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5³㎤の転移無双  作者: 清白
第5章 王都

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第4話 王都のスラム街





 王都のスラム街。

そう言ってもメダグリアの寮の辺りとそうそう変わることはない。

ボロボロの家が建ち並ぶが家がある者はまだマシなほう。

浮浪者に孤児も珍しくはないが皆たくましく生きている。

もちろんスラム街の中にも食堂や大人の店はあり町中の最底辺の店がスラム街では最高級の店になるランクだ。


 最初に行ってみたのは東側のスラム街の壁際。

ようするに俺が買った5部屋の家の向かいにある壁を越えた所だ。

壁を越えたと言ってもそう極端に生活レベルが変わるわけではなさそうだ。

壁の中では壁際は1番貧しい者が住んでいるし壁の外では壁際が1番富む者が住んでいる。

そのレベルが同じなのだろう。

貴族街のさらに真ん中の王城が富の頂点で外に向かって下がっていくのは壁があっても変わりないようだ。

壁は最初は魔物が襲ってくるのを防ぐためのものだった。

なので高さも石垣が3mほどはあるのでこちらから壁の向こうは高い建物ぐらいしか見えない。


 昼時を過ぎて客の少なくなった食堂に入ってみる。

食堂といっても今にも外れそうなドアを開けるのにもコツがいるようなボロボロの建物だ。

どうやら夫婦でやっているようで客は昼間からお酒を飲んでいる男が2人いた。

少し太めのおばちゃんが注文を取りに来る。


 「お昼時は終わっちゃったから串焼きとパンでもいいかい?串焼き3本で200ゼゼだよ。まさか若そうに見えるけどその年で昼間からお酒かい?」


 「お酒じゃないです、食事で。それでお願いします」


 「はいよ、串セットね」


 「すいません、この辺でウサギの獣人のミーティアっていう子が働いてるのを知りませんか?」


 「ミーティア?聞いたことないね。あんたら、ミーティアってウサギの獣人聞いたことあるかい?」


 お酒を飲んでいる2人にも聞いてくれる。


 「ん?いやあ、知らねえなあ。もっとも三区画ほども先に行けば全然知らねえ店ばかりだしな」


 「みたいだよ、うちじゃわからないね」


 「ありがとうございます。歩きながら食べることにします」


 「奪われないようにしなよ。はい、これね」


 「はい、ありがとうございます、いただきます」


 代金を払いお店を出て1本だけ串を咥えて残りはマジックバッグにいれる。

肉は固くて味だけが濃く何の肉かわからないが不味くはない。

見かけた3軒ほどに続けて入るが皆同じような対応だった。

1軒目は串焼きとパンだったので持ち帰れたが2軒目と3軒目は何かを煮込んだ物とパンだったのでパンだけマジックバッグに入れて出された物は食べる。

不味くはないがこれならミー姉が作ったら美味しくて売れるだろうなといった味だ。


 3軒目を出たがこれ以上は食べられないだろう。

昨日までの壁の中では持ち帰りのメニューも結構あったのだ。

しかし壁の外ではほとんどが店で食べるスタイルになっていてパンぐらいしか持ち帰れない。

やはり表から覗くだけにするしかないかな、そう思って持ち帰りにしたパンをマジックバッグに入れようとしたときに壁にもたれて座っている子供が見えた。


 7~8歳ぐらいだろうか、茶色いボサボサの髪に破れてボロボロのシャツと同じく破れてるズボン、栄養状態も良くなく痩せていて肩からこれもボロボロのカバンを斜めにかけているのは盗難防止だろう。

ジッとこっちを見ているが俺がそっちを見ると目をそらした。

1軒目のおばちゃんの言ったことが思い出される。

「奪われないようにしなよ」

食料を奪う者がいるということだ。

そういうのはだいたい子どもだ。

大人ならパンや串焼きだけ奪うようなことはしない、自分より弱い者を選んでパン以外の物も奪っていくだろう。

ある考えが浮かんで子どもの前に行く。

少しおびえたような表情だが目はパンに釘付けだ。


 「なっ、何か用かよ!?何もしてねえだろ?」


 「ああ、うん。おびえなくてもいいよ。暴力を振るったりするつもりはないから」


 「じゃあ何だよ?パンをくれるってのか?」


 「欲しいかい?」


 「そ、そりゃあ欲しいけど・・・」


 「じゃああげるよ。ただちょっと話を聞いて欲しいんだ」


 「な、何か悪いこととかはしないぞ?話を聞くだけだぞ?」


 「ああ、このパンの分は話を聞いてくれるだけでいいよ」


 パンを渡すとこっちを伺いながら3口ほどを一気に食べて残りをカバンに入れた。

たぶん誰かに持って帰るのだろうと思い聞いてみると母親と妹の分だそうだ。

マジックバッグからあと2つパンを渡してそれは全部食べていいと言うと残りも一気に食べた。

落ち着いたところでこっちに向き直る。

俺も子どもの前にしゃがんで目線を合わせて話をする。


 「名前は?」


 「ジル」


 「俺を襲わなかったのはどうして?」


 「服が綺麗だったから、3軒も回っていたしお金持ってそうだけどヤバい人だとまずいから」


 「ヤバい人?」


 「うん、俺たちを完全に人間として見てない人たち。壁の中のもっと奥のお金持ちに多いんだ。その人たちから盗って捕まったら死ぬまで殴られたりする。兄ちゃんがそうだとはわからないけど破れた服なんて着ない人に多いから手を出さないほうがいいんだ」


 「あ、俺はティル。じゃあ誰から盗るの?」


 「酔っ払ったこの辺に住んでるおじさんとか。酔っ払ってるから追いかけられないし捕まっても殺されることはない」


 「ジルの仲間とかはいる?」


 「いるけど言えない。兄ちゃ・・・ティルが誘拐するような悪い人じゃないかわからないから」


 母親が病気で妹もいる、孤児ではないらしいが生活しようがないのだろう。

考えたことを提案してみる。


 「ジルに頼みがあるんだけど聞いてくれないかな?もちろん聞いてダメなら断ってくれていいよ」


 少し不安そうな顔をするが頷いた。


 「仲間も誘ってくれていい、妹も一緒でも。俺はたぶん食堂で働いている女の子を探してるんだ。1人じゃさっきみたいに3軒も回ったらパンを食べなくてもお腹いっぱいになる。お金は渡すから代わりに食べてきて欲しいんだけど」


 少し考え込んだ。


 「ご飯食べさせてくれるの?妹も?そんないい話って何か裏があるんじゃないの?」


 「俺としてはその女の子を探してもらえたら助かるだけだけど、心配ならお母さんに聞いてもらってもいいよ。家はこの近く?俺も言っていいなら直接説明するけど?」


 「う、うん、母ちゃんは病気なんだ、乱暴したらだめだよ?」


 「しないって、絶対」


 パンを与えたからか少しは信用してくれたようだ。

ジルと一緒にジルの家に向かう。

と言っても歩いて5分もかからない。

先日買った家より、さっきの食堂よりもボロボロの物置のような家が10軒ずつ2列に向かい合って並んでいた。

その中の手前から2軒目がジルたちの家のようだ。


 ドアを開ければ4畳半ほどの一部屋だけなのですぐに母親が寝て妹が横についてるのがわかる。


 「母ちゃん、コニア、ただいま!パン貰ったよ」


 「よかったね、私はいいからジルとコニアで分けなさい」


 「ダメだって、ちゃんと食べないと」


 「おにいちゃん、誰?」


 「あっ、忘れてた。パンをくれた人なんだ。ティルだって。それでこれからもご飯くれるから頼み事があるって言うんだ」


 母親が俺に気づいて体を起こす。


 「ありがとうございます。ですがこの子に頼み事と言ってもまだ小さいですし役にはたたないかと、あと、子どもを売れとかならお断りしますが」


 「違います、売れなんて言いませんよ」


 母親にも説明した。

ミーティアというウサギの獣人を探していること。

料理が得意で食堂で働きたいと言ってたこと。

壁の中は持ち帰りのメニューも多かったがこの辺りでは店の中で食べる形式が多くて数を回れないこと。

外から見ただけでは厨房まで見えないことが多いし注文もせずにいるかどうか訪ねるだけでは嫌な顔をされること。

これらを説明してこの辺りと安全に行けるところまででいいから協力して欲しいと頼んだ。


 「お兄ちゃんの彼女なの?」


 コニアがそう言うが彼女ではない。


 「彼女じゃないよ。好きな女の人は別にいるから。でも妹みたいなものかな。年上だから妹って言うと怒るんだけどね」


 何度もしたやりとりを思い出す。

ちょっと探して見つからなければ仕方がないと思っていた。

違うどこかで頑張っているんだろうと。

でも実際に見つからなければ心配になってしまい安全なところで働いているのを見たくなったのだ。

そんな気持ちがわかったのだろう、母親の声が心配そうな感じになる。


 「見つからないって可能性もあるのよね?獣人なら雇ってくれないところもあるわ。17歳なら飲食店じゃないところで働いているとかも?そのあたりは大丈夫なの?」


 子どもの前なので詳しくは言わないが大人の店の可能性があるということだろう。

もちろんそのあたりもわかっている。


 「はい、できれば夢を叶えててもらいたいですけど生きてくれてたらいいという気持ちもあります。僕はこの辺りのことは知らないのでどこが安全かとかがわからないのですが」


 「そうね、この辺りで顔がわかるところは安全でしょうけどそういう子は聞いたことがないしね。でもこのままだと食べるものもないから話が本当ならお願いしたいのだけど、ジル、どうする?」


 「ご飯食べれるのなら母ちゃんがいいのならするよ。ティルみたいにいい服着てたら大人に襲われるかもだけど俺たちならたぶん大丈夫だろ」


 「ありがとう、友達とか何人ぐらいいる?」


 「う~ん、10人はすぐ集められるけど飯食えるってなったら30人ぐらいになるんじゃないの?」


 「そっか、けっこういるな」


 「壁の中も厨房見てないんだろ?行ってもいいよ」


 「えっ?でも毎日門から入ってたりしたら目をつけられない?服がいるなら用意するけど」


 一目でスラム街の子どもだとわかると門番は一応警戒する。

中に入って盗みとかされるかもと思うからだ。

それに毎日お金を払って中に入るなら食料を買うのが普通で何か企んでると思われる。


 「ふふん、大丈夫だって。後で教えてやるよ」


 「危なかったら許可しないよ。あ、その前にお母さんにこれはどうだろう?」


 そう言ってポーションを渡してみた。

俺には診断もできないし病名もわからない。

少しでもマシになればといったところだ。

ポーションはケガにはよく効くけど他のことにはあまり効かない。

強い毒や痺れなどに対応するのは別のポーションだし以前刺されたレインボーバタフライなどの特殊な状態にはそれに対応したポーションがいる。

でも体力回復の効果もあるので少しはマシにならないかと思ったのだ。

病気自体には効かないけど体力回復すれば自己免疫力も上がって病気に打ち勝てる場合はある。


 「ポーション、そんな高いものを・・・」


 「大丈夫です、一応それなりに稼いでいる冒険者なので」


 「ティル、冒険者なの!?カッケー!俺も将来なるんだ!」


 「私も!」


 兄妹がそんな話をしている間にポーションを飲んでもらう。


 「あ、凄い。だいぶ楽になったわ。いいの?本当に?ありがとう。ティルくん!」


 「母ちゃんっ!」

 「ママっ!」


 思ったより効いてよかった。

完治したのかどうかはわからないがすんなり立てるぐらいには回復したようだ。


 「本当にありがとう。もう元気になることは無いと思ってた。お仕事探さないとね。あ、ちゃんと探すのは協力するわね」


 少しの間家族で盛り上がっていたがもちろん邪魔をせずに見守っていた。

母親の回復が決め手になったのかひとしきりの話が終わると3人は協力的になってくれ、話し合いも進んだ。

特に母親、ルッコラさんは完全回復したのかと思うほど元気だ、もしかしたら内臓が傷ついていたのかもしれない。


 話し合いの結果、少しの間ルッコラさんはミー姉探しに協力してくれる。

体調が変わるかもしれないのにすぐ働いて体を壊したら困る。ただ働かないとお金はない、なので2カ月ほど捜索する子どもたちのまとめ役として給料を払うことにした。

ジルとコニアが俺が街で持ち帰った食料の中から選んで食事をしている間に話を進める。

小さめのマジックバッグを渡しその中にお金とこの3日間で持ち帰りした食料を入れておく。

ジルの友達を集めて3人ずつぐらいの班に分けて目立たないように1日2件の食事に行く。

その店だけではなくできれば周りの店でも見たことがないか聞き込みも混みで。

見つかれば魔力を流すともうペアの魔石が光るようになっている魔石ともし誰かがケガをしたときに使うためのポーションもマジックバッグに入れた。


 「ポーションまでいいの?」


 「大丈夫です、と言うより俺が頼んだことで誰かがケガしたりする方が耐えられないのでもしケガをしたらもったいないとか思わずに絶対に使ってください。無くなったら連絡くれたら補充しに来ます」


 「これ、私が売って逃げるかもしれないわよ?食費と魔石とポーションと食料とマジックバッグ、10年は暮らせる額になるんだけど。そんなに信用していいの?」


 「そうなったらそうなったで仕方が無いかなと。正直に言って信用してるというより盗まれたら諦められる程度のものです。ただ、見つかったらそれ以上の報酬は払いますし2ヶ月探し続けてくれたら見つからなくてもさらに報酬は払います」

 

 「なるほど、そこまでお金持ちってわけね。それなのに私たちスラム街の人間を嫌悪してるわけではないし探してる大切な人は獣人だし、色々理由はありそうね」


 「それなりに理由はありますけどそこまで深い理由でもないですよ。好きな人も獣人ですし探してる人は辛いときに助けてくれた恩人でもありますし。獣人を探すのが嫌なら諦めますけど」


 「大丈夫よ。ジルの友達にも獣人はいるしね。子どもの時は獣人かどうかなんて考えないのにね。私もジルの友達を獣人だからって差別しようとは思わないし」


 「そう言ってくれるのなら助かります。たぶん僕が次に来るのは2カ月以上先ですので焦らなくてもいいです。それまでよろしくお願いします」


 「うん、絶対に探し当てるとは言えないけど頑張ってみるよ。本当に助かった。ありがとうね、ティルくん」


 こうしてミー姉捜索は任せることになった。

帰ろうかと思ったがジルに引き留められる。


 「壁の中も探せるって話したじゃねえかよ」


 忘れてた。

ジルに連れられて家の外に出る。

向かったのはすぐそこの城下町との境の壁の前の広場だ。

3mの高さの壁で下1mほどは草が生い茂っている。

その一部分の草をかき分けて行く。

立てかけている木の板をよけると子どもが通れるぐらいの穴が開いていた。


 「へぇ、こんなところに」


 「ふふん、絶対に内緒だぜ、壁の向こうにも友達はいるから協力してもらえるぜ」


 「壁の内側の子たちとも仲がいいの?」


 「ああ、壁の内側といっても越えてすぐぐらいならそんなに変わらねえしな。よく遊んでるよ」


 勝手に壁の内と外で対立していると考えてたのが間違いだった。

子ども同士ではそういうのは関係ないらしい。

その穴を通って壁を越えると俺の買った家から50mも離れていなかった。


 「これで壁の内側も行けるだろ?この辺だけだけどな。さすがにあまり内側には行けない。平民でもお金を持ってるやつらにスラム街の子どもだなんてここでばれたら何されるかわかんないからな」


 「そっか、気をつけてくれよ。見つからなかったらそれでもいいんだ。絶対にケガしないようにな」


 「ティルは金持ちなんだろ?こんな金持ちもいるのかって変な気分になるよ。でもわかった。気をつける」


 「あ、ちなみにそこの家は俺のだから危なかったら逃げ込んでいいぞ」

 

 少し歩いて先日買った5棟並びの家が見えてきたのでそう言ってみる。

『転移』の魔石を隠している部屋以外なら入ってくれてもいい。


 「ティル、家まで持ってたのかよ・・・」


 「家って言っても・・・あ、何でもない」


 ぼろ家だし、と言いそうになってやめた。

ジルの家はここより狭い、それこそ金持ちの嫌みでしかないだろう。


 「ははっ、気にしなくていいって。ティルが嫌なやつじゃないっていうのはわかったから。あと、もしよかったら母ちゃんが調子悪くなったらここに寝かせてやってもいいかなあ?」


 「それぐらいはいいけど何かあるの?」


 「うん、俺らのあの家、家賃を上げるって言われてみんな出て行ったんだよ。母ちゃんが病気だったから動けなかったけどあそこの20軒ほどには他には誰も住んでないよ」


 静かだなとは思ったがまさか住んでいないとは。

壁の外では壁際は一等地だ。

家主が知り合いで安くで貸してもらっており周りもそういう住人ばかりで半分は空き家で孤児の子どもが雨露を防ぐ場所にもなっていた。

だが家主が亡くなり所有者が息子に移った。

その息子は住んでいる者を追い出して家賃を上げて新しい居住者を探すつもりらしかった。

家賃が上がっても払えるなら住み続けてもいいと言われているらしい。


 どうしたものか。

こっちの家に住んでもらってもいいし家賃ぐらい払ってもいい。

だけどあまりにも上からの施しっぽくないか?と考えたのだ。

それをすることによって相手が引け目を感じたりするのが嫌だしなと思ったのでその場ではもしルッコラさんが病気を再発すれば部屋で寝かせてもいいとの約束だけした。


 今後の細かいことはルッコラさんがまとめてくれるというので任せることにして自分の屋敷に戻った。

マリンが心配そうに俺を見る。

王宮守護兵たちにやられたシャツは着替えているがそれがバレた。

少し話しただけで俺以上に兵たちに憤慨している。


 話を変えるためにさっきのジルの家の話をしてみたら俺の気持ち次第でいいんじゃないかということだった。

その結果感謝したり施しが当然と思ったりするのは相手の判断だ。

反応が嫌ならそこでやめたらいい。

聞いたところ日々の食事も苦労してるのなら助けたかったら助けたらいいということだ。

理由が必要ならまとめて部屋を買ってミーティアさんを探す拠点にしたらいい、と。

何より王都のスラム街には孤児院すらないらしい。

全員は救えないが関わった子どもたちぐらいを孤児院の代わりに食事を与えるのはいいんじゃないかということだ。


 2カ月は戻ってこないと言いながら次の日には戻っていた。

ルッコラさんにこの先孤児院のようにしたいと話すと喜んでくれた。

小さな子どもだけで生きていくのは難しく道ばたで死んでいく子どもたちも多い。

その中でせめて食事を取れて夜中安心して寝るところがあるだけでも命はつながるだろう。

そういう生活に拒否反応を起こす子どももいるけどたいがいは親が死ぬか捨てられた子どもたちだ。

できるのなら守ってあげたい。


 家主のことを聞いて買い取れるなら買い取ることにしよう。

ルッコラさんに打診すると給料が出るのなら働かせてほしいということだ。

用意できるのは屋根のある寝場所と食料だけ。

それでもひとりでは無理なのでここに住んでいた追い出された人たちを誘ってみるという。

とうぶんは施すだけになるだろうが子どもたちができるような仕事を探してもいい。

まだ家を買ってもいないが方針はそういう感じだと決めた。

次の依頼がくるまではこの辺りで忙しくなりそうだ。

 



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