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緋眼の舞姫  作者: 神無月ほたる
1章 ジェヴォーダンの獣
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6話

無駄に長い始業式が終わり、次はクラス発表だ。


「ムムム、今年こそ舞桜(まお)と同じクラスにっ!!」


謎に気合を入れながらクラス発表の紙が貼ってある掲示板を見る(まい)


(まい)?そんなに気負わなくても何も変わらないよ?もう決まってることなんだし…」


「あっ!やったぁ~!!やったよ!!舞桜(まお)見てみて!!」


と大はしゃぎする(まい)に言われてクラス表を見る。


そこには私の名前と(まい)の名前、そして阿津斗(あつと)の名前もあった。


「やった、やったよ…小学校からただの一度も同じクラスにならなかったのについにっ…」


と感激して目尻に涙さえ浮かべている(まい)


「そんなに一緒のクラスが良かったの?どうせ一緒に帰るのに」


「そりゃそうでしょ!何時(いつ)でも舞桜(まお)といられるんだよ?他のクラスだと正直に入りづらかったし…」


あー、なんとなくだけど分かるかも。他のクラスに行くのって結構勇気いるよね…。


阿津斗(あつと)はどう?3人一緒で嬉しい?」


「…まぁな」


()気無(けな)くだが返事をしてくれた。


相変わらずだなぁ。と苦笑(にがわら)いしてしまう。


まぁ、これでこそ阿津斗(あつと)なんだけどね。


でも、昔とは違う。昔はもっと元気で活発な子だった。…原因は分かってる。私だ、私のせいで阿津斗(あつと)は…。


「ま〜お、暗い顔してるけどどうしたの?」


こういう事に敏感な(まい)が私の背中に抱きつきながら聞いてくる。


「何でもないよ。それよりも天狐(てんこ)は?姿見えないけど…」


天狐(てんこ)ちゃんなら学校着いた瞬間どっかに行っちゃったよ?」


「そう…まぁ天狐(てんこ)のことだしふらっ、と戻って来るか。ありがとね(まい)


「このくらいならいくらでも頼んでよ!!私は何時(いつ)でも舞桜(まお)の味方だからね!」


えっへん!と無い胸を張る(まい)


「私も、何時(いつ)までも2人の味方だよ」


私がそう返すとエヘヘ、と嬉しそうに笑ってくれた。


あっ、阿津斗(あつと)もちょっとだけ嬉しそう。口角ほんと少しだけ上がってるし。


「…さて、今日は授業もないし2人に何も予定無いなら帰ろっか」


私がそう言うと


「はーい!」


「…あぁ」


(まい)が元気よく手を上げ、阿津斗(あつと)は軽く(うなづ)いた。


それからは久しぶりに3人で下校をする。


「今日って学校行った意味あるのかな?なっが〜い話聞いて、クラス確認して終わりって…」


「まぁ、普通の学校なら新しいクラスとかに荷物持っていったり、先生とか生徒とか集まってワイワイするんだろうけど…除霊高(ここ)だしね」


「確かに…仕事でクラスの一人二人は常にいないし集まったところでなのかな?阿津斗(あつと)はどう思う?」


(まい)が聞くが


「…さあな」


とバッサリ会話を切り捨てた。


何時(いつ)ものことなのだがぷく〜と頬を(ほお)(ふく)らませる。


「全く、そんなのだから『ロボット』、なんて言われるんだよ?自覚あるの?」


やれやれ、といった様子で言う(まい)


(まい)って表情がコロコロと変わるから見ててちょっとだけ面白いんだよね。


「言うやつには言わせておけばいい。俺は俺を理解してくれるやつがいればいいからな」


抑揚(よくよう)のない声でそう言う阿津斗(あつと)


「そっか。なら安心だね阿津斗(あつと)のこと理解してる人が2人もいるからね!」


(まい)って何でも自信満々に言い切るよね…正直(うらや)ましいよ。私はいっつもマイナスで考えちゃうから」


「そうかな?私は舞桜のほうが(うらや)ましいなぁ。ほら、私バカだからさ何も考えてないんだよだから色々なこと考えられる舞桜(まお)のほうが(うらや)ましい…」


あはは、と自虐的に笑う(まい)


「確かに…未だに因数分解すら出来ないもんね」


「それとこれとは関係ないじゃん!」


も〜!!と怒りながらぽかぽかと私を叩いてくる。


「ごめ、ごめんって」


くすくすと笑いながらそう言う私。


あぁ、こういう何気ない幸せがずっと続けばいいな。


と心の中で幸せを()()めているときに電話が鳴る。


ポケットからスマホを取り出して電話の相手を確認する。…お父様からだ。


「…ごめん、2人とも、先に帰ってて。ちょっと用事できた」


「あっ、うん…」


心配そうな顔をした(まい)といつも通りの阿津斗(あつと)を横目に人気(ひとけ)のない路地裏へと入る。

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