18話
図書室を出ると会いたくもない奴に出会ってしまった。
例の転校生天宮漣だ。
「よう、桜木でいいよな」
「…はぁ、何の用?」
どうやらは出待ちしていたらしい。
…面倒くさい。
「お前に決闘を申し込みに来た」
「嫌だ」
「即答かよっ!?」
「最高ランク様に最低ランクが勝てるわけ無いでしょ」
「へぇー、俺の蹴り受け止めといてよく言うぜ。それによ、入学の時、試験で試験管ボコって首席で入学したって聞いたけどな?」
嫌味っぽく言ってくる天宮。
どうやらこっちが天宮のことを調べていたように向こうも私のことを調べていたらしい。
となると、弱い者アピールも無駄か…。まぁ最初から分かってたことではあるけど。
「いいよ。受けてあげる」
「そう言うと思ったぜ」
嬉しそうに笑う天宮。
「決闘はお互いにかけるものを選べるでいいよね」
「あぁ」
「…なら、私が勝ったら2度と私と関わらないと約束して。あなたのためにも」
「俺が勝ったらパーティを組んでもらうぞ。お前に証明するためにな」
自信満々でそう言う。
「証明?なんの?」
そう質問すると
「言ったろ?誰かが不幸になる平和なんてクソ食らえだって。だから見せてやるよ誰も不幸にならない方法をな」
ニィと笑ってそう言い張る天宮。
全てを救うと言い張る天宮。
何かを犠牲にして他の全てを救う私。
誰がどう見ても間違っているのは私の方だろう。
それはそうだ。誰だってハッピーエンドを求める。平和で、美しい話を求めている。
その裏で何人が犠牲になったのか、何を犠牲にしてきたのか、そんなことすら美しく着飾って。
ならば犠牲になった者は救われたのか?
そんな訳無いだろう?誰だって死にたくないし、ハッピーエンドの世界にたどり着きたかったはずなのだから。
…まぁとにかく、何かを犠牲にしなければ何もできない。
犠牲になった者は救われない。生きた者が勝手にこれでお前も救われたよな。と勘違いするだけなのだ。
全てを救うなんてものは理想でしか無い。
それが現実。理想の物語何かと違う理不尽な世界なのだ。
でも私はその理想が好きだし、そうあるべきだと思っている。
だから私が悪で君が正義。それでいい。そうじゃなきゃいけない。
ここはそう。悪役らしく正義の味方を引き立てることにしよう
「天宮漣。あなたには誰も救えない」
と