16話
「これって…このあたりの地図?」
覗き込むようにして見ている昧。
「あぁ。で、ここ最近の霊絡みの事件が起きているところを調べたところ…」
カタカタ、と阿津斗が軽く操作すると地図上に可愛いお化けのマークが学校を中心にして浮かび上がる。
「阿津斗って意外といいセンスしてるよね。このお化け可愛いと思わない?舞桜」
「たしかに可愛いけど…多分私達に合わせて選んでるんじゃないかなぁ。」
「…」
そっと目をそらす阿津斗。
…え?素で選んでたの?
「…そんなことより、これを見れば分かると思うが最近の事件は学校を中心に起きていた。それに、事件の近くには除霊高の男子生徒の目撃が多発している」
「うわぁ、めちゃくちゃ黒じゃん」
阿津斗の言う通りだとすると学校に犯人がいるってことか…。
「…偶然の可能性もあるよね。阿津斗、どうして男子生徒が怪しいと思うの?」
私がそう聞くと
「学校側に提出された仕事の報告書をハッキングしたんだが」
ちょいちょい!しれっとなにしてるの!?
「一部の報告に術を使う霊の報告が上がっている。それとそこにいた霊の気になる発言もな」
「気になる発言って?」
「俺は命令されただけだ。ここで暴れろと。そうすればもっと力をくれる。だそうだ」
命令に力…。霊にとっての力とは霊力のこと。となるとこのあたりに霊操師がいるというのは確定でいいだろう。
「目撃された男子生徒の姿はわからないの?」
昧が阿津斗にそう聞く。
「あぁ。監視カメラとかもハッキングして確認したがハッキリとは映ってなくてな。」
「そっかぁ」
残念そうに肩を落とす昧。
「何はともかくそれだけ分かれば十分すぎるよ。ありがとうね。阿津斗」
と私がお礼を言うと
「…あぁ」
と短く返事をして顔をそらされた。
…?私また何かしちゃったかな?
いや、顔が赤いし体調が悪いのかもしれない。多分昨日から徹夜して調べてくれたのだろう。
「やれやれ、阿津斗も苦労人ですなぁ」
「それってどういう意味?」
「さーてね。ささ、残りの弁当食べちゃおー」
と無理矢理話を終わらさせられた。
よく分からないけど…まぁいいか。
そんなこんなで賑やかなお昼が過ぎていく。