第5話 冒険者ギルド
次の日、俺は昼前に冒険者ギルドの前に立っていた。
お金をほぼ持っていなかったのでまずは魔物の肉を売るつもりだったのだがそれならギルドに登録してから売った方がいいと院長に教わったのだ。
元々登録するつもりだったのでちょうどいい。
俺がギルドに登録するということで院長がいくつかの注意点を教えてくれた。
元の町でも言われていたが登録は14歳からだ。
だが予備登録として10歳から見習い冒険者として登録できる。
親のいない子供やお金が必要な子供が少しでもお金を稼げ、14になったときにスムーズに冒険者になって稼げるように、との制度らしい。
その目的自体は立派で、14歳までは見習いとして個人で依頼を受けることはできずベテラン冒険者についていって冒険者のコツなどを教えてもらうというもの。
しかし実態は賃金ももちろん少なくただの使いっ走り、荷物持ち、さらにこき使われるだけならまだましで最悪の場合魔物の囮などとして使われることもあるという。
孤児、お金のない獣人の子供などをそういう扱いにしても文句を言ってくる者もいないということでいつの間にかそんなことになったらしい。
獣人の親が文句を言ってきたら獣人が襲ってきたと逆に訴え獣人を奴隷落ちさせる。
こんなギルドに登録していいのかと思うほど胸くそ悪い話だった。
院長によれば全員がそんな人間ばかりではないらしいしやはりギルドに登録する利便性を考えると登録した方がいいとのこと。
見習いで入るのはやめて個人で活動できる自信があるのなら14歳で登録した方がいいと聞く。
年齢を調べたりする手段もないのだから言った者勝ちだ。
たまに『他人の年齢がわかる』などの特殊魔法を持っている者もいるがギルドがわざわざ年齢を調べるのに雇ったりはしない。
年齢をごまかすのは元々そのつもりでこの町まで来たのだからそれはいい。
あと1つがこの町のギルド特有の受付担当制度。
登録時担当になった受付がそのまま自分の担当になることだ。
これも建前は立派なもので受付が冒険者のことを深く知って冒険者に合った依頼を斡旋するためにできた制度だ。
だが実態は有力な冒険者を有力な受付が担当しておいしい依頼を回すということになっている。
依頼を達成してある程度以上の稼ぎになると受付に1%の報酬が払われるのでそうなった。
ここで言うおいしい依頼とは簡単なのに報酬がいい依頼、貴族の依頼、などになる。
貴族の子供を体験のために近くの森に連れて行って弱い魔物を倒すところを見せる、などの依頼は危険度もなく報酬もよく喜ばれる。
ちなみにここで貴族の子供を見習い冒険者として登録して子供に箔をつける、などということも行われているようだ。
バラッドの町の冒険者ギルドに受付嬢は6人おり、1番立場が上なのはギルド長の娘、というわかりやすい構図になっているので受付嬢同士でもめたりはしないそうだ。
その派閥がギルド長の娘プラス3人で『おいしい依頼』を独占しているという。
依頼を持ち込まれて張り出すまでに受付の手に渡るのだ、ここで先にその依頼を取れば他の冒険者の目に触れずに斡旋できるというわけだ。
冒険者ギルドと言っても実際にはこんな程度の組織のようだ。
全員ではなく一部の人間が私物化しているとのこと。
ギルド長を頂点とした派閥が牛耳切っている。
ギルド長に事務職員、受付、査定係、勢力としてはそれらの部署の8割ほどがそれに属しているそうなので大概の無茶は通るということだ。
それに対抗しているのが副ギルド長派。
副ギルド長は元冒険者Sランクの肩書きも持っており頼りになるが数の差はどうしようもなくそれでも少数派の職員をなんとか守っている人だ。
それに与するのが獣人であったりギルド長派に入りたくなかったり入れてもらえなかったりする者たち。
その中の1つで解体現場の人間は珍しく副ギルド長派が多かったのだが最近は新しい人間を解体現場に入れて副ギルド長派の解体現場の人間を追いやろうとしているところらしい。
解体現場はギルドから離れた森に近い場所にあるがすでにギルド長派の解体職人は本部に務めておりお金になる仕事や楽な仕事などは査定してそのまま本部で行われ始めている。
今までの解体現場では森から直接持ち込まれた査定しなくてもほぼ金額のわかっている魔物がほとんどだという。
解体現場の副ギルド長派は獣人も多くここでも差別されているようだ。
他には受付嬢の残り2人のうち1人は獣人、もう1人はギルド長の娘に気に入られなかった者でこれも副ギルド長派。
今回院長に聞いたのはその獣人の受付嬢のこと。
この孤児院出身で、よければ気にかけてやって欲しいということだ。
元々俺の年齢で登録しようとしてもギルド長派の受付嬢たちは嫌がるそう。
力のない者を自分の担当にして依頼を失敗されたら自分の評価にも響くからだ。
それで登録時にそう判断された者たちは副ギルド長派の受付嬢のどちらかに担当させる。
今回はそこで獣人の受付嬢を担当にしてやって欲しいということだ。
美味しい依頼にはありつけないというが貴族なんかには関わりたくないし自分の成長のためには楽な依頼ばかり受けても仕方がない。
第一ギルド長派の受付嬢が嫌がるならこちらには選択肢は2人のうちのどちらかだ。
それでも獣人の担当は嫌だと言う者も多いらしいが俺はそんなことはない。
ということでそれは快諾した。
受付嬢の名前はキャロというらしい。
お礼に何か不都合があれば副ギルド長に院長の名前を出して頼れば少しは気にかけてくれるという。
ギルドについては何もわかってないのでもし何かあればありがたく使わせてもらおう。
院長に聞いた話を思い出しながらギルドに足を踏み入れる。
あまりにも酷いならやめればいいと思うがこれが今のところ1人前になるのには1番早いだろう。
やってみるしかない。
昼前という時間にしたのは朝に新しい依頼を受けた冒険者は出かけており、さすがにまだ帰ってきている者も少ないだろうからギルドも忙しくないだろうと言う判断からだ。
実際に中には10人に満たない冒険者風の人間がいるだけで全体的にガランとしている。
受付の窓口は6つあるが受付嬢がいるのは2つ。
獣人はいないのでキャロという子はいないだろう。
誰が誰だか分からないので右側の受付嬢の前に立つ。
理由は特になくもう一つの窓口には他の冒険者がいたからだ。
肩より長い薄い水色の髪と同じ瞳の色、容姿も受付嬢になる条件と言われているだけあってきれいな方だと思う。
もっとも女性を見る目があるなどとは自分でも思っていないが。
「冒険者登録をしたいのですが」
「少々お待ちください、登録時の責任者を呼んで参ります」
俺の言葉にその受付嬢は俺の姿をチラッと見るとそう答え、席を外して2階に上がっていった。
10分ほどたち、思ったより待たされるなと思ったのは元の世界での経験かもしれない。
この世界はこれが普通だと言われるとどうしようもない、元の世界でさえ国ごとどころか地域ごとに時間感覚は違った。
そんなことを考えていると先ほどの受付嬢を従えるように金髪の目鼻立ちの整った美人が下りてきた。
「あら、まだ若いけど見込みありそうね。見習いかしら?よかったわ、今ならちょうどAランクパーティーが見習いを募集してるの。少し厳しいけど一流の仕事を見られるチャンスよ。将来のためにもあなたのような有望な新人に受けてほしいのだけどどうかしら?」
俺の前に来てそう言う、こんな美人に笑顔でそう言われたら思わずよろしくお願いしてしまいそうだ。
だけどもちろんここは断る。
「申し訳ありません。見習いではなく冒険者として登録したいのです、14歳になりましたので」
「14なの?14でも最初は見習いから始められるわよ、その方が後々の勉強になっていいと思うわ」
その言葉に少し苛立ちがまじっているのがわかる。
「いえ、ありがたいですが少しは腕に覚えもありますし冒険者でお願いします」
譲るつもりがないことが分かるようにはっきりと答えると、見習いにするのは無理と思ったのかその受付嬢の態度は一転した。
後ろに立つさっき窓口にいた受付嬢に怒鳴りつける。
「何が良さそうなガキが来ました、よ!年齢ぐらい聞いてから報告しなさい!」
怒鳴られた受付嬢はその場で頭を下げる。
「申し訳ありません!まさか14歳だとは思わなかったものでして」
「まったく!無駄な時間を!」
14歳には見えなかったのか、当たり前だろう。
だけどこれで年齢は申告制だということがわかった。
どうやら無理矢理見習いにすることはできないらしい。
「申し訳ありません、では彼はどういたしましょう?」
その言葉に再び美人の受付嬢はチラッと俺を見た。
「いらないわ、私に逆らうようなガキなんて。あなた欲しいの?」
「い、いえ、お嬢様の提案を断るような者など私も遠慮しておきます」
さっきの見込みありそうと言う言葉は何だったのだろうか。
Aランクパーティーが使い捨てにできる見習いを欲しがっていた、というところで当たっているだろう。
「じゃああっちでいいわよ、どうせすぐ死ぬでしょうしね。ああ、私に逆らったのだし獣の方にしましょうか」
「わかりました、お嬢様」
なんて見事な手の平返しだろう。
でもこのやりとりでわかったこともある。
こんな会話を登録に来た冒険者の前でしても問題にならないほどの権力をこのお嬢様と呼ばれている受付嬢は持っているということ。
ギルド長の娘に間違いないと思う。
本気で自分だけは何をしてもいいと思っている馬鹿という可能性もありそうだが・・・
その後はこっちを見ることもなく2階に戻って行ったお嬢様。
その姿を見送り最初の受付嬢が俺の担当を連れてくると今度は2階ではなく奥に行った。
「14歳ならそう言ってよ、怒られたじゃないの」
そうブツブツ言ってるが知ったこっちゃない。
奥の部屋から出てきたグレーの髪に耳がついている少女が俺の前に来た。
最初の受付嬢は戻ってこない。
「初めまして、このギルドの受付をしているキャロと申します。狼の獣人です、気に入らなければ申し訳ありません。今でしたら他の人間の受付と交代もできますがどうしますか?」
狼の獣人のようだ。
耳だけを見て何の獣人か当てられるほど動物に詳しくない。
交代できると自分から言ったのは今まで嫌な思いをしたのだろうと想像してしまう。
「いえ、大丈夫です。孤児院の院長にもキャロさんのことは聞いていますし。よろしくお願いします」
「あ、院長に・・・わかりました、どうぞこちらへ!」
院長のことを言って少し安心したのか自然な笑顔に変わった気がする。
そんなことを考えながら案内されるままにすぐ近くの小さな一室に案内された。
登録するにはそれなりの時間がかかるので窓口を塞がないようにとのこと。
二畳ぐらいの部屋に椅子と机が置いてあるだけの部屋で向かい合って座る。
キャロは申請用紙を机の上に置く。
「まずはこの登録用紙に記入をお願いします。文字が書けなければ代筆になりますが担当の私が書くことになります」
「わかりました、文字は大丈夫です」
ペンを借り登録用紙に記入する。
履歴書に似ているが、名前に年齢、住所に持っているスキル、得意なことに苦手なこと、志望動機、死んだときの遺品を渡す相手まで書く欄がある。
これを元に受付嬢が冒険者に合った依頼を探すということだ。
何も知らずに来た新人は自分を売り込むためにできるだけ空欄を埋めようとするという。
その方が得だと受付嬢も書くように促すらしい。
だが実際に死んだとしても金目の物が遺族に戻ってくることはないそうだし、住所に死体が戻ってくるのはその方が金になる遺族がいる場合だけだ。
まともに運用されればいい制度なのかもしれないが新人の頃から手の内を晒して情報を他の冒険者に知られたりしたら弱みを握られているも同然。
教えられたとおり書いたのは名前と14歳という年齢だけだ。
「はい、ではこれで登録しますね」
何も言われなかったが受付としていいのだろうか?
もっと情報を書き込ませろなどと怒られたりしないのだろうか?
心配になり少し聞いてみたが、言われてるけど今さらギルド長派に自分の評価を上げても変わらない、それなら冒険者のためになりたいから周りが見られる登録用紙に詳しく書き込む必要はないとのことだ。
冒険者側に立ってくれるということだろう。
院長の名前を出したということもあるかもしれない。
そんなキャロが申込用紙を持って一度部屋を出て行く。
再び戻ってきたときには黒字で『F』と書かれた白い名刺ほどの大きさのカードを持ってきていた。
裏面には『ティル』と書かれており俺のカードだとわかる。
そこに一滴血を垂らすと一瞬だけほのかに光り登録が完了になる。
冒険者ギルド自慢の魔法具だそうだ。
これで冒険者ギルドの中ではFランク冒険者のティルとして扱われることになる。
一応は身分証明書だが内容は自己申告なので前世の免許証のようにどこでも信用されるほどの効力はない。
だがそれでもBランク以上になると冒険者ギルドが認めた、との証にもなりそれなりの信用は得られるらしい。
もちろん今は一番下のFランク、信用どころではない。
そのことについてもキャロから説明を受ける。
初心者ランクとも言われており別種の依頼10個こなせば新人と呼ばれるEランクに昇格する。
別種とは薬草集め5回ではだめということ。
違う種類でも採取だけではダメで依頼になれるために簡単だが色々な依頼をこなさなくてはならない。
そこからは受けた依頼の数、質、達成率などを元にランクが上がる。
Eランクが駆け出し、Dランクが半人前、Cランクで一人前、Bランクで上級、Aランクで一流ということだ。
その上にもS、SS、SSSとあるがそこまでいくのは化け物と呼ばれるような人間らしい。
一応聞くと、Sは単独の強者、SSは大勢の人間を指揮する指揮官としての強者、SSSはこの世界で10人しかいない10傑と呼ばれる者になるとそのランクになる。
SSSランクはSSランクが指揮した集団を個人で殲滅するような人間らしい。
なのでSランクからSSSランクに直行することもあるという。
そう言えば院長の話にも『炎帝』とかいう人が出てきて10傑と言ってた記憶がある。
まぁそんな上のことより今は最下位ランクの俺のことだ。
駆け出しと呼ばれるEランクにはすぐに上がれそうだが俺はこの世界で生きていくのだ、そしてまともに生活をしたい。
働いて稼いでできれば横にミリアがいてくれたら最高だ。
1人前になるには目指すのはCランクか?
いや、最初から目標が低くてはいけない。
だがSランクなどほぼ見かけないレベル、Aランクは各国を渡り歩くような冒険者たち。
BランクはAランクを目指すなら他国の情報や経験を積むために各国を回るがその町に留まりこの地域では一流という者もいる。
知らない土地や知らない魔物がいるところで実力を発揮できる者は少ないのだ。
それなら俺の目標はその土地に留まったBランクにしよう。
結婚したのに家を出て帰る暇もない、などの生活はしたくない。
ここのギルドに留まるのは正解かどうか疑問が残るところだがいつか王都には向かうつもりだ。
拠点は変えてもいいだろうがまずはこの町でやっていこう。
そして冒険者登録をした目的の1つ、魔物の売却に解体、依頼で取ってきた魔物ではなくても冒険者価格で解体して買い取ってくれる。
実のところ魔物を倒すのは得意な方だと思う。
散々森の中で倒してきたからだ。
しかもマジックバッグで量も運べるとなればそれだけでも生活は成り立つと見込んでいる。
ギルドの説明を聞きながらそんなことを考えているとキャロさんが申し訳なさそうに付け加えた。
依頼の受け方の説明の時だ。
「すいません、私が担当になることによって美味しい依頼はほとんど斡旋できないと思います」
美味しい依頼とは、簡単なのに報酬のいい依頼、人によっては少しめんどくさいが安全な依頼、など。
そして貴族や大商人からの依頼もそれに当てはまる。
貴族や大商人の前で成果を上げ、護衛などに引き抜かれることを目的とする者もいるのだ。
そういう美味しい依頼は立場が上の受付嬢が持って行く。
例のギルド長の娘が1番、その取り巻きたちが次、キャロさんともうひとりの副ギルド長派の受付嬢か残りということだ。
キャロさんたちに回ってきた時点で報酬が低めの依頼、めんどくさそう、時間がかかりそうな依頼ばかりが残されている。
一応そこから担当の冒険者たちに合いそうな依頼があればキープしておき残りを表の依頼版に張るのだ。
他にも薬草採取や近辺の魔物の討伐などの恒常依頼も張ってはいる。
後は達成困難な依頼も依頼を出した者が引き下げるまでは残っている。
これはわかっていたので問題ないとキャロさんに返答する。
キャロさんは他にも色々と教えてくれる。
薬草集めや町中の迷子のペットを探す、ドブ掃除、そんな依頼だけでもEランクにはなれる。
だがそれ以上にはいけない。
薬草を1日集めても100ゼゼ、1食分の食費ほどにしかならないからそれで暮らすのは無理だ。
やはり魔物を狩るのがメインになるだろう。
例えばウサギの魔物を綺麗な状態で倒し納品すると40000ゼゼになる。
4人パーティーなら1人10000ゼゼだ、これで宿代なども含め半月は暮らせるだろう。
そして受付嬢への報酬として、ひと月10000ゼゼ以上の1%が引かれる。
10000ゼゼの報酬ならそのまま受け取れるが、30000ゼゼの報酬なら10000以上の20000から1%の200ゼゼが担当の受付嬢の報酬になるのだ。
この制度のおかげでお嬢様受付嬢たちは稼げる冒険者をひいきにするのだ。
メインがDやEランクの冒険者の担当のキャロさんとしてはそこは期待できないだろう。
制度の説明はしますが稼いだら少し取られるとだけ覚えておいてください、とのこと。
説明を終え、正式にキャロさんの担当冒険者となった。
最後にもまだ変更できますよとは言われたがあのお嬢様受付嬢の担当になんてなりたくない。
よろしくお願いします、と握手をした。
少し前まではキャロさんの担当は獣人しかいなかった、数ヶ月前に3人パーティーの人族の担当になったから俺は4人目だそうだ。
その人族のことも聞きたかったが他の冒険者の情報を漏らすわけにはいかないだろう、当たり前だ。
今日は登録だけでもいいかとも思っていたが教えてくれた魔物の解体場が孤児院の近くにあるというので寄ることにした。
森から近い方が森で狩った魔物を持って行きやすいし匂いもでるだろうから町外れにあるのは当然だろう。
だがそれすらも解体係に多い獣人を町外れに追いやろうとしている差別の一環のようだということをキャロさんの口調から読み取った。
説明が終わった後、依頼板に貼っている依頼をいくつかメモをする。
達成困難な依頼の中に手持ちの魔物の素材があることも確認するがすぐに出してめんどくさいことになるのもとりあえずは様子見だ。
その間に3人組の冒険者が入ってきてキャロさんが対応している。
キャロさんが言っていた3人の人族だろう。
依頼の帰りだろうか装備品は汚れている。
男1人と女2人、キャロさんに話しかけているリーダーっぽい男性は少女漫画の王子様役でもこなせるような金髪のイケメンだ。
後ろに控えている女性2人もタイプは違うが誰に聞いても美人だと答えるだろう。
片方は髪の色が薄い緑で長髪、もう片方は水色でショート。
イケメン1人と美女2人、まるでそこだけ違う世界に見えるから不思議だ。
キャロさんと話すイケメンは獣人相手でも普通に笑顔で話しているので皆の言う差別意識はないのだろうか。
それよりこんな3人をなぜお嬢様受付嬢が自分の担当にしなかったのかと不思議に思ってしまう、特にイケメンは。
何もわからないのでいろいろ考えてつい見てしまっていたら緑の髪の女性と目が合って逸らしてしまった。
ついそうしてしまったのは興味本位で見てたという自覚があったからだろう。
だが決していやらしい意味じゃない、キャロさんが心配だったのだ。
一応院長にもよろしくと言われているし。
だがその女性は俺が目を逸らすと向こうも気にしない感じで向こうを向いた。
あれだけの美人だ、興味本位で見られるのは慣れているのかもしれない。
それでも少し居心地の悪さを勝手に感じてギルドを出た。
本当に興味本位じゃないんだ、俺はミリア一筋だから。
自分に言い訳をするようにそのままブラブラと解体場の方に足を進めた。




