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5³㎤の転移無双  作者: 清白
第5章 王都

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第3話 素材採集のお仕事




 王宮守護兵たちに絡まれた後は貴族街を出て城下町を見て回った。

どんなところかとの興味もあったのだがメインはミー姉が食堂などの店を出したいないかなとの少しの期待もあった。

メダグリアの町を出て3年近く、元々貯金もなく王都にでてすでにお店を出しているなんて甘くはないだろうとは思う。

しかもミー姉は獣人だ、様々な差別もあるだろう。

それでも少しは期待していたのだが建ち並ぶ飲食店の中にミー姉が出すと言っていた『食堂ミー』は見つからなかった。

まだそこまでお金もたまってないのかもとミー姉の母親も従業員としても働いていないかと外から見えるところは中も覗いたのだが見つからなかった。


 もし会えたら落ち込んだ気持ちも少しは回復するのだろうかと思っていたがどうやら無理そうだ。

日も暮れてきた。

ふと思い立ってメダグリアの町のみんなが働いていたお店の本店もあったと思い出す。

ミー姉たちは食堂で働くと言っていたがもしかしたらと大人の店が建ち並ぶ通りに向かう。

できればミー姉には働いていてほしくはないがどうしようもなくなってのたれ死ぬよりは当然働く方を選ぶだろう。

ミー姉の母親なら経験者なのだからよりそっちを選ぶかもしれない。

それにこの2年ちょっとで向こうのお店からこっちに移ったあの寮の人がいるかも知れない。


 お店の名前は『オーロラ』だったはず。

本店と言うなら同じ名前のはずだがこっちの世界のことなので確実ではない。

開店したばかりのお酒や女性を扱うお店の通りを歩く。

まだお客も少ないのだろう薄着の女の人がお店の前で呼び込みをしている。

こういうお店は中を覗くことができないので外に出てくれてたらありがたい。

まだ子供に見えてもおかしくない俺にも声をかけてくるのは一応貴族街にも入れるほどの服を着ているのでそれなりのお金は持っていると判断されたからだろう。

声をかけられるとお店を探していると『オーロラ』の場所を聞くが結局お店は見つからず、当然ながら会いたいけどここではあまり会いたくないと思っていたミー姉と出会うこともなかった。


 日も暮れてきたので町を出る。

当然町の壁の外にあるスラム街にも食堂も大人の店もある。

そっちも探そうかと思ったが少し疲れていたのもあり諦めた。

国道から外れて林の中に入る。

魔石を2つ出して7の数字を彫ってペアの転移の属性にする。

木や石の陰になっている場所を選び大きな石の内部を消去して片方の『転移の魔石』を内部に転移させる。

もう片方はマジックバッグに入れる。

代わりに4の文字を彫った魔石を出して屋敷に『転移』で帰った。


 3階の自室に『転移』したのでそのまま2階に降りるとマリンとリゼがちょうど夕食を食べているところだった。

昔はこういうことがあると慌てて食事を止めて俺の分の夕食を用意しようとしたのだがわざわざ食事を中断する必要もないと言い続けて「食事にしますか?」と最初に聞くようになってくれた。

だが今日は俺を見て慌てて立ち上がる。

こっちが「あれ?また何で?」と思い食事の準備を始めるなら止めようと思ったところを先に制された。


 「ティル様!そのお怪我はどうしたのですか!?」


 「あれ?怪我してる?」


 「はい、頬に軽い切り傷と服やズボンを見る限り身体にも怪我をしてるんじゃないですか?」


 リゼが鏡を取ってくれたのでみてみると確かに切り傷があり手足を動かすとドラゴンの肌着がまくれていた場所に軽く痛みがあり袖やズボンをまくると手の甲や足首に軽い打撲の跡があった。

どうやら自分でも気付いていなかったようだ。

やばい攻撃を受けたらハイポーションをかけるつもりはあったもののそこまでの攻撃ではなかったのでそのままにしておいたからだ。


 「あ~、たいしたことないから大丈夫だよ。ポーションかけとくよ」


 「傷自体はたいしたことなくてもそういう怪我をすることが起きたということが心配です」


 「ありがとう、気をつけるね。ちょっとめんどくさいことがあっただけで大丈夫だから」


 マリンは様子をうかがうように俺を見てから口を開いた。


 「ティル様は強い人だと思います。だけどどんなに強い人でも何されても大丈夫なわけではありません。私はティル様が何をしてもティル様の味方です。もし弱音や愚痴など吐き出したくなったらお聞きしますのでいつでも言ってください」


 見てわかるほど落ち込んでいたのかもしれない。

肉体的なケガは思っていたよりあっただけで本当にたいしたことはなかった。

だけどあの元の世界でもあった世界の全てが自分の敵になるような感覚、あれと同じようなものが押し寄せてきていたのだ。

だけどそうではなかった。

少なくともこの世界には俺のことを大切に思ってくれている人がいる。

それを思い出させてくれたのだ。

思わずこぼれそうになる涙をなんとかこらえた。


 「マリンさん、ありがとう。もう本当に大丈夫だよ」


 「本当に無理しないでくださいね。ティル様には私だけでなく大勢の味方がいるんですから」


 「私も味方だよ」


 リゼも笑ってそう言ってくれる。


 「リゼもありがと。うん、くだらない昔のことをウジウジと思い返してただけみたいだ。お風呂に入って疲れを取って寝ることにするよ」


 「わかりました、本当に何でも言ってくださいね?お風呂でお背中流しましょうか?」


 「私も流してあげる!」


 「いい、いい、自分で洗えるからっ!」


 「あら、残念です。じゃあ上がったらすぐに食べられるように食事の準備しておきますね」


 「ミリアさんに怒られちゃうもんね」


 俺の顔を見て二人が笑う。

もう大丈夫と思ったのかからかってきたがお風呂から上がって出てきた夕食はクリームバードという元は鶏の魔物の唐揚げだった。

これは最近手に入れた元鶏の魔物で魔物になると動き回らずに岩陰に隠れるようになって動かなくなり見つけにくくなったがそのぶん脂肪が増えたのか肉質は濃厚になった魔物だ。

手に入れたときに食べて美味しいと言ったのを覚えてて今日作ってくれたのだろう。

リゼも横から物欲しそうに見てたのでもちろん分けて食べた。

マリンさんは作ってる最中に味見をしたそうでけっしてつまみ食いではないのだ。

こうしたやりとりに心が救われる。

お風呂に入ってお腹いっぱい食べてゆっくりと寝たらたいがいの嫌なことは忘れられるのかもしれない。


 2度目の納品はそれから2ヶ月後だった。

今回の依頼は二首パイソンの卵だ。

尻尾は1つで胴体の途中から2つに分かれその先の両方に頭があるが分かれている蛇だがどこからが首なのかはわからない。

頭はそれぞれ様々な属性を持っており火属性なら火を吐くし氷属性なら冷気を吐く。

属性は生まれたときにはまだ持っておらず後天的に発生するがだいたいが口から吐ける系の遠距離攻撃を得ることが多いのとたまに毒属性を得て普段から持っている毒を注入する牙からの毒がさらに強い毒に進化することもある。

あと何よりもサイズがでかい。

胴回りは3m、長さは20mほどが成体の平均値で属性攻撃で怯ませてから巻き付いて締め上げるという戦い方で人間なら巻き付かれたら一瞬で全身の骨が砕かれるだろう。

今回もドラゴンの生息域に入ったあたりが住処だ。

だけど今回の依頼は危険ではなかったし苦労もしなかった。

もちろん依頼があったのが産卵期だったので卵を見つけやすかったこととインビジブルモンキーの毛皮があったので見つからずに卵を手に入れられたのだ。


 二首パイソンは倒してから毒抜きをするとかなり美味しい肉になる。

血も滋養強壮に効くと言われている。

だけど以前倒してそのままマジックバッグに入っているものがあるし魔石も今のところ不足していないのでわざわざ殺すこともない。

岩の陰のジメジメした場所に隠すように生んでいた卵を10個のうち3個貰ってマジックバッグに入れた。

ポイズンスパロウのときもそうだったが追加があるかもしれないので持っていない依頼品のときは多めに取っておくことにしている。

今回も提出するのは1個だけのつもりだ。


 再び納品のために王都を訪れる。

気にしないようにするつもりではあるが貴族街に入るのはあまりいい気はしない。

だがそんなことも言ってられない、この先もたぶん来なくてはならないだろう。

なので町の中にも『転移』のできる場所を準備しておきたいという理由で家を探すために納期よりも少し早めに町に来ていた。

貴族街で家を買うのは貴族でなければ大商人ぐらいしか売ってもらえないので無理だ。

スラム街は隠れるのにはいいが町に入るのには門をくぐらないといけないので夜になると入れなくなるので却下する。

城の南側は王城の兵士たちが出兵するときに使う道があるのでその周りには少し高めのお店が出店しているが賑わいすぎているのと兵士と会う可能性は少しでも減らしたいので却下。

北側は王城や貴族が出かけるための道路でもあるのでこっちも高めのお店が出店されているがこっちも却下。

貴族とはあまり関わりたくない、塀の外のスラム街では暮らしたくない、いわゆる一般市民は貴族外の西と東に別れて住んでいる。

どちらかと言えば西側の方が商人や武器店、防具店でも雇う側の人間やギルドや市民の役場の中でも立場の上な人などの少し裕福な人々が住んでおり、雇われる側の人やその日を生きていけるほどの零細個人商人などは東側に住んでいる。


 ちなみに獣人の割合は城、貴族街はほぼ0で屋敷の中から出ることすらできない犯罪奴隷の獣人を所持している貴族がいるという噂ぐらい。

城下町の南、北、西、東、では1対1対4対4ぐらいだが南側では8割が奴隷の身分で東側でも2割は奴隷である。

ちなみにスラム街は城壁内の数を合わせたほどの獣人が住んでいるが奴隷は1割ほどだ。


 比較的お金を払えば手に入れやすいことと周りに素性を話さなくてよさそうなことなどの条件をつけて不動産屋に家を探してもらう。

住むわけではないし『転移』の魔石を隠して置いておくだけなので転移してきたところを見られない場所ならそれでいいのだ。

勧められたのは東側の町の外側、スラム街と分ける壁の前にある長屋のような部屋で1棟で5部屋あるが誰も住んでいないらしい。

壁際になるほど治安は良くなく、さらに夜はスラム街の音がうるさくて立地は最悪の部類に入る。

だが俺は夜に寝るわけでもないので騒音はどうでもいいし家賃もかなり安い。

それなら他の部屋に人が入った方が付き合いなどめんどくさくなるので1棟まとめて契約しようとしたところ他に契約者もいなさそうだし土地付きで買わないかと持ちかけられた。

土地は悪く建物は古くなって立て替えを考える時期なので建物はほぼ無料でということだ。

少し悩んだが買った方が『転移』の魔石を隠したりもしやすいので買うことにした。


 長屋は1部屋が6畳ほどの部屋が1つあるだけで床は板張り、壁は砂壁、もちろんトイレも風呂も台所もない。

なんとなくメダグリアの町のミリアの部屋を思い出す。

ここに住むつもりはないのだが空き家だと思われて入り込まれたりするのは困るので最低限の荷物は置いておくことにする。

といっても簡易な棚とテーブル、ペラペラの布団を置くぐらいだ。

泥棒に入られても盗られる物はないのが一目でわかればそれでいい。

8の数字を彫った『転移』の魔石はいつも通り大きめの石をくり抜いて中に魔石を入れたものを5部屋の真ん中の部屋の床下に隠した。

町を出てすぐに7の魔石を隠したが門を抜けないで簡単に出入りできるのでちょうどいい。


 家の売買契約書を預かって一応院長に見て貰ったのだが問題なさそうだということでそのまま契約する。

実際に古くてただ持て余している物件なのかもしれない。


 二首パイソンの納期まであと3日ある。

今回はミー姉を少し本気で探そうと思っている。

と言っても町を回って店を見回って情報を聞いて探すぐらいしかできないのだが。

前回この町に来て思ったのはさすがにこの国の王都、獣人差別がえげつない。

それもありミー姉が貴族街や北、南の高級店に店を出しているとは考えづらい。

ミー姉の母親にしてもメダグリアの町の『オーロラ』の本店なのだから獣人が多いならその辺りではないだろう。

さらに西側よりお金を持っていない者たちが集まる東側の可能性が高いのではないかとの予想だった。


 壁の外のスラム街に住んでいることもじゅうぶん考えられるのだが本店と言うぐらいならミー姉の母親はスラムよりマシな店で働いていそうなこと、それなりにいい条件で王都に行けると言っていたこと、何より少しでも嫌な思いをしていなければいいという俺の願望がここから探す理由だった。


 食堂などの飲食店はけっこうバラバラにあるが女の人を相手にできてお酒の飲めるような大人の店はだいたいひとかたまりにある。

だが飲食店は外から覗ける店も多いが大人の店は外から見えない店がほとんどだ。


 なので昼間はブラブラと歩いて食堂などを外から覗く。

たまに店に入り食事をしながらミー姉のような人がいないかと聞き込みをする。

1日で外から見たのは100軒以上、中に入って聞き込みをしたのは10軒。

もちろん全ては食べられないのでマジックバッグに入れた。


 夕方になると大人の店に向かって働きに行くような女性たちに聞き込みをする。

そういうところで働いている女性同士はそこそこお互い知っているらしいという情報を得る。

だが大人の店のかたまり2つの場所で聞き込みをしたがミー姉の母親の情報は得られなかった。

こんなことを3日間続けたが成果は0のままだった。


 ある程度の店は探したのだが教えてやるから金をよこせというやつらぐらいしか手がかりはなかった。

本当に教えてくれるのなら金を払ってもいいがどう考えても嘘っぽいのでスルーする。

何人かは襲いかかってきたので返り討ちにした。

依頼品を納品したらスラム街の方を回ることにする。


 その納品はすんなりいった。

今回はなんとティンカー侯爵が直接受け取ってくれた。

前回の受け渡し場所から少し貴族街の奥に行った場所でだ。

素材採集者のランクによって持ってくる素材のランクが違うので上位者はできるだけ素材を損なわないように素材の扱いに長けた人物に渡すことになるらしい。

前回のポイズンスパロウを生きたまま納品したことが認められたようで侯爵にやたらと褒められた。

今回の二首パイソンの卵も状態がいいと絶賛され買取額も上乗せしてくれた。

魔物を捕らえたときの動向などを知りたがり世間で言われているような悪い人物じゃない印象を受ける。

好奇心からか採取方法も知りたがったがもちろん全ては言ってないが魔物に見つからずに採取できたと話した。

次も頼むと言われて悪い気はしない。


 受け渡しが終わり家を出て少し歩くと再び王宮守護兵たちがあらわれた。

前回だけで関わりを絶ちたかったのだがそういうわけにはいかないらしい。

やり過ごそうとしたのだが引き留められ再び前回と同じ広場に連れて行かれた。

前回と同じくいちゃもんをつけられたあげくの前回とは違う4人との戦闘。


 「僕が何かしましたか?もう許してくれませんか?」


 そう言ってみてもまともな返事は返ってこない。


 「許すも何も戦い方を教えて貰ってるだけじゃないか」

「俺たち4人と同時に戦えるぐらいなんだからもっと教えてくれよ」

 「ほら、早く構えろよ。今回は木刀にしてやったから喜べよ」


 こちらの話は聞く気がなさそうだ。

仕方がないので再び模擬戦になる。

なぜかまた4人同時に相手することになるのだがたぶんこれが王宮守護兵の基本単位なのだろう。

冒険者が魔物を相手にするのなら前衛、後衛、補助、回復、などの役割分担はあるのだがそれは魔物の攻撃が炎を吐くや風をおこすなどの全体攻撃があるからだ。

1人の人間相手なら4人で前後左右から襲いかかればよほどの達人でない限り勝てない。

そして王宮守護兵は人相手の戦い方を練習している。


 これは最近知ったのだが貴族街で攻撃魔法を使うのは禁止らしいのだ。

使った時点で罪になる。

そのことも王宮守護兵たちはわかっており戦い方の基本はまず数的有利を作る。

そして交戦しているときに死角から襲う。

できるなら取り囲むのがベスト。

そんな戦い方だ。

魔法無し、圧倒的な技術の差も無し、囲まれて逃げることもできない。

この状況で勝てるわけがない。

もし勝ったとしてもさらに文句を言われそうな雰囲気だ。

ただ、取り囲んで攻撃する技術はあるが1対1の実力はそこまでたいしたことではない。

相手4人のうちの1人と最初に打ち合ったときにそう感じた。

もちろん瞬殺できるわけではなくそのうた後ろから攻撃されて押し倒されて前回と同じくリンチのようになったわけだが。


 周りを囲んでいる兵から倒れている俺に向かって声がした。


 「それぐらいじゃまた帰りに色街をうろちょろできる体力残ってるぞ!」

 「倒し方が甘いんじゃないか?」

 「そいつはさっさと終えてまた早く色街に行きたいってよ!」


 なんとなくわかってきた。

前回こいつらの相手をした後にミー姉を探しに町を歩いた。

たぶんそれを見られてあれだけ痛めつけてやったのに平気な顔をして大人の店に行っていたということだろう。

それでプライドを刺激して今日も絡んできたわけだ。

めんどくさいことになったが今日もドラゴンの肌着を着ているのでその下はほぼダメージはない。

今回は靴下と手袋、あと今日は用心のために帽子もドラゴンの素材系だ。

用心のためと言いながら手首と足首は肌着をピッタリと押さえつける補助具はつけていない、マジックバッグには入っているのでいつでもつけられるという理由で少し動きにくくなるその部分はつけていなかった。

なので動くと袖や裾が捲れてずれ上がり覆われない部分が増えてくる。

補助具をつけて攻撃を防ごうと思ったのだがこれで無傷なのがわかるとさらに攻撃を受けるのだろうか?


 どうしようもないんじゃないか?

そう思うが即死だけは避けるために顔は守る。

肌着の捲れた肘から手首にかけてと膝から足首にかけてはダメージを負う。

前回よりも執拗に倒れた後も攻撃を加えられる。

すでに戦いではない、木刀で殴られ、蹴られ、踏みつけられる。

顔は防御していたがやっと攻撃をやめた時には左足の骨が折れているのか立てなくて右手も変な風に曲がっていた。

それを見て笑いながら王宮守護兵たちは去って行った。


 「殺すなとは言われてるからな、今日はこれで許してやる。どうせポーション持ってるんだろ?また見かけたら稽古をつけてやるから楽しみにしとけよ」

 

 そう言ったのはこの王宮守護兵たちの中隊長だろう。

1番上が止める気がないのだからこれがおさまるわけはない。

あいつらが見えなくなってからハイポーションを飲む。

痛みが治まり骨もついたようだ。

すごい薬だなと改めて思う。

さっき中隊長は殺すなって言われていると言った。

ということはこの状況を知っている彼らの上の存在がいて止める気はないことがわかる。

うんざりするがこの先もまたあるのだろとの心づもりはしておかないといけない。


 隠れて見られていると不味いので王宮守護兵たちが去ったのとは反対に向かう。

反対側が王城とは逆なので出口に向かえるのは助かった。

さっさと貴族街を後にしたかったので角を曲がった時点で『転移』で城下町の転移ポイントに移動した。

本当に貴族街に良い思い出はできなさそうだ。

コングロレイト公爵への恩がなければ2度と近づかなかっただろう。


 前回よりは気持ちの落ち込みもマシだったのは良かったと言って良いのかどうかわからない。

昨日までに町の中を調べていたのはよかった、また王宮守護兵たちにウロウロしているのを見られたらめんどくさいことになるところだった。

今日からはスラム街を探すことにする。

メダグリアの寮に戻ってミリアでなくても誰かに雇い主の名前を聞くのが1番早そうな気もするが成人するまでは戻らないとの約束なので約束を守りたがるミリアのことを思うとやはり帰りづらい。

ミリアにしても『オーロラ』の店長の名前は知っていたがさらにその上の雇い主の貴族の名前まではうろ覚えだった気がするので聞いてもわからないかもしれないが。


 

 




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