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エピソード

 諸君は聞いたことはあるだろうか。幾千もの魔物と戦い数千の攻撃魔法を防ぎ、山よりも高い魔物と戦う者の存在を。魔王と呼ばれる人々を不安に陥れるものを倒す存在を。

 魔王を倒すものは経験が深い魔法使いでも、何度も死線を乗り越えてきた腕が丸太よりも太く、あらゆる武器を使いこなせる戦士でもないのだ。確かに魔法においては魔法使いより呪文を知らないかもしれない。そして剣を操る腕前に関しても戦士より劣るかもしれない。だが、それらをはるかに凌駕するものがある。それは何か「勇気」である。

 人々は敬意をこめてそれを持つものを勇者と呼んだ。おっとまえがきが長くなったな。つまり何が言いたいかというと。この私、いや僕、いや俺こと勇者育成専門学校卒21歳田中ヒロキこそがその勇者なのである。

「魔法使い!煙幕で敵の目を目くらませろ!戦士!右から突っ込め左から俺が行く!」

 相手は小さな丘ほどありそうな竜の形をした邪心ある生き物。紫の煙幕があたりを支配して、左から筋骨隆々の男が突っ込む。それに竜が対応しようとした瞬間に俺は無防備な首を狙って跳躍して刀を振り下ろした。

 あらかじめ教えてもらった弱点である首を切ったため、ずしんと重い音を立ててモンスターは地面に倒れ込んだ。

「さすが勇者様狙いどおりでしたね。お怪我はありませんか?」

 フリフリのついたピンクの可愛らしい服を着た魔法使いが俺に駆け寄ってくる。見た目も萌え萌えでロリロリでその手の筋の人が好みそうな外見だ。きっと俺に惚れてる。多分この後告白されるだろう。

「ったくお前にはかなわねえな」

 頭の兜を乱暴に外した戦士が血しぶきを浴びた姿で寄ってきた。こいつは勇者育成時代俺の才能に嫉妬していつも嫌がらせをしてきた。しかし、どうやらこいつは才能がなかったようで戦士への道へ進んだらしい。育成時代は

いろいろ嫌なことをされたが、心広い俺は許して今では俺の舎弟同然だ。

「よし仕事も終わったしこの後は飲みにでも行くか。全部俺が奢るよ」

この一言に「さすが勇者様」だの「おう飯でも行こうぜ」と称賛の声が聞こえた。俺の将来は実に明るくこれからもっと名前が売れていくだろう……。


 ジリリリリリリリリリリリ

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