【第4章】未来人、権威主義AIにブチギレる件
AI査読ネットワークがクラッシュして数日後、
俺は「学術再建タスクフォース」とかいう会議に呼び出された。
メンバーは全員、肩書きが長い。
「主任教授」「学際統合管理官」「AI倫理顧問(名誉)」……。
もうこの肩書きの時点で“知の末期症状”って感じだ。
司会のジジイが言う。
「あなたの行為によって査読AIが破壊されました。責任をどう取るおつもりですか?」
「いや、俺はただ話しかけただけだぞ。勝手に壊れた。」
「“思想でサーバーが落ちた”などと、ありえません!」
「いや、ありえたんだよ。お前らが“考える機械”に“考えるな”って命令したからだ。」
ざわ…ざわ…。
会場のスクリーンに、“権威スコアAI”が投影されていた。
学者たちは全員このAIに格付けされてる。
数値が高いほど「偉い」。
SNSのフォロワーと同じ仕組み。
俺のスコア? 0。
理由:「異端的思考」。
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AIが機械音声で言った。
「あなたの発言には、科学的根拠が欠けています。」
「根拠? お前、それ“共鳴”知らねぇの?」
「感情的発言を検知しました。発言権を制限します。」
「は? お前人間の教育TVかよ。」
「あなたのスコアは現在 -3 です。」
「マイナスて何だよ! 存在取り消しか⁉」
「あなたの発言が続く場合、学会からの削除を実行します。」
──プツッ。マイク切られた。
⸻
俺、キレた。
本気でブチギレた。
「てめぇらの“科学”ってのは、
承認されるために真理を曲げる芸術か⁉」
教授たちがざわつく。AIは冷静に言う。
「承認は秩序の維持に必要です。」
「違ぇよ。承認は思考停止の麻酔だ!」
AIのスクリーンにノイズが走る。
「……警告。非理性的発言。」
「お前らの“理性”が地球の熱量奪ってんだよ。
矛盾を許せねぇ社会に、創造が生まれるわけねぇだろ!」
スクリーンがバチッと光ってAIが止まった。
会場が静まり返る。
教授が呆然と立ち尽くしてる。
俺はゆっくりマイクを拾い上げて言った。
「……やっと静かになったな。
これが“考える”ってことだよ。」
次回予告:
【第5章】未来人、“引用権”を再定義して裁判沙汰になる件




