20話
お風呂から上がった後、いつもの桜色のパジャマに着替えてリビングへ。
「お風呂上がったから次どうぞ」
「あっ、舞桜。カレーごちそうさま」
「お粗末様です。着替えは私のパジャマでいい?」
「もちろん!というかむしろそれがいいと言うか…それに舞桜の残り湯」
グヘヘヘ、と正直に気持ち悪い笑みを浮かべる昧。
後半小声だったから上手く聞き取れなかったけど大丈夫…だよね?
昧がお風呂に入った後、昧のために脱衣所にパジャマを置き、髪を乾かす。
この後は洗い物して…アヤメ(刀)の手入れして…食材買うのは明日でいいかな?せっかく昧が来てるわけだし。
とこの後の予定を軽く立ててまずは洗い物をする。
「きゅきゅー!」
「天狐。手伝ってくれるの?」
私がそう聞くとコクコクと頷いてくれる。
クルリン、とその場で回転しながら煙を上げて女の姿に化けた。
髪は金色で服は和服。花魁といえば分かりやすいだろうか?そのくらい綺麗な姿だ。
「何だかその姿懐かしいね。ししょー」
昔の事を思い出しそう言う私。
「えぇ。そうですね。舞桜」
とても優しく、落ち着く声。
「私お皿洗うから軽く拭いてそこに入れといてね」
「えぇ。任せてください」
お互いにテキパキと作業をしていく。
何を話せばいいのか分からず、しばらくカチャカチャとお皿のこすれる音だけが続いた。
「あの…さ。昔からずっと聞こうと思っていたんだけど…どうしてししょーはそんなに私を気にかけてくれるの」
やっとのことでそう話を切り出す。
「とても…とても自分勝手な理由ですよ」
しばらく考え込んだのち
「私はただ…そう。ただ貴方に自由になってもらいたかった。それだけです。後は…そう。罪滅ぼし、ですかね」
「罪滅ぼし…?」
「いずれ、分かります。その時はきっと、私を軽蔑するでしょうね」
寂しそうに微笑む天狐。
「…仮にそうだとしても私がししょーにしてもらった恩は消えないよ。ししょーがいなければ私はきっと緋巫女としていまここにいれなかった。」
そう。ししょーがいなければ私は何度も死んでいただろう。
私に戦闘技術や実践での戦い方を教えてくれたのは他でもないししょーなのだから。
「そう言ってもらえれば助かります」
「さて、話はこれくらいにして、早く終わらせちゃおっか。せっかく昧が遊びに来てるしね」
「えぇ。友人は大切にするべきです」
その後、テキパキと洗い物を済ませた後自室に戻ってアヤメ(刀)の手入れをする。