22話
天狐もできる遊びと言うことで真剣衰弱になった。
昧の番でスペードのエースが出る。
「あれ?これどっかで見たような…」
「きゅきゅ!」
ペチペチとカードを叩いて昧にカードを教える天狐。
「ここなの?ありがとね、天狐ちゃん」
とお礼を言ってカードをめくる…ハートの3を。
「ちょっと!!違うじゃんか!!」
「きゅっきゅっきゅっ」
してやったり、という顔をして昧が取るはずだったスペードのエースを取っていく天狐。
その足で器用にめくるなぁ。
と謎の関心をしてしまう。
「ぐぬぬぬ…誰も信用できないってことなのか…」
悔しそうに顔を歪ませる。
「真剣衰弱なんてただの記憶力ゲームでしょ?」
そう言いながら今まで出ていたカード4組を取る。
「あ、あのさ…ちょーっとだけ手加減してくれないかなぁ」
懇願するように言う昧の持ってるカードは0組。
さすがにひどいな…。
「え~っと、これも何処かで…」
う~んと頭を捻る昧に
「ここだよ」
と教えてあげる。
さすがに一つも取れないのはかわいそうだしね…。
と優しさのつもりだったのだが
「舞桜も天狐ちゃんみたいに騙そうとるな!だったらこの近くの…これだっ!」
バッ!と勢いよくトランプをめくる。
「なんで違うのぉ〜!」
うわぁぁ〜!と叫ぶ昧。
順番的に天狐の番だったので昧が取れたはずだったクラブのⅪを取っていく。
「だから言ったのに…」
「うぅ~、どうして私舞桜を疑っちゃったんだよぉいつも助けてくれるのにぃ」
四つん這いになり絶望する昧。
そんな感じで実質天狐との1対1のまま真剣衰弱が進んでいく。
結果は私の勝ち。天狐とは2組差だ。ちなみに昧は全部で3組。うん。まあ健闘したほうだと思う…。
「いっそ清々しいほど負けたよ…」
あはは…。と自分を嘲笑する。
「まぁ昧は記憶力お世辞にもいいとは言えないしね…」
「自覚はしてるけどひどいよ!言わなくていいじゃんか!」
「だってテストどうするの?ただでさえ2年生に上がるのギリギリだったのに…」
偏差値30いかないから何もしなくてもいけると思うんだけどなぁ。
と思ったがそれは言わないでおく。
「それはまぁ、うん。なんとかなるよ…。たぶん」
「まぁ、どうしてもならまた勉強会でもする?」
「それはちょ〜っと遠慮させてもらおうかなぁ」
あはは、と笑ってごまかす昧。
「上がれるのならいいけど…留年しないでよね?私だって昧と卒業できないのは淋しいんだから」
少し照れくさかったので視線をそらしながらそう言うと
「ま〜お〜!」
ガシッ!と飛びついてきた。
「私も!私も舞桜と一緒に卒業できなきゃやだよぉ〜!」
子どものように駄々をこねる昧の頭を撫でる。
「じゃぁ勉強会するよね?」
コクコクと頷いてくれる。
う~ん昧単純で扱いやすいけどちょっと面倒くさいんだよね…。
そうして何事もなくお泊り会は進んでいく。
…と思っていた。




