13話
「へぇ~霊操師か。私霊操師にあんまりいいイメージないんだよね。…よく事件で聞くし」
確かに霊操師の名前をよく聞くのは事件のニュースが主だ。
「あくまでも疑いがあるってだけだからね?事件の犯人が霊操師だって決まったわけしゃないよ?」
「分かってるって。」
いくらなんでもバカにしすぎだよ。と不機嫌になる。
「…ねぇ舞桜良かったら私もこの件関わっていいかな?」
いつになく真剣な顔でそう言う昧。
「どうして?」
「ただの勘だよなんか良くない感じがするの」
昧の勘は野生の勘とでも言うべきでよく当たる。
…少なくとも私は外した所を見たことがない。
「…わかったよ。でも、絶対に危険なことしないで。危ないと思ったらすぐに逃げること。いいね?」
「もう、舞桜は心配性だなぁ。大丈夫だよ。これでも強いんだからね?私」
えっへん、と胸を張る昧。
「そういう所が心配なんだよ…。自信を持つのはいいことだけど油断すれば死ぬんだよ」
真面目にそう言うと昧は「う、ごめん…そうだよね」と謝ってくれた。
それから雑談をしていると
「よし、揃ってるな」
ガラガラ、と教室の扉を開きながら見知った教師が入ってくる。
「うげっ!!」
と心底嫌そうな昧と一部の生徒の
声。
「見知った顔もおるな。知っとると思うけどうちはルキアや。ここの担任になったからよろしく」
ニィ、と楽しそうに笑う。
昧が嫌そうな顔をしている理由はルキア先生がヤバい人だからだ。
というのもルキア先生はイタリアのマフィアの首領の娘らしく、性格も乱暴な人なのだ。
別の学校で素手で校舎を破壊したらしく、それが原因で東京の除霊師に来たといううわさがある。
何故そんな人が教師を続けられているのかと言うと腕だけは立つからだ。
まぁ腕が立つからって色々な事に目を瞑れるかというのは別な気もするが…。
「あぁ、そうや、転校生がいるんだった入っていいぞ」
そうルキア先生に言われて入って来たのは見覚えしか無い男子生徒だった。
「天宮漣だ。アメリカの方から来た。よろしくな」
と名乗る男子生徒こと天宮漣。
阿津斗が転校してきたとは言ってたけどよりによってここかぁ、ちょっと面倒くさいなぁ…。
面倒くさいのは嫌いなので窓の外を見て気付かないとふりをする。
「ねぇねぇ、めちゃくちゃこっち見てるよ?あの転校生」
「…知らない」
ヒソヒソと昧が耳打ちしてくるのをバッサリ切り捨てる。
「こっち来てるよ?」
「…知らないってば」
「おい、お前」
私の席の机に手をバンッ!と乱暴に叩きつける天宮。
「お前、昨日会ったよな?」
そう言いながら睨みつけてくる。
「私は君なんてしらないよ。人違いじゃない?」
「おい!お前だろ!」
そう言ってくるが無視。
しばらく睨みつけてきていたのだが痺れを切らしたらしく「チッ」と舌打ちをして席に座った。
…よりによって隣の席に。
それ以降何も言ってくることはなく、そのまま授業に入っていくのだった。