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迷探偵  作者: 如月いさみ
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エピソード5

浜口泰三という男は一代で巨額の資産を築いた。


彼の実家自体は小さな仕出し屋であった。

それを宅配弁当に進出して成功したのである。


 年配の夫婦や一人暮らしの若者を相手に顧客や寮や宿舎などへと範囲を広げていったのである。


 毎日流れる軽快な音楽で流れる『はっまっぐっち~ラララ』というCMソングを聞いていないものは関東ではモグリだろう。


 その浜口泰三が享年85歳で亡くなり、残された遺産分配が行われた。

 浜口泰三の子供は3人。

 長男の浜口大翔、53歳。

 長女の中川妙子、49歳。

 次女の村岡君子、45歳。

 であった。


 全員30歳以降の子供だが、彼がそもそも結婚したのが30歳だったのでそれほど不思議ではなかった。


 遺産分配はそれほど揉めることがなく終わった。

 が、しかし。

 浜口大翔がテーブルの上に拳サイズのダイヤモンドを入れたケースを置いた。


 彼に雇われて訪れていた天童崇はそれを見ると

「これが予告状に書かれていたダイヤモンドですね」

 とカードを手に呟いた。


『浜口家の秘宝南十字星の雫を本日貰い受けに参ります』

この一行だけであった。


 浜口家の別荘の広々とした吹き抜けのエントランスのソファに座り、彼は他にもダイヤモンドを見ている人々を見回した。


 浜口大翔の妹たち岡妙子と中川君子。

 浜口大翔の妻である和江もいる。


 彼ら4人以外にも村岡君子の息子で20歳を迎えたばかりの翔一と彼の後輩で『自称名探偵』という白羽根圭一、中川妙子の夫である中川貢と彼の雇ったこれまた『探偵事務所の探偵』という三田良子が座っていた。


 天童崇はふぅと息を吐きだし雇い主である浜口大翔を見た。

 探偵の考えからすれば人が増せば増すだけ危険度が上がるので人数は最小限が良いのだ。

 が、このダイヤモンドは遺産分配に入っておらずその話し合いも兼ねて彼らが押し掛けてきたのである。


 いうなれば、全員動機がある怪しい人間の集まりということである。


 天童崇はこのダイヤモンドを守るという役割だけで、ダイヤモンドをどうするかは正に親族で話し合うしかない。


 彼は息を吐きだすと

「言うしかないか」

 と呟き、唇を開きかけた。

 

 その時、ダイヤモンドを見ていた『自称名探偵』の白羽根圭一が

「あ、少し見せていただいてもいいですか~?」

 と指先を伸ばした。


 こういうのが一番危ない。


 天童崇は咳払いをすると

「君」

 と声をかけた。


 そういう行動が一番怪しい……と言いかけたが、隣に座っていた浜口大翔が慌てて

「まさか君が予告状の主か!?」

 と白羽根圭一の手を止めた。


 白羽根圭一は「えー、そうじゃないんだけどー」とぼやき

「まあ、良いか」

 と呟いた。


 天童崇は息を吐きだすと

「予告状の件があるので皆さんは帰っていただけますでしょうか?」

 明日にでももう一度集まってどうするかを話し合われた方が良いと思います

「盗られてしまっては元も子もありませんから」

 と告げた。


 白羽根圭一は立ち上がると

「確かに正論」

 と答え

「じゃあ、俺、帰ろうかなぁ」

 と告げた。

「村岡君、このままいたら万一ダイヤモンドが無くなったら犯人にされちゃうから帰った方が良いよ」

 後の警備はこの普通の探偵さんに頼む方が良いよ


 村岡翔一は白羽根圭一を見ると

「……わかった」

 と言い

「母さん、心配してきたけど今は無事だし帰ろう」

 また明日くればいいと思うけど

 と告げた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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