屏風の虎
無事にお屋敷に到着した、ファッ休さんと和尚さん。
二人は将軍様の前へと通されます。
「わざわざ出向かせてすまなかったな。お二方。」
「いえいえ。将軍様。」
和尚さんが答えます。
「して本日はどのようなご用件で?」
「おぉ…そうだったそうだった。今日二人を呼んだのは実はな…」
将軍様は語ります。
夜な夜な屏風の虎が、出てきて悪さをするそうです。
それで困り果てており、和尚さんとファッ休さんに退治をお願いしたいそうなのです。
「将軍様1つお伺いしてよろしいでしょうか?」
「どうした?ファッ休よ。」
「どうして"屏風から虎が出てくる"って嘘をつくのですか?」
将軍様は顔を真っ赤にして怒り出しました。
「ぶ…無礼者が!」
和尚さんは焦った様子でファッ休に言います。
「ファッ休よ。何て事を…!」
「ご安心ください。和尚様。」
ポクポクポクポクチーン!
「Fuck you!」
ファッ休さんは袖からM92を取り出し将軍様のこめかみに銃口を押し当てます。
「将軍様…てめえはこの状態でも、まだ"屏風から虎が出てくる"とかくだらねえ事言えるのか?」
将軍様は冷や汗を垂らしながら言いました。
「ファ…ファッ休よ…ワシの負けだ…」
「くだらねぇ事で俺らを呼びやがって…退治が必要なのは、屏風の虎よりもてめえかもな。覚悟せえや!」
「やめろ!やめてくれ!ファッ休!」
必死に懇願する将軍様を見るファッ休の目は、おぞましい程に冷酷でした。
「命乞いは、地獄で閻魔様にでもしてこいや!」
────パンっ!
乾いた音が響き渡る。
「ファッ休よ…。将軍様になんてことを…。」
「安心しな和尚。空砲だ。」
なんとファッ休さんが放ったトンチは、空砲だったのです。
「相変わらずファッ休のトンチには驚かされる。」
ほっと胸を撫で下ろしながら、和尚さんは息を吐きます。
「和尚。こんなくだらねえ場所、とっとと出ようぜ。」
こうしてファッ休と和尚さんはお屋敷を後にしました。




