12話
次の日、早めに登校した私は新しい教室、2−Aに入りあまり目立たない窓側の前から3番目の席に座る。
除霊高では席替えがなく、1年間最初に決めた席が続く。そして席は早い者勝ちだ。
そのため、好きな席を取ったり、友達や仕事仲間と固まるために早く登校する人が多い。
まぁ私はあまり目立ちたくないだけなんだけどね…。
かなり早めに来たつもりだったがちらほら生徒の姿がみえる。
昨日怪我をした腕を見る。
内出血も目立たないし、ガラスの破片の傷もかなり治っている。明日には完治といったところだろう。
一応長袖の制服で隠してるけど杞憂だったかな?
まぁ昧への言い訳を考えなくていいと思うと無駄ではないか。
そんな事を考えていると
「ま〜お〜っ!何で先に行っちゃうのぉ〜!」
うぅ〜、と恨めしそうに唸る昧がやってきた。
「ご、ごめん。先に席決めたかったから…」
「むぅ~。仕方ない舞桜だから許す!」
私だから許すってどういう意味だろう?
…それよりもどうやら昨日のケンカはなかったことにしようとしてるみたいだね。
そのほうがこっちも気が楽でありがたいが昧の優しさに甘えているようで少し申し訳ない気持ちになる…。
そんな私達をじっと見ている阿津斗。
「うわっ!いつの間に来てたの!?」
と驚く昧。
「…十秒前からだ」
淡々と言いながら私の2つうしろ─一番後ろの席─に座った。
1つ席を空けたのは昧のためだろう。
それに気がついたらしい昧は私の後ろの席に座る。
「えへへ、何か新鮮だね。3人が揃って教室にいるの」
「そうだね。何時も昧だけ1人のこと多かったし…」
「そうなんだよ!!運命でも操られてるみたいにぜ〜ったいに舞桜と一緒になれなかったんだよ?」
「そんなおおげさな…」
「…舞桜、調べ物が終ったがいつ言えばいい?」
と阿津斗がいうので
「じゃぁ、お昼でいいよ。一緒に食べるでしょ?」
「…あぁ、分かった」
コクリ、と頷くと机の上に置いてあるパソコンをカタカタといじり始めてしまった。
うーん、お金渡したかったんだけどお昼でいいか。声かけにくいし…。
「なになに?舞桜何を調べてもらってたの?」
そう言って阿津斗のパソコンを覗き込もうとする昧。
「…」
阿津斗パタン、とパソコンを閉じる。
「むぅ~ケチ」
ムス、と不機嫌そうな顔をする昧に
「依頼人の機密事項を守るのは当然だ」
と冷静に返す。
「ねぇ~教えてよ〜」
「本人に聞け」
「だって舞桜絶対に教えてくれないもん」
「う~ん…まぁ別に隠すことでもないし、いいよ?」
それから私は昨日の事を2人に話した。