しばしお休み
目前に迫った学祭の準備に、鈴も疲れているのだろう。帰りのバスの中、こちらに体が傾いたと思うや否や寄りかかってきた重みに微笑む。
肩に乗った頭にそっと頬を寄せると、ほのかな花の香りが鼻をくすぐる。シャンプーの匂いだろうか。
身軽な方の腕をあげる。するりと指の間を逃げる鈴の髪。何度かそうっととかして、一房指先でつまむ。
黒く輝く毛の一部に、黄色がついている。ペンキだろう。この体勢で起こさずに取るのは、少し難しい。降りてからがいいか。
手を離し、窓の外へ目を向ける。ゆったりと過ぎる見慣れた景色は、あと十分ほどこの時間を楽しめるとささやいてきた。
(楽しみだな……鈴とまわる学祭)
緩くまぶたをおろし、彼女の手を握った。