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第1章 第3話   『ブラック・フォックス』

彼女・エシャロットの弟の動きを止めたヴィオ。

彼は誰の手によってこの様になってしまったのか―――――…?

「しばらくそこでじっとしていてもらいます…“マッド・パーソン”…!」


ぼくは彼の動きが止まったことを確認し、彼の側に居るブラックバードに目を向けた。

「…貴方の仕業ですね?」

一歩ずつ、烏に近づく。

「…」

「いまさらただの烏のフリをしても遅いです」

「…クハハ…流石はD.ファーザー…いや、“悪魔の瞳”保持者とでも言おうか…?」

ぼくは身を構えた。

「貴方は…一体何者なのですか?」


「いいだろう。オレはオマエらの保管する神書せいしょを狙う者…

 ――――――黒狐ブラック・フォックスだ」


(…!)

「…とにかく。貴方が彼をマッド・パーソンにしたんですね?」


(マッド・パーソンとは、近年医学界で完成された人を狂わせる薬品を

服用した人の事を言う。)


「あぁ、そうだ。まぁ少し、改造はしてあるが」

「改造…?それはどういう―――――」


《グサッ》


「!?―――――――っ」(ガクッ)

左の足に鋭い痛みが走った。

ぼくはしゃがみ込んだ。

「命令した相手を殺すまで止まらないようにしたんだ」

「…!」

それを聞いて急いで体制を整え、彼の動きを見た。

「オマエ…コロス…オマ…エ…コロス!!」

素早く彼は急所に目掛けてナイフを振り落としてきた。

「…っ」

ぼくはギリギリの所で彼の腕を押さえて難を逃れたが、ぼくの背中側に壁が来てしまった。

つまり、彼と壁の板挟み状態だ。

「…貴方は…っ何故っ…こんなことをしているのですか…っ」

「…ア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛」

「貴方には…帰ってくるのを待っていてくれている人がいるじゃないです…か…っ」

彼の力は除々に強くなっていった。

(…これ以上は…無理だっ…彼は完全に…ヒトである事を忘れてしまっている…っ)

ぼくはズボンのポケットから十字架クロスを取り出した。

それを彼の胸(心臓の上辺り)に押しつけた。

「グ…ガァ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッッ」

彼は苦しそうにもがきだした。


「――――貴方はもう、ヒトではありません…

   ―――――悪魔です」


ぼくは倒れている彼に向けてクロスを掲げた。



『―――“悪しき心を浄化し 天へ召されんとす”――――』

《パァァァァ――――――…》



「ほう…それがの力の一つ “エンジェル・スピーカー”…クハハ面白い。

では、また会おう!」バサバサ…

「あっ!」

烏はそう言って飛び去っていた。

(…さて。彼女には何て説明をしよう…)


エシャロットの家にて


「おはようございます…」

ぼくが彼女の家に着いたのはもう朝だった。

足を引きずって歩いてきたので、遅くなってしまった。

「あっ!ヴィオ君…!そ…それは…弟の…ネクタイピン…」

彼女はぼくを見るなり崩れ落ちてしまった。

「あ、あの…ミス・エシャ「…弟は…死んでしまったんでしょう…?」

彼女にはもう解っていた様だ。

「はい…。すみません。このピンは…彼の遺品です。彼はお亡くなりになる間際までこれを

握っておられました…」

ぼくはそう言いながら彼女に渡した。

「そうなの…あのこったら…やっと仕事先が見つかって喜んでいたから…私はこのピンをあげた時…

すごく喜んでいて…そうだったの…っ…ありがとう…」

彼女は深くお辞儀をした。


ぼくはさっと後ろを向いて冷たく無表情になった。


(ま…そんなのは彼女に喚かれても困るので、ぼくの考えた嘘だけど)

そして、さっと彼女に向き直った。

「もし宜しければ…ぼくたちの教会で彼をお見送り致しませんか?」

「…ええ」

彼女は、こくりと頷いた。

それからぼくたちはイヴさまの待つ教会へ向かった。

朝の光が眩しかった。


教会にて


「只今戻りました、イヴさま」

ぼくは足の痛みを堪えながら教会の扉を開いた。

これは夜、彼から受けた傷によるものだった。

「お帰りなさい。随分と遅かっ…ヴィオ、その足は?」

イヴさまはぼくを見るなり足下に近づいてきた。

「いえ、大したことではありませんので…それより、イヴさま。仕事です」

「仕事…ですか」

ぼくの話を聞いてぼくの後ろに居るエシャロットに気がついた。

「…では、早速お送りしましょう。ヴィオ、準備を」

「はい」





『―――――――――アーメン』

イヴさま、ぼく、エシャロットの3人は教会の大きなイエス様の像に向けて手を合わせ、

彼の安らかな眠りを祈った。

「わざわざ、ありがとうございました。ヴィオ君も…ありがとう」

「いえ、ぼくは何も出来なくて…申し訳御座いません」

ぼくは深く頭を下げた。

「謝ることないわ。本当に有り難う」

彼女はそう言って教会を後にした。




日は暮れ、窓からはオレンジ色の暖かい日差しが差し込んでいた。

「ヴィオ。あまり無茶は止めて下さい」

「痛っ…大丈夫ですよ、イヴさま。…こんな傷…」

ぼくは今、昨日の夜にあった出来事の報告と、そのついでに足の手当をしてもらっている。

「はい…これで大丈夫です。…では、報告を」

「ありがとうございます。昨日の夜は――――――…」


「そうですか。ふむ、“ブラック・フォックス”…聞いたことがありませんね」

イヴさまは考える様に顎をおさえた。

「はい。ぼくもよく聞き出す事が出来ませんでした…」

ぼくは紅茶を一口くちに含んだ。

「では…明日、の所に行きましょうか」

「え゛っ…行くのですか…?」

(ぼく…あの人苦手なんですよね…)

ぼくは持っていたティーカップを落としそうになった。

「嫌なんでしたら、俺だけで行ってきますよ?」

「それは駄目です!…心配です」

イヴさまはクスクスと笑った。

「今日は疲れているでしょう。早くお休みなさい」

「…はい」

ぼくはイヴさまに一礼をして、自室に行った。








『――――――――誰かが俺様の所に来る…


              ――――――誰だろなっ♪』

とは一体誰なのか。

次話 第4話 『情報屋』をお楽しみにして頂ければ幸いです。


ここから先は、http://ameblo.jp/toru-tukihime/に

お越し下さい。引っ越ししました。因みに、アメブロです。

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