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17話

キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴る。


「わわ!急がなきゃっ!」


慌ててお弁当を片付ける(まい)


何時(いつ)までも天狐(てんこ)と遊んでるからでしょ?」


「間に合いそうなのか?」


阿津斗(あつと)がそう聞いてくる理由は除霊高(じょれいこう)は5、6校時は学科別の授業だからだ。


学科の種類としては実際に現場で動くことに重点をおいた「実行科(アクション)


情報収集や調査などを重点においた「捜査科(ディティック)


負傷者の治療やサポートに重点をおいた「救護科(ナース)


武器や装備の開発、改造に重点をおいた「装備科(イクエ)


他にもあるが代表的なものはこのくらいだろうか?


ちなみに私と(まい)実行科(アクション)阿津斗(あつと)調査科(ディティック)に入っている。


阿津斗(あつと)の場合は隣の校舎に移るだけなのだが私達の場合は少し離れたところにある校舎まで行かなければならない。


「急げばなんとか!あ、舞桜(まお)は今日も休むの?」


「うん。単位足りてるし、行く意味もないしね」


「そっかぁ。じゃぁ今日も休むの伝えておくね」


残念そうな顔になるが時間がないのを思い出し急いで屋上から出ていく(まい)


「…俺もそろそろ行く。また後でな」


「うん。頑張ってね」


と笑顔で二人を見送った後、特にすることもない私は校内を彷徨(うろつ)くことにした。


何をして時間をつぶそうかと考えながら歩いていると図書室に見覚えのある姿が見えた。


あれは…シエスタ?


両手を枕にして机に()()すようにして寝ていた。


昨日のことを詳しく話そうと思い図書室に入る。


頭には赤いリボンをつけておりすぅ、すぅ、と寝息を立てている。


…なるほど昼寝(シエスタ)ぴったりな名前だ。


時間はあるので起きるまで待っていようとシエスタの隣に座る。


それと同時にゆっくりとシエスタが目を開ける。


「…ごめん、起こしちゃった?」


ふわぁ、とあくびをするシエスタ。


「あ、いえ元々起きるつもりだったので」


起きるつもりだった?


言葉に引っかかりつつもまだ眠いのかうとうとしているシエスタに質問する。


「昨日のこと、誰にも言っていないっていう証拠が欲しい。何か証明できるものはないの?」


もちろんそんな証明なんて誰にもできるわけがないのだが…。


私としてはただ一言「誰にも言ってない」という言葉が欲しいだけだ。


そんな私の言葉にくすくすと笑い始めるシエスタ。


「確認なんてしなくても見れば(・・・)分かりますよね。先輩?」


「…へぇ、そこまで知ってるんだ」


私の中でシエスタへの警戒度をいくつか上げておく。…何時(いつ)でも消せるように


「今日先輩がここに来るのは分かってました。何も話すのかもです」


「どうして分かるの?私が何をするのかなんて誰にも言ってないと思うけど?」


「先輩、こんなの初歩的な推理、ですよ」


どうやら本当にそう思っているらしく苦笑を浮かべている。


それに…嘘はついていない。


しかしそうだとすればシエスタの推理は推理ではなく未来予知に近しいものだ。


シエスタの先祖であるらしいシャーロック・ホームズもこんなに化け物じみた推理(・・)をしていたのだろうか?


「まぁそれはともかく、私は先輩の秘密を誰にも話してませんよ」


その言葉に嘘はない。


「これで満足ですか?先輩」


「…今のところはね。何かすれば容赦(ようしゃ)はしないよ」


「はい。心得てますよただし、これだけは言わせてください。私は何時(いつ)でも先輩の味方ですよ」


そう言って微笑(ほほえ)むシエスタ。


「と、こ、ろ、で先輩。この可愛(かわい)い生き物はなんですかね!?」


と私の肩に乗っている天狐(てんこ)を触ろうとするが


「きゅきゅ!」


ペチ、とその手を弾かれる。


「この子は…私のペットみたいなものだよ。名前は天狐(てんこ)


天狐(てんこ)ちゃんって言うんですね。すこーしだけ触らせてもらっても…」


「きゅきゅっ!」


ブンブンと首を振って否定する天狐(てんこ)


「うぅ~残念です。もふもふしたかったのですが…」


「基本的に人見知りだからね」


用事は済んだので図書室から出ようと立ち上がる。


「お昼寝の邪魔してごめんね」


「いえいえ先輩のためならいくらでもこの世界最高峰の頭脳をお使いしますよ」


少し自慢げに言うシエスタ。


…あなたってそんなキャラなの?


苦笑(くしょう)しつつ図書室の扉を開けたとき


「そうだ先輩。一つ忠告を」


「忠告?」


「見えるものが全てが真実とは限らないですよ」


その言葉の意味は分からない…でもまぁせっかく世界最高峰の頭脳様が忠告してくれているのだから覚えておいて損はないだろう。


「…分かった。覚えておくよ」


「はい、これからもよろしくお願いしますね。先輩」


嬉しそうにそういうのだった

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