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迷探偵  作者: 如月いさみ
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エピソード3

 翌日の新聞で東京の品川近くのラブホテルの一室で爆発事件が起きたとニュースが流れていた。

 その部屋から男性の遺体が見つかったと東都テレビの朝番組モーニング東都でニュースキャスターが告げていた。

 

 中島皆実は制服を着てパンを食べながらそれを見ると一瞬口の動きを止めた。

 

 足元から冷気が立ち上る。

 だが。

 だが。

 まだ警察は来ていない。

 

 彼女は既に朝食を終えてパートへ出ようとしている母親を見ると

「おかあさん、いってらっしゃい」

 と微笑んで告げた。

 

 母親は笑むと

「皆実、行ってくるわ」

 と告げた。

 

 中島皆実は手を振って見送り、ご飯を終えて食器を洗うと、兄と父親の遺影の前に立つと両手を合わせた。

「ごめんね……ううん……行ってきます」

 

 もし警察が来たら自分は捕まるだろう。

 中島皆実は息を吐きだすと学生カバンを手に家を出てマンションを出た。

 

 そこに一人の男性が姿を見せた。

「中島皆実さん、ですね」

 

 彼女は目を見開き身体を硬直させた。

 心の準備をしていたのに、やはり、どこか後悔も沸き立つ。

 

 じっと立っている彼女に

「ご一緒してくれますね」

 と言い静かに歩き出した中島皆実を路上に停まっている車へと案内した。

 

 そして、車の中で『参内満男』と書かれた警察手帳を見せると

「昨日のことをお聞きしたいので署までご同行お願いします」

 と告げた。

 

 中島皆実は小さく頷いた。

 恐らく彼なりの気遣いなのだろうことが分かった。

 

 走り出した車の中で彼女はギュっとカバンを抱きしめていた。

 

 警視庁の中に取調室がある。

 窓が一つ、机が二つだけの部屋。

 全体的にうっすらと暗い。

 

 そこに足を踏み入れ彼女は唇を噛み締めた。

 心の何処かで覚悟していた。

 

 でも。

 でも。

 あの人、兄を殺しておきながらどうして捕まえなかったの? 

 

 彼女は心の中でそう呟きながら己を鼓舞していた。

 そして、窓側の奥の席を参内満男に勧められて中島皆実はカバンを下に置いて座った。

 

 参内満男は何処か冷静な彼女を見ながら正面に座り

「どうして警視庁へ来てもらったか……わかっているように見えますが?」

 と告げた。

 

 中島皆実は小さく頷いた。

「私が戸上雄三を殺しました。爆弾を仕掛けたのも私です」

 

 参内満男は冷静に聞いていた。

 それは提出された防犯カメラで直ぐに判断できた。

 

 彼女が戸上雄三を殺し爆弾を仕掛けた犯人だと警察内ではほぼ決定している。

 

 戸上雄三と共に部屋へ続く廊下を二人で歩き、15分ほどして彼女だけ歩いて出口へ向かっていくのが映っていたからである。

 その後、時間は長かったが暫くして部屋が爆発したのである。

 

 しかも彼女の兄は3年前に戸上雄三から300万円の金を借りていた麻雀仲間の高山誠二が彼の冗談を真に受けて文京駅の近くにある複合施設のトイレに仕掛けた爆弾の爆発に巻き込まれて死んでいる。

 

 戸上雄三は事件に関してはかなり反省して謝罪し

「ただ麻雀の席で酔った勢いで『まあ、そんな真似するくらいの度胸があったらチャラにしてやる』と言ったけど『冗談だからな』とは言いました」

 と言い

「あいつが本当にするとは思わなかったんです」

 と告げたのだ。

 

 そのやり取りは雀荘の人々も聞いており、皆で騒いでいたという証言もあったので罪とまでは問われなかったのである。

 

 結局、その後にビルから投身自殺しているのが見つかった高山誠二が被疑者死亡のまま送検されたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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