虚栄のトンチ
遂にトンチ合戦が始まりました。
ファッ休さんは、袖から素早くM92を抜きサン休さんの額に照準を合わせました。
それと同時に、サン休さんはコルトガバメントを構え銃口をファッ休さんに向けます。
2人の指は引き金にかかっており、どちらが先にトンチの凶弾により倒れても、おかしくない状態です。
「てめぇ…サン休だとか言ったな?トンチを構える速度はまあまあだが…俺には勝てねえよ。」
「ほぅ…ファッ休とやら。俺らはほぼ同時にトンチを構えた。なのにえらく自信があるじゃねえか。」
「素人には互角に見えるだろうよ。だがな…てめぇの目の動き、汗のかきかた、呼吸の浅さ、実戦でのトンチ経験が不足している。」
「なっ…」
「どうした!新人!安全装置が外れてないぞ!」
「うるせえ!やってやる!」
サン休さんが引き金をひこうと、指に力を入れようとしたその瞬間です。
ファッ休さんはサン休さんの構える、コルトガバメントのスライドを引き抜き、トンチを使えなくしてしまいました。
「くだらねえな…てめぇのトンチは所詮"虚栄"に過ぎない。」
そう言いながら、ファッ休さんはM92をしまいます。
そして続けてサン休さんに言いました。
「純粋なトンチ勝負といこうじゃねえか。」
「あんま調子にのるんじゃねえぞ!ファッ休ゥゥゥゥ!」
サン休さんの鋭い右トンチが、ファッ休さんの顎を狙います。
紙一重のところで避け、ファッ休さんは体勢を低くします。そしてその反動で、ファッ休さんの右トンチがサン休さんの、鳩尾に突き刺さります。
「ガ…ガハッ…!」
「しばらく寝てろ。新人…。」
こうしてトンチ合戦に勝利したファッ休さんと和尚様は将軍様のお屋敷を後にしました。




