14話
…受ける意味のない授業。ノートも取らずにただぼーっとして時間が過ぎるのを待つ。
というのも仕事の関係上除霊高では単位制を採用している。
仕事で授業が受けられない生徒が多数いるため仕事の難易度によって特別に単位を得られるようになっているのだ。
で、私は去年の内に卒業までの単位は揃えてある。
こうして学校に来ているのは出席日数稼ぎと2人に合うためだったりする。
勿論学校なのでテストはあるのだがこんな野蛮な高校はそこまでの学力を求められないし、実際偏差値が30を切っているので問題ない。
ちらりと横を見ると私と同じようにノートを取らずぼーっと黒板を眺めている天宮の姿が見える。
どうやらこいつも私と同じで出席日数稼ぎらしい。
…まぁ単なるサボりの可能性もあるけど。
後ろから「すぅ~、すぅ~」という寝息が聞こえてくる。
後ろを向くと案の定昧が自分の手を枕の代わりにして寝ていた。
ゆさゆさと軽く揺すってみるが起きない…。
「昧?起きて。起きないとチョーク飛んでくるよ?」
除霊高では教師に逆らえばもれなく体罰だ。
私にはよく分からないのだが一部の男子生徒はわざと体罰をもらっている人が一定数いる。
女教師に殴る、蹴るをされて「ありがとうございますっ!」と何故か感謝しているんだよね…。
もちろんのこと体罰なんてしようものなら教育委員会が黙ってないのだが生徒は別に体罰を普通だと思っているし、教師も教育委員会の前ではしないので問題になっていない。
「うみゅ〜…」
「うみゅ〜じゃなくて起きてって…」
ゆさゆさとさっきよりも強めに揺すってみるが起きる気配がない。
うん、ダメだこれ。諦めよう。
と昧を起こすのを諦めたとき
ヒュンッ!!と私の真横にチョークが飛んでくる。
「いったぁ~!!」
昧がおでこを両手で押さえながら飛び起きる。
あっぶな、とっさに顔を傾けて無かったら私が当たってたや。
「ほぉ~、うちの授業で寝るとはええ度胸やなぁ?」
ニィ、と気味の悪い笑みを浮かべるルキア先生。
「あっ、あっ…」
ガクガクと怯えた顔になる昧。
ガシッ!と昧が首根っこを掴まれる。
「ちいっとこっちに来いや。安心せいちょっとお話するだけや」
「嫌だっ〜!誰か、誰か助けてぇ〜」
ジタバタと暴れる昧をものともせずにズリズリと廊下の方へ引きずられていく。
…ご愁傷さま、昧。
それから昧は授業が終わるまで帰ってこなかった。帰ってきたのは授業が終わって少ししたあと。いつもの屋上でお昼を食べようと阿津斗と話しているときだった。
「ワタシ古川昧ハワルイコデス」
何故か死んだような目をしで。
何をされたのか知らないし考えたくもないけど…。
「え~っと、取り敢えずいつものとこ行こっか…。そうだ、今日は二人の分もお弁当作ってきたんだけどいる?」
まぁ本当は作りすぎちゃった物の余りなんだけど…。
「舞桜の弁当!?やったぁ~!食べる食べる〜!!」
さっきまでの落ち込みは何処へやら大喜びする昧。
本当は大して落ち込んでないやつでしょ、これ…。
そんなこんなで3人で屋上に行くことになるのだった