殺人姫の悪霊
薄暗い光が路地裏の惨状を照らす。その輝きは闇そのものより不気味だった。見えることによって状況把握ができてしまう。理解できない恐怖などよりも、本当に怖いのは理解の後に来る恐怖だった。
いつもどおりの毎日。表現するなら退屈な日々。角を曲がったら美少女転校生とぶつかったりすることもなければ、異能の力を持つものに突然襲われるなんてこともない。
友達とだらだらと生産性のない会話を続け、将来何の役にたつのか分からない授業を受けるだけ。それが俺たち高校生に与えられた運命だった。
「ヨッシー。暇だからカラオケに行こうぜ」
ヨッシーとは俺のことだ。名前がよしたかだから、ヨッシー。ちなみにこいつは修造と呼ばれている。松岡修造のモノマネが巧いのと、下の名前が修造であるためだ。
「すまん修造。今日はバイトが入ってるんだ」
「ああ、バイトか。それはすまんかった。そういや由利ちゃんは元気にしてる?」
由利は俺のバイト先でレジ打ちをやってる女の子だ。由利は背が小さく、声が可愛らしい女の子としてロリコンたちとの間では有名だ。修造もその一人である。