足は棒のように曲がらず、歩くというより、前に動かしているような歩き方になっている。疲労のせいか、顔はどこか上の空な顔になってきている。

 少年は、ハッとなり、我に返って頭を振る。気を引き締めなければ、自分の意識が旅立びたとうとするのを必死で引き留め、足を動かす。

 しかし、遠くからこだまする大声に、少年の身体が硬直し、歩むのをやめる。男なのだろうか、野太い声が2人、徐々に少年の元に近づいてきている。


「あのガキどこに逃げやがった!?見つけたら泣き叫んで許しを乞うまであの顔面をひっぱたいてやる!!」

「ダメだよぉ!そんな勝手なことしたら、俺たちがマスターにお、怒られ、チ、ちまうぞ?!そそ、それより、あの野郎、おおお俺の腕を噛みやがって!!…は、早くこの腕を、しょ、消毒しねえと、バイ菌で腕が、くく、腐っちまう!」

「うるせえ!逃がしたのはテメエだろうが、責任持って探しやがれ!豚みてぇな汚い顔して言ってんじゃねえ!」


 少年を、追っているであろう男達、一人は、体格の良い男で、少年が逃げ出したことに激怒していた。もう片方の男は、かなり太っていて、顔から汗がほとばしっている。顎が脂肪で埋もれているからか、話す言葉がところどころ、どもっていて、先ほどから腕をしきりにさすっていた。

 遠くからであった野太い声がすぐそこまで迫ってきている。少年の体に再び緊張が走り、踏み出した足が動かなくなる。どうやら少年はこの二人から逃げてきたようだ。

 少年は徐々に近づく二人の声に怯えるも、思考をフル回転させ、辺りを見回す。


「ど…どこかに隠れないと…あ、あそこなら」


 少年は、大人3人が手を広げてどうにか届くほどの大きな木の下、土と木の根が盛り上がっており、子供が一人、隠れることができるくらいの隙間があった。

 少年は、迷わずそこに入り込み、息を殺し、身を潜める。少年の位置から特定できないが、少年が恐怖するものすぐそこまで来ていた。

 遠くから聞こえてきたのは、人の声だ。それも二人いる。一人は、煙草でのどをガサガサにしたような声の男。そしてもう一人は体脂肪で気道が狭まっているのか、ヒュー


  「どうやって探すんだ、よぉ?は、早く連れて行かないと、マスターが、お、俺らを半殺しにしちまうよ!?」

  「んなことぁわかってんだよ!だから今探してんじゃねえか!少しは頭使いやがれ!!この豚が!」

  「おお前だって、油断してたから逃がす羽目になったんだろう?!脳ミソ筋肉野郎!!」


 二人の男は、怒鳴り散らしながらも、少年の隠れ場所に、近づいて来た。すると、脳筋男が何か、を見つけたのか、足を止める。


  「足跡はここで止まってやがるな」

  「てことは、ち、近くに身を潜めてやがるな…ヒヒッ、坊やぁ隠れてないで出ておいで〜」


 弱者を弄るのに快感を感じている人間と同じ、醜悪なな笑みを浮かべた、豚男と脳筋男は、身を潜めれそうな場所を手当たり次第に探し始めた。少年は、両手で口を抑え、気配を殺し、身を縮める。

 通り過ぎろ!あっちへ行け、と少年は心の中で必死に神様に願った。早鐘を打つ心臓で意識がどうにかなってしまいそうなのを、どうにか抑え込んで身を縮める。

 男達の足音が、近くで止まり、静かになった。もうおしまいだ、神様は僕に味方してくれなかったのか、少年は、絶望に心を沈め始める。しかし、いつまでたっても男達は目の前に姿を見せない。

少年は、不思議に思ったのか、それとも恐怖から逃げ出したかったのか、外の様子を確かめようと幹の隙間から顔を出してしまった。


 「おやおやぁ?何処に行くんだぁい?」


 少年の襟元を、脳筋男が掴み、隙間から引きずり出し、地面に叩きつける。豚男がすかさず少年の上に馬乗りになって抵抗させないように両腕をがっちり抑え込んだのだ。 まさに、一瞬の出来事だった。

 

「は、離せ!!この、ヤメロォ!!」 

 

少年は振り払おうと抵抗するが、所詮は『大人』対『子供』。抵抗してもビクともしない。


「フヒッ!やっと、つ、捕まえたぞぉ!クソガキぃ、抵抗するだけ無駄だぁ」


豚男は、顔から汗を垂らし、息を荒くして少年を睨みつける。その目は、これからどう痛めつけてやろうかという、卑劣で侮蔑な目をしていた。 


「さあて、ここまで手間かけさせやがったんだ。覚悟はできてるよなぁ?クソガキィ!!」

 

脳筋男も、自分の掌に拳を打ちつけて、少年に恐怖心を煽らせている。脳筋男の目もまた、豚男と同じ目をした。

少年は、恐怖した。これから何をされるのか、自分がどんな目にあうのかを想像してしまったからだ。尚更、逃げようと四肢に力が入る。しかし、豚男が馬乗りになっているため、動かすことができない。


「抵抗はぁ、よくないぞぉ?抵抗すればするほど、お前への仕打ちがどんどん酷くなっていくぜぇ?フヒッフヒヒッ」


 興奮すると饒舌になるのか、先ほどよりも流暢なしゃべりの豚男は、顔を紅潮させて少年の顔を覗き込む。そして、隣にいた脳筋男は、傍に落ちていた太い木の棒を拾い、少年の頭の上に叩きつけた。


「おおっと、手元が狂っちまった。当てないように叩くつもりだったのによぉ、抵抗すると当たるぜ坊主ぅ?ハッハッハッハ!」


 脳筋男は再び木の棒を振りかざす。少年は、思わず目をつむり、反射的に防御姿勢を取ろうとする。しかし、豚男に押さえつけられているので動くことができない。

 もうダメだ。死ぬッ!そう覚悟した。しかし、振り下ろされた木の棒と共に、脳筋男は後方に吹き飛ばされ、太い木の幹に体を打ち付け、そのまま、気絶してしまった。

 「ゴフェッ!」

 「ヒィッ!?な、なんだ!?どこからの攻撃だッ!!」


 豚男は、何者かはわからない敵を探すため、辺りを見回す。すると体が少し、持ち上がったため少年にかかっていた拘束の圧力に緩みが生じる。少年はすかさず暴れて、豚男の拘束から脱出した。


「あぁ!テメェ!に、逃げんじゃねえ!!」


 思わぬ乱入によって少年は、死の危機から解放された。このチャンスを少年は、一気に攻勢に出る。少年の目が、真紅へと変わり、身体から魔力のオーラが湧きあがる。そして、そのオーラを右手に集約し、豚男に向けて解き放とうと狙いを定める。


「おおっ!お前ッ?!アア、悪魔の血族だったのかよッ?!ヒッ!た、助けて!!」


 豚男は、完全な逃げ腰の姿勢で、少年に命乞いをする。しかし、少年は一切の躊躇いを見せることなく、魔力を解放した。


豚男は、肉片1つ残すことなく消し炭になった。彼が居た地面は、少年の魔力で大きく抉られ、所々に魔力の残滓が燻っていた。

 少年は、肩で息をしている。まだ眼は紅いまま、元に戻らない。だが、長居できない。


「ハアッ…ハアッ、に…逃げない…と」


次の追っ手がくると考えた少年は、震えている脚にもう一度力を込め、立ち上がろうとする。


「ん?…なんで、動かない…えっ?!」


少年の身体は、全く動かない。少年は視線を身体の方に落とすと、そこには魔力で編まれた縄によっていつの間にか、完全に拘束されていた。


「嘘だろ…離して!…離してよ!!」


 少年は、締めつける縄に抗おうとするが解ける気配がなく、さらに締められている箇所から魔力が奪われてることに気づき、さらに抵抗する。

  (早く解いて逃げないと…!!)


必死に抗っていると、奥の茂みがガサガサと動き、そこから1人の青年が姿を見せた。

少年は、敵だと判断し、残り少ない魔力を絞り出す。が、全て魔力の縄に奪われてしまう。


「ちょっと待ってくれよ少年、お兄さんは敵じゃないって 君を助けに来たんだって。落ち着いてよ」

 藻掻く少年を見た男は、落ち着かせるためにこう続けた。

「アデル・バラン君。俺は、ウェスタリアから来た救助部隊だよ。今、別の部隊が君のお姉さんを探しに動いてるから。君は少し眠りなさい」


どうやらこの青年はこの少年、アデル・バランが住む国の人間らしい。アデルは、徐々に意識が薄れていき、話す気力もなくなってきていた。


「でも……姉さま……が…僕も…!」

「後は俺たちに任せろ。君のお姉さんは必ず救い出す」

 

アデルの意識は完全に途切れてしまった。


 その後、アデルは救助部隊に助け出され、治療を受けるためウェスタリア王国に移送された。

 

だが結局、アデルの姉を助け出すことができず、アデルの願いは叶うことはなかった。




 それから月日は11年が過ぎようとしていた。

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