表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

1-2  SNSでの出会い

1ヶ月前。

佐伯美咲(25歳)は、薄暗いアパートの一室でスマホの画面を見つめていた。

SNSの「死にたい」コミュニティで、彼女は匿名アカウント「黒い月」として投稿していた。

もう、生きていても意味がない…。

美咲はアパレル業界で働くが、元カノに裏切られ、職場で孤立していた。

元カノは取引先の重役で、別れ際に匿名で「美咲はレズビアンを使って枕営業してる」と偽情報を流した。

美咲がデザインした服のプレゼンの日、同僚が囁く声が耳に刺さる。

「あの人、枕営業で仕事取ってるらしいよ。」

上司の冷たい視線、会議での無視。信頼していた同僚が距離を置き、SNSでも匿名の中傷が止まらない。私がマイノリティだから? 社会がこんなにも冷たいなんて…。

彼女はもう、耐えきれなかった。



一方、藤井遥(17歳)は学校の美術室で涙をこぼしていた。

彼女もまた、SNSで「黒い月」にメッセージを送っていた。誰も私の味方じゃない…。

遥は好きな女の子に告白したが、それが原因でクラスメイトに「レズ」と晒された。

SNSで「藤井遥、キモいレズビアン」と拡散され、机には「死ね」と落書き。昼休み、教室の隅で一人弁当を食べる遥を、クラスメイトが指差して笑う。「あんな子、いるだけで気持ち悪い。」家族にもカミングアウトできず、家でも孤立感が募る。

学校も家も、私には居場所がない…。 絶望の中、彼女は美咲の投稿を見つける。


「一緒に死にませんか?」


遥の指が震えながら、メッセージを打つ。

「私も、死にたいです。一緒に…いいですか?」

美咲はそのメッセージに息を呑む。

こんな若い子が…私と同じ傷を…。 彼女は返信する。

「ありがとう。あなたとなら、怖くないかもしれない。」

2人はメッセージを重ね、互いの絶望を共有する。

美咲は遥の純粋さに心を動かされる。

遥は美咲の言葉に安堵する。美咲さん、私を見てくれる…。


そして2人は渋谷のスクランブル交差点近くの喫茶店で会う約束をする。

待ち合わせの日、美咲は黒のレザージャケットに長い黒髪をなびかせ、遥はパステルピンクのセーターに緊張した笑顔で現れる。

スクランブル交差点の人混みの中、2人は互いを見つけ出す。

美咲のシャープな目元が遥を捉え、遥の大きな瞳が美咲を見つめる。

「美咲さん…ですよね?」

遥の声は小さく、緊張で震えている。

美咲は遥の純粋な瞳を見て、胸が締め付けられる。こんな子が、死にたいなんて…。

彼女は微笑み、遥の手をそっと握る。

「遥、来てくれてありがとう。やっと会えた。」

遥の頬が赤らむ。

美咲さん、こんな綺麗な人なのに…

私と同じ傷を抱えてる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ