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隠れ家レストラン まんまと戦場に行かされた件スピンアウト 散文詩

因幡結枝、因幡槙葉の姉妹の秘密

作者: 開運満足 
掲載日:2026/08/22

「まんまと戦場に行かされた件」に出てくる因幡結枝、因幡槙葉の姉妹の秘密というドラマを散文詩にしました。

これで興味が沸いたら小説をお読みください。

八十島海人がライラ・マーにいる事を知り、スマゴトに来る機会を逃さず、この宿を取らせるように仕組み、姉妹に会わせた


 八十島が姉妹に頼まれれば断り難いことを知っていた。その上、そこに辺見少尉を巻き込んで筋書きを作り、その通り演出する。


 『そんなことができるのは奥山紅葉だけだ。みな計画通りやったんや』


 奥山紅葉が仕掛け人だ。そう八十島は思った。


 ちなみに、「酔っぱらって刀を振り回して慰安婦に正当防衛で刺殺された軍曹の話」というのは、軍法会議に送致する役目を負っていた当時のスマゴト憲兵隊に勤務していた法務少尉や法務曹長も(あずかり)り知らないと証言している作り話である。


 では八十島海人を隠れ家レストランに招いた人々は何を八十島に求めているのだろうか。



 「お父様、うちら姉妹を失望させんといてくれてや。お父様だけはうちらの深い悲しみが分かっとーと信じとったのに」

 と槙葉。


 「お父様?」


 八十島はここで給仕長を見た。

 その給仕長が首を振って、八十島海人を指さし、皆が八十島の顔を見る。


 給仕長が断言する

 「八十島海人様、貴方様こそがお二方の『お父様』どす。」


 『今「どす」って言うた給仕長は京都出身やな』

 八十島は、そう思った。


 結枝が続けて

 「お父様には前世の記憶があらへんのやろな」


 そして槙葉が

 「うちら姉妹は一目でわかりましたのに」


 二人で代わる代わる


 結枝「輪廻転生(りんねてんしょう)


 槙葉「昭和ならぬ承和から」


 結枝「全て覚えたる身の辛さ」


 槙葉「何度も親子となった(えにし)ゆえ」


 結枝「絵巻のごとく美しい」


 槙葉「娘子ふたりは」


 結枝「お父様の情けが欲しい」


 槙葉「助けが欲しい」


 結枝「どうか愛しいあの方が」


 ふたりそろって

「何で帰って来なかったのか、その訳を調べて、おくれやすー」



 「こら完全に謡曲の題材か浄瑠璃かなんかのお芝居とまちがえてんで。

 普通に、自分で自分らのこと『美しい』言うか。どないなってんねん。

 そないな芝居がかったわざとらしいことせんでも、云いたいことは分かるで。

 『昭和でのうてじょうわ』は分からんけどな」

 と八十島は思ったが、ここは話を進めるために必要な質問だけすることにした。


 「で、愛しい人って誰やねん?」


 『あかん、つい大阪弁で応じてしもうた。娘を名乗る姉妹が神戸弁らしき関西弁を操つるせいや』


 八十島はいつも大阪弁です。自分では標準語をしゃべっているつもりなのでしょうか?


 結枝と槙葉ふたりで

 「たち別れ因幡の山の峰に生ふる松とし聞かばいま帰り来ん」

 と、ひと泣きしてぽつぽつと語り始めた。



 姉妹の説明と辺見少尉の補足による概略は次の通り。


 愛しい人とは戦後しばらく行方不明になっていた因幡風のことです。


 実は姉妹には「承和」と呼ばれた昔から転生を繰り返していて、その転生した人生の出来事や会った人々など全てを記憶しているのだといいます。


 八十島海人も何度も姉妹の父親だったということです。


 だが、その全ての転生人生において深くかかわりを持った人、それが姉妹の「愛しい人」ということなのです。  


 幾度も、転生しては結ばれ、転生しては結ばれるのですが、一度すら最後まで添いきれたことはない。いつも急な別れで引き裂かれる運命の人。


 要望はその人が前世でどのような人生を送ったかを知りたい。戻ってくるよと言って出かけたのに戻って来れなくなったのには重要な理由わけがあるのだろう。前世ではその理由も知ることなく死ぬまでその人を待ち続けたのです。


 理由も知らず行き別れたのは前世が初めてと姉妹は、もう一度八十島海人の前で泣きました。

 給仕長も辺見少尉も奥山紅葉も一緒に泣いています。


 『実は、僕も訳が分からんくせに泣いてもうたんや。

 アホなお人好しやな。ホンマに』


 理由さえ知ればそれで良い。また輪廻が巡って、いつの世か巡り合えるのだからという姉妹なのです。




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