第2話 孤児院
目が覚めた。やたらと頭の中がスッキリしている。
久しぶりに熟睡したようで気分がいい。
ここのところ続いていた頭の中に靄がかかったような感覚はなくなっていた。
ミー姉にスープを作ってもらってミリアと食べよう・・・じゃない。
状況を思い出して慌てて飛び起きた。
布団に寝かせられている。
あまり物がないミリアの部屋と同じような雰囲気の部屋だった、それで勘違いしたのかもしれない。
かぶっているのはミリアの部屋だと場違いなほど柔らかい布団ではなくペラペラの敷き布団に掛け布団だったがそれも懐かしく思う。
だが飛び起きた横に座っていたのはミリアではなく見たことのない女性だった。
白を基調にしたワンピース、茶色の長い髪を後ろで束ねている。
首からかけるエプロンを着けていて獣の耳はついていない、人族だ。
年齢はミリアよりも下だろうか、出会った頃のミリアぐらいだろう、14~5ぐらい、かわいらしい顔立ちだが美人と言うよりは活発さが全面に出ている気がする。
「わっ、起きた?大丈夫?」
いきなり起き上がったので驚いたのだろう。
気を失って起きたら女の子が横にいた。
デジャブを覚えて自分を見直す。
服はボロボロだが自分で着ていた物だしマジックバッグもついている。
部屋の隅に置かれているのは持っていたリュックだ。
ティルで間違いない、再び転生というわけではなさそうだ。
「あ、すいません、大丈夫です、ここは・・・?」
覗き込むように見ている女の子に返事をする。
「ここは孤児院よ、あなたは・・・えっと、親は?ここに行けと言われた覚えとかある?」
捨てられたと思われたのだろう、慌てて首を振る。
「捨てられたとかではないです。森の中で迷っててここに出たところ美味しそうな野菜が出来ているのを見つけて、少し分けていただけないかと思って横の小屋にもたれかかったところまでは覚えているのですが・・・今考えたら図々しいですね」
今でも野菜は食べたい。
だけどもらうために待ってるなんて図々しい以外の何物でもない。
その時自分のお腹が「ぐぅ~~っ」っと鳴った。
食事を思い出したのもあるがこれだけ頭がスッキリしているのだ、かなりの間眠っていたのかもしれない。
今の時間を聞こうとしたがその前に女の子が話し出した。
「ふふっ、いいのよ、たいした物はないけどみんなと同じ野菜スープでいいなら用意しているわ。ちょっと待っててね」
そう言って部屋から出て行く。
戻ってきたときにはお盆の上に野菜スープと水が入ったコップが乗っていた。
「野菜スープ!!」
うれしさのあまり思わず叫んでしまう。
「よっぽどお腹がすいてたのね、どうぞ、まずは食べて」
「あ、でも・・・」
「いいから、話はそれからにしましょう」
「ありがとうございます!!」
その言葉に甘えることにした。
食べるとかなりの薄味だが間違いなく野菜の味がする。
もしかしたら普段食べたら美味しいと思えないかもしれない。
だけども毎日肉を焼いただけの食事を続けてきたのだ、野菜の味がするだけで美味しい。
味わうように飲み干し顔を上げる。
そこでふと気がつくとドアの外から恐る恐るというように覗き込んでいる顔があった。
見えるのは3人だが後ろにもまだいそうな感じでひそひそ声がする。
「スープ、ありがとう!美味しかったよ!」
ドアに向かって声をかける。
ドアの向こうでボソボソと話し合っているのが聞こえる。
返事をしたのはウサギの獣人の女の子だった。
「おかわり、いる?」
嫌がられているわけではなさそうだ。
正直に言ってもう少しほしい。
「いいの?あるんだったら欲しいな」
孤児院だと聞いた。
ということは食料が充分にあるわけではないだろう。
「あるよ、集めてきたの」
そう言ってすぐにおかわりが出てきた。
スープとパンの欠片をいくつか。
集めてきたというのは子供たちが分けてくれたのかもしれない。
さすがに食べにくい、そう思ってシスターの顔を見る。
「どうぞ、みんなには苦しんでいる人には優しくしましょうと教えているの。みんなの気持ちよ」
「すいません、ありがとうございます。いただきます」
善意を断るのも逆に悪い気もする。
再びスープに手をつけながら森の中で彷徨っていたことを思い出す。
途中からはただの意地、というより無謀なことをしていたと思う。
ここまでこれたことに達成感はあるがこうして落ち着くと死んでいた可能性も大きかった。
頭がはっきりしたらそこまでする必要はなかったな、と思う。
得たものは達成感の他には極度の疲労、虫さされの跡、擦り傷、切り傷、珍しい虫が数種類と魔物の肉が数種類、後は2度と森の中で野営などしないとの断固たる決意だった。
本当に、なぜギブアップしなかったのだろう?
鞄の中に入っている『転移』の魔石でいつでも『別荘』に戻れたというのに。
だが、そこで気がついた。
あんなにあった虫さされのあとや擦り傷などがなくなっている。
体のあちこちを見回しているとシスターに言われた。
「ちょっと危ないところだったのでポーションを使ったわよ。軽い傷や虫さされの跡ぐらいなら消えているはずよ」
「え?ありがとうございます」
ポーションはそれなりの値段がすると聞いている、軽いケガぐらいで使うものではない。
ましてや孤児院だ、売れば食糧も買えるだろう。
それと気になる一言が。
「あの・・・ちょっと危なかったとは?」
「自分では気づいてなかったみたいね、またあったら危ないから説明するわね。虹色の蚊を見なかった?魔物の蚊なの。それに刺されたと思うわ。刺されると意識混濁、視野狭窄、幻覚、食欲不振、判断力低下、などの症状が出るの。衰弱して死んだら刺すときに産み付けた卵が孵りその肉体を食糧として成長するわ」
びびった。
虹色の蚊には覚えがあったがまさかそんな効果があるとは。
異世界の虫をなめてた、虫というより魔虫か。
だがそう言われると判断力が鈍っていたのは自分でもわかる。
歩くこと、森を出ること、転移の魔石を使わないこと、最初に決めたことをずっと考え続けていた。
というよりはそれ以外考えられなくなっていた。
「そ、それで、今は・・・?」
「大丈夫よ、毒のようなものでちょうどその毒に対応したポーションが残っていたの。1から作ってたら危なかったかもしれないからよかったわ。毒自体はそこまで強い毒でもないしね。刺されたときに傷口を消毒して少し焼けば卵も死んでその場で対処できたのだけど知らなかったのなら仕方がないわね」
「卵はまだ体の中に?」
「寄生主が死んでから孵化するから大丈夫、ポーションをかける前に少し焼いたからそのときに死んだはずよ」
そう聞くとさっき考えていたことも腑に落ちる。
お腹がすいても肉はもういいという気持ちも弱らせるため、転移をするつもりになれなかったのも幻覚や落ち着いて考えることができなかったのもその毒のせいだろう。
もう2度とあんな感じで自分を試したり追い込んだりすることはやめよう。
無理して死んだら意味がない。
2度と森の中での野営はしない、改めて心に誓った。
目立たないように使える能力は使えばいいのだ。
そのまま少し話をすると、孤児院の子供が以前刺されたことがありそのときに対処法を知ったという。
あの蚊はレインボーモスキートというそのままの名前だというのも知った。
あと聞きたいこともある。
「すいません、ポーションというのはどれぐらいの価値なんですか?手に入れられるものなんですか?もちろん弁償します。手持ちがないのですぐに払うとはいえないですけど近いうちに必ず」
手持ちの魔物を売ったらある程度の金額はどうにかなる。
冒険者登録をしたら以前のように闇商人に安値で売らなくてもいいだろう。
「ポーションは・・・」
言いにくそうにしているのは言いたくないのかよほど高いのか。
「あ、言いたくないことは言わなくてもいいです。金額だけ言ってもらえるならお支払いします」
「そういうわけじゃないんだけどね、まぁいっか、悪い子じゃなさそうだし」
そう言って他では言わないでとの前置きで小声で話し始めた。
「あのポーションは自作なの。作るのに魔石がいるのよ、使い切りで。だから簡単に作れないしポーションが作れる人も珍しいからあまりばれたくないの。内緒にしといてね」
内緒と言いつつ会ったばかりの俺に話していいのだろうか?
もちろん言いふらすつもりはないが。
ポーションというのは、魔石を聖の属性にして綺麗な水に入れておくと魔石が溶けてポーションになるそうだ。
聖の属性なら誰でもできるわけではなく、聖の属性の中の『ポーション作成』という特殊魔法がいるので貴重らしい。
この特殊魔法を持っているのがわかると教会本部に呼び出されポーションを作る仕事に就かされる。
それが嫌で内緒にしているようだ。
「孤児院って教会は関係ないの?」
こういう施設は教会関係が経営してたりするのじゃないかと思ったのだ。
「関係はあるんだけどね、上の人に任せたら獣人の子供たちを差別したりするからなるべく関わってほしくないの。ここは院長が結構な権力というか発言権を持ってて上の人に文句を言わせないって感じかな」
教会でも獣人差別だそうだ。
国と大きく関わっているのだから当然といえば当然か。
ここの院長は獣人も受け入れてその分教会の上の人に睨まれているらしい。
それでも特殊なスキルを持っているので無理に追い出されたりはしないそうだ。
そしてこのシスターの名前はオリビア。
ここの施設出身で14になったからここでは大人の扱いで世話をする側にまわったという。
院長が呼び出されることも多いので人手がいったのとオリビアの希望でもあったそうだ。
これでオリビアまで貴重なスキルを使えるということになったらここにいられなくなる。
そして何より獣人差別をする教会が嫌いだそうで絶対に知られたくないらしい。
だけど院長の手伝いと今の子供たちのことが心配で一般的なシスターとして院長に雇われたそうだ。
もちろん本人は獣人と一緒に育ってきて差別する気持ちもない。
「あなたは?獣人のことどう思ってる?」
ここでこの質問に否定では答えられそうにないが元々俺も差別が嫌いなので正直に答える。
「獣人は好きですよ。俺もここに来る前は獣人と一緒に住んでたし仲良かったですよ」
「よろしい、まぁだいたいわかってたけどね。差別する人はおかわりの時に嫌な顔するだろうからね」
獣人に食料を分けてもらってお礼を言ったことで警戒は解けたらしい。
「それでですけど、ポーションを作るのってオリビアさんには負担はないんですか?」
「普通にしゃべってくれていいわよ。私もその方が気楽だし。ポーションにするのは普通に魔法を使うぐらいの感じだからよほど大量にまとめて作らない限り負担はないわよ。あの低級のポーションでも魔石が1つ無くなるからそっちの方が問題ね」
せっかくなので普通に話させてもらう。
「それじゃあ魔石を渡せばポーションを作ってもらえるのかな?もちろんお礼はするから」
「条件があるわ。ポーションを私が作ったのは言わないこととあまり周りに見せないこと。それと魔石を手に入れるのに危険なことはしないことね。」
1つ目はさっきも言われたことだ、見せびらかしたらどこで手に入れたポーションか、などの詮索をされたりすることもあるのでそれを避けるためだという。
2つ目はこっちのことを考えてくれてだろう、お礼も危険をおかしてまではいらないと言ってくれる。
「あ、今も魔石は持ってるので。一応冒険者になるつもりでここに来たから魔物ぐらいは倒せないと」
マジックバッグから魔石を10個ほど取り出す。
「え・・・こんなに?」
驚いてこっちを見る。
小さな魔石で作ったというので小さめを選んだのだが。
イノシシの魔物程度のものだ。
「多かったらやっぱり魔力がきついかな?」
「違うわよ、魔石を複数所持するなんて冒険者でもBランク以上って聞いてるから驚いただけ。そんなに強いと思ってなかったの、ごめんね」
そういえばイノシシの魔物を一人で倒してで1人前だったか、複数人で倒せば自分の元に魔石は少ないということか。
さらに魔石の使い勝手の良さからすぐに使いがちで手に入れたまま予備で持てるのは強さに余裕がある冒険者だということになる。
「見かけで頼りないと思われるのはなれてるから大丈夫だよ。それで10個のポーションができるのかな?」
「うん、実は本当は捨てられたんじゃないかなって思ってたわ。さっきのレベルのポーションなら魔石1つでビン10個ほどできるから100個ほどできるけど・・・こんなにあるならランクが上のポーションも作ろうか?あとできれば私は作れるけど魔石を簡単に手に入れられるわけじゃないの、だから手持ちのポーションが少なくて少し分けてもらえるかな?」
魔石1つで1ビンだと思ってたらそうでもないようだ。
できたのを10ビンに分けるのだろう。
俺のためにその貴重なポーションを使ってもらったのだから渡すのは当然OKだ。
元々オリビアが作れるのはその上級のハイポーションだそうでこちらはさらに貴重らしい。
出所不明のハイポーションが見つかれば作成者を捜し回るほど。
それでオリビアは10倍に希釈して普通のポーションとして使っているそうだ。
ハイポーションは魔石1つで1ビンしかできないらしいが効果は凄く、身体を切断されてもつなぎ合わせることができるほどだし傷ならほぼ治せる、さらに体力も回復し軽い毒ぐらいなら消せるそうだ。
さっきみたいなレインボーモスキートなどの個別の状態異常はさらに別の作り方があるので別物のようで肉体の欠損や強力な毒、呪いなどには効かない。
エリクサーという四肢欠損すら治し治癒不可と言われている石化などにも効きあらゆる状態異常も無効化する伝説のポーションもあるという噂だが作ろうとしている人はいても成功したというのは聞いたことがないということだ。
無いものを求めても仕方がないし子供たちのために軽い効果のポーションもあった方がいいので両方作ってもらう。
40個の低級ポーションと6個の上級ポーションを作ってもらい、半分の20個の低級ポーションと3個の上級ポーションをもらうことにした。
そんなにもらえないと遠慮していたが俺もあまりに多く持っていても使いどころもないだろう。
寮に帰れるならみんなが使えるようにしておきたいが当分帰らないと言ってしまったので知り合いすらいないのにそんなにいらない。
お礼には多すぎるというので、今後必要になったら魔石を持ってくればさらに作ってくれるという約束をしてくれた。
「あ、魔石ってまだあるの?私からは言えないししてもらえるかもわからないけど院長がティルを気に入ったら魔石があった方がいいかもしれないよ」
ようするに院長の魔法も魔石を使うのだろう、教会の上層部にも発言権のあるぐらいの特殊魔法だ、よほどのものだろう。
だけど自分が気に入られるかはわからないしそのためにセコセコするのも自分に恥ずかしい。
「教えてくれてありがとう、でも何かわからないしあまり気にしないことにするよ」
「私はティルを気に入ったからいいのに、でも院長も獣人差別しないだけで最初の評価は高いだろうけどね。あ、じゃあポーションの元となった魔石はここに寄付ってことで貰っておくね」
寄付で少しでも好印象をということだろうか?
そこまで言われると気になってくる。
が、そんな考えを巡らす暇も無く子供がわらわらと入ってきた。
「ねえ、美味しかった?」
そう聞いてきたのは人族の女の子、名前はミシルというらしい。
黒髪のおかっぱで活発そうな女の子だ。
横にも人族の男の子がいる。
獣人の子供たちと1人の人族の女の子は少し後ろ、様子を見ているのだろうか。
「美味しかったよ、ありがとう、みんな」
全員に向かって言う。
獣人の子供の警戒心も解きたい。
「なぁ、兄ちゃんはなんて名前なんだ?こんなにいっぱい魔石持ってるってすげえ強ええのか?なのに何で食べるものもなかったんだ?」
横の男の子か質問してくる。
「あぁ、ごめんね。俺はティル、魔石は魔物を倒したからだよ、それなりに強いとは思うけどまだまだかな。よろしくね」
「俺はルゼル、よろしくな」
他の子供にも名前を聞く、全員で8人、せっかく教えて貰ったのだから全員覚えたいが少し怪しい。
獣人というだけで嫌な顔はしないとわかって貰えただけでまずは胸をなで下ろす。
「なぁ、ティル、こんなに魔石あるならいっぱい魔物狩ったんだろその肉はどうしたんだ?置いてきたのか?」
「こらっ、ルゼル、失礼よ!」
オリビアがそう言ってたしなめる。
だが普通に話してと言ったのもオリビアだ、俺もその方がいい。
「いいよ、ティルで、みんなも。肉はあったんだけどね、ずっと肉ばっかりで野菜が食べたいと思ってて。そのときに蚊に刺されたみたいで肉は食べたくないって思い込んでたみたいなんだよね・・・実際に飽きてたんだけどね」
嘘をつく必要も無いので正直に言う。
「あ、レインボーモスキート!?私も刺されたことある」
そういえば子供が刺されたと言ってたな。
特殊な状態異常はその対応した魔物ごとのポーションを作らないといけないそうなのでそのときのが余っていたのだろう、そのおかげで俺が助かったとも言える。
言ったのはさっき見たウサギの獣人のライムという女の子だ。
5歳ぐらいだろうか、まん丸な目がかわいい。
「でもお姉ちゃん、この人怪しいんじゃない?肉か飽きるなんてあり得ないと思うよ、嘘なんじゃない?」
そう言ったのはパンダの獣人のルーク、俺とほぼ変わらないこの中で1番年長のようだ、体は俺より大きいか顔はまだ子供っぽさがありベイルを思い出す。
お姉ちゃんというのはオリビアのことだろう。
確かにあんなに空腹なのに食べたくなくなっていた。
無理矢理食べてはいたが美味しいと思えなかったのだ。
お腹か空いて死にそうなのに肉はあるけど食べない、怪しいと言われても仕方がない。
「自分でもわかんなくなるんだよ、私が刺されたときは逆になんでも食べたいとしか考えられなくなったもん」
さっきのライムかかばってくれる。
「嘘だ~、あのときライムは熱出して寝てたじゃないか」
マーフィーという猿の獣人の男の子だ。
ライムと同じぐらいの年、細身だがすばしっこそうだ。
「そうだけど、頭の中と体が別になった感じで・・・」
せっかく庇ってくれたがうまく説明できないようだ。
マジックバッグの中には肉は入っている。
マジックバッグのことをバラして出していいのか少し迷うがせっかく庇ってくれたのだし、さっきの食事のお礼に肉を出してもいいだろう。
あのスープの美味しさのお礼だ。
「肉、食べるか?」
「え~?今から狩りに行くの?」
ルゼルが聞いてきた。
「そのまま帰ってこないんじゃないのか?」
ルークにも言われる。
疑っているよりは半分からかっている感じだ。
嘘ついたから逃げるんじゃないのか、と言ったところだろうか。
「大丈夫、シスターのポーションと同じで内緒にしておいて欲しいんだけど・・・」
そう言ってマジックバッグから塊の肉を取り出した。
「「「「ええっ!!!」」」」
驚いた声か上がる中にはオリビアの声もあった。
「マジックバッグ、持ってたんだ」
「うん、内緒のつもりだったけどオリビアもポーションのこと教えてくれたしね、さっきの食事のお礼もしたいし」
「さっきの魔石でもうじゅうぶんだけど・・・」
「あれは孤児院への寄付だろ、これはみんなか分けてくれた食事のお礼にだよ」
だが、前のルゼルが少し遠慮がちだ。
「あの・・・それ、みんなの分もあるのか?」
「私たちだけ、とか?」
「なんで?まだあるし全員がお腹いっぱいになるぐらいはじゅうぶんだと思うよ」
「獣人・・・でも?」
先ほどと違いルークがおずおずと言う。
寄付するけど獣人には分けないでくれ、そんなことを言われることもあるという。
それは下手したら寄付しないよりも酷い、そうやって差別されてきたのだろう。
本当にこの国の獣人差別はクソだ。
「当たり前だろ、みんな仲間だろ?」
「うんっ!!」
「疑ってごめんよ、ティル兄ちゃん」
「やった!!お肉だ!!」
口々に喜んでくれる。
「いいの?魔物の肉ならそれなりの値段で売れるのに」
「いいよ、今さら無しなんて言えないし。寄付ってことでオリビアも食べてよ」
子供たちの喜びようを見て今さらやめられないのは納得したようだ。
「甘えるわ、ありがとう」
素直に受け取ってくれた。
孤児院の庭はそれなりに広い。
そこでバーベキューをすることになった。




