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迷探偵  作者: 如月いさみ
36/39

本編 宝石

 白羽根圭一は後部座席のカバンや後ろのトランクを開けて

「色々入っているね」

 着替えに会社のパンフレットに

「今夜、バーベキューするつもりだったみたいだね」

 と告げた。

「紙皿に焼肉のたれもある」


 米倉隆二は頷いて

「ああ、冷蔵庫には野菜と肉が入っていたらしい」

 と言うと

「ロッジの方を見てみるか?」

 と聞いた。


 白羽根圭一は頷いて

「そうだね」

 と答え、車からロッジへと向かった。


 扉を開き中に入りかけてすぐ手前に置かれていた小さなテーブルにつんのめって倒れかけた。

「あわっ!」

 

 それに中で指紋などを採取していた鑑識班の面々が苦笑して、同じように中を見て回っていた警視庁刑事部捜査一課第一係の参内満男が

「おい! 現場を荒らすなよ!」

 と声を投げた。


 白羽根圭一はそれにテーブルを避けながら

「えー、でもこれは絶対に一度はぶつかると思うけどー」

 とぼやき、中に入って目を見開いた。


 中では2人の女性が倒れており、1人は細身の髪の長い女性で、1人は髪の短いやや派手な女性であった。


 米倉隆二は彼女たちの元へ足を向けて両手を合わせ

「こっちが」

 と手前側に倒れていた髪の短い女性を指さした。

 が、それに白羽根圭一は

「彼女が塩沼由子……だよね」

 と言い隣に倒れている女性を見て

「それで彼女が福山美鈴」

 と告げた。


 それに米倉隆二は彼女たちの状態を見ながら

「知り合いか?」

 塩沼由子と

 と告げた。


 参内満男を駆け寄り

「え? 知り合いなのか?」

 と聞いた。


 白羽根圭一は腕を組むと

「この前にちょっと見ただけの人」

 ほら鬼怒川で友達と事件に巻き込まれたことがあっただろ?

「その時に桑田さんって人を塩沼由子が心配して迎えに来てた」

 と告げた。

「その時に見ただけ」


 参内満男は肩を竦めて

「それだけか」

 とぼやいた。

「まあ、今回は川口亜美が2人を殺して自殺しか考えられないけどな」


 白羽根圭一は屈んで遺体に両手を合わせてそれぞれの傷口を見て、戸口や冷蔵庫やシンクを見ながら

「えー、またまた~」

 と言うと

「犯人は福山美鈴さんでしょ!」

 と倒れている彼女を指した。


 ……。

 ……。

 鑑識班も他の刑事も誰もがバッと白羽根圭一を見た。


「いやいやいや、お前の方がまたまたまた~、だろ!」と参内満男は心で突っ込むと息を吐きだして

「その意味不明な言動で現場を混乱させるな」

 鑑識は続けてください

 と告げた。

「例えば凶器である包丁がこのロッジに落ちていれば犯人である可能性はある」

 だが凶器は川口亜美の手元にあった

「3人以外に誰かが訪れた様子はない」

 川口亜美以外に考えられない


 白羽根圭一は冷蔵庫の中などを見ながら

「ノブの指紋取ったんでしょ?」

 と鑑識を見て

「あ、本当にこれはバーベキューだ」

 と呟いた。


 鑑識班の一人は敬礼すると

「はい、内側からは福山美鈴の指紋が外はついていませんでした」

 と告げた。


 白羽根圭一は頷くと

「だったら、福山美鈴が2人を殺して自殺しただろ」

 とビシッと告げた。


 参内満男は眉間に指をあてると

「指紋は確かに一理あるが」

 川口亜美が手袋かハンカチで内側に指紋を付かないようにして2人を殺し外側は昨日の雨でノブが濡れているから指紋が取れなかった

「だが凶器の移動だけはどうやっても福山美鈴には無理だろう」

 と「どやぁつ!」と返した。

 が、白羽根圭一は彼の言葉を右から左にしながら福山美鈴の服から携帯を手にして通知を見ながら

「……でも本当に誰も来なかったのかな?」

 と告げた。

「例えば来たとしてもそれこそ雨で外の痕跡は消えると思うけど」


 参内満男はそれに

「それも考えたが中に入った痕跡がない」

 内側のノブにも今鑑識が言ったみたいに福山美鈴以外の指紋が出ていない

「つまり第三者の痕跡が全くないんだ」

 と言い、息を吐きだすと

「取り合えず事件前後に近隣に山道の出入り口付近のコンビニの防犯カメラは確かめるがな」

 と告げた。


 白羽根圭一は携帯を参内満男に

「はい」

 と渡すと、米倉隆二を見て

「じゃあ、塩沼由子の家に行ってくる」

 と足を進めた。


 参内満男は携帯を受け取りながら息を吐きだして

「あー、そうしてくれ」

 現場の初動捜査が混乱しなくて済む

 と言い

「ったく、後で報告お願いします」

 と付け加えた。


 それに白羽根圭一がニッと笑むと

「仕方ないですねー、名探偵がちゃんと証拠を見つけてきますよー」

 と告げた。


 参内満男は目を細めると

「いや、迷探偵のお前じゃなくて米倉刑事に言ったんだ!」

 とシッシッと手を振って告げた。


 白羽根圭一はクスッと笑うと

「もー、俺のこと褒めながら邪険にするってむじゅーん」

 と告げた。


 参内満男はそれに

「褒めてねぇーからな!」

 と「はよいけ!」と追い出した。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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