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御対面魔王様

前線に連れてこられてからの俺の扱いは最低最悪だった。

まず前線基地に食料に見せかけた樽(中には大量の火薬と開けたら発動する魔法)が用意されていた。

そして俺の役割、それはここの責任者として振舞わなければいけないというもの。

簡単に言ってしまうと前線基地ごと魔族爆破、怪しまれないために邪魔になった勇者を責任者に仕立て上げたよ、完全な捨て駒だね。ということである。

ちなみに逃げられないように食料庫としていた場所に押し込められ、奇妙な魔法をかけられて鍵をかけられました、もう腹くくるしかないというわけです。






というわけで人間が撤退して一時間、ついに魔族とご対面となりました。


「人間よ、なぜここに残った」


相手は結構なプレッシャーを放っている、多分四天王とか幹部とかそういうレベルのひとだと予想。


「……ん?魔法で一切の行動を禁じられているのか……ということは何かやらかしたのか、おい解呪してやれ」


どうやら助けてくれるらしい、ある意味助かったのかもしれない……けど常識的に考えてこのまま捕虜にされたり、拷問されたり、おもちゃにされたりとろくな結末が見えない。


「これで口が聞けるだろう、何があったか話せ、さもなくば足を切り落とす」


拷問コースでした。


「なんでも話すからひとまずここを離れよう、あの樽には大量の火薬と魔法が仕込まれている」


「……いいだろう」


少し考えてから幹部らしき魔族は俺を小脇に抱えて食料庫から出た。

そのまま歩みを進めて食料庫から離れ、火の魔法を食料庫に向けて撃った。

火の魔法はそのまま食料庫の入口から入り込み、中の火薬に引火、大爆発を引き起こした。


「本当だったようだな……さて、ではなぜあんなところで拘束されていたのか教えてもらおう」


というわけで一時間近くかけて事情を説明しました。

どうやらあの妙な魔法は人を操る類のものだったらしいが、なぜか俺には効き目が薄く身動きを封じる程度に収まったと幹部さんから聞いて納得した。


「なんというか……随分と大変な目にあったんだな」


幹部さんはとても優しいです、こっちの世界に来て初めて心を許してしまいそうになった。

俺って案外ちょろいなと思いながらも交渉に移る。


「魔王様とやらとお話してみたいんだが案内してもらえますか」


もうこうなったら世界の半分とかどうでもいいからあの国王たちに復習してやりたい、その一心での交渉だった。


「私が魔王だが何の話がしたいんだ」







ちょっと俺の脳みそでは処理しきれなかった。

……幹部だと思っていたこの人が魔王様だったのか。

でもちょっと処理落ちが……なぜならこの幹部さん改め魔王様……女性なのですから。


「魔王と言われているから男だと思っていました……」


つい言葉に出してしまう。

それに応じて魔王様が露骨に顔をしかめた。


「悪かったな、こんな小娘で」


俺の言葉に期限を悪くしたようだが……恐ろしく可愛い。

見た目は二十代前半の女性で茶髪、背中の中ほどまで伸ばされたウェーブヘアー、綺麗系というよりはかわいい系の顔つきなのも相まって幼さが見て取れる……そんな人が拗ねてる姿というのはもう辛抱たまりません。


「で、話とは何だ」


ちょっとトリップしてた、こっちに来たこと自体がトリップなんで二重トリップしていたわけだ。


「あの国王とか補佐官に復讐したいので手伝わせてください」


「んー、いいよ」


交渉はあっさり終わりました。


「けど条件、君の利き腕はどっちかな?」


「右です」


「じゃあ右腕をもらう」


ここに来て可愛い女性から君(の利き腕)をもらう発言されたらたまりません、だいぶ血なまぐさいけどね。


「流石に人間をおいそれと信用はできないからね、保険だよ保険」


「そういうことなら……優しくしてね?」


「それは主に女性が言う言葉だしこの場にはふさわしくないだろうに……」


呆れられました、その視線なんかゾクゾクする。


「じゃあ……もらっとくね」


魔王様のそのお言葉の後、右肩に異様な熱と喪失感、それと何かが流れ出るのを感じて意識を失った。

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