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迷探偵  作者: 如月いさみ
14/39

本編 暗号

 同じ時、鎌田義昭の部屋を見て回っていた白羽根圭一は米倉隆二に暗号の書かれた紙と鎌田義昭の日記を並べると

「この暗号の紙を書いた人は別人」

 と告げた。

 

 米倉隆二は文字を見比べて

「確かにそうだな」

 と頷いた。

「だが鎌田義昭はこの紙とこの警棒を用意していた。恐らく用事を済ませた後にこれを持って何かしようとしていたと考えるのが普通だな。お前が言っていた警棒が凶器だったら……警察へ出頭する」

 

 白羽根圭一は頷くと

「多分ね」

 と答え少し考えると

「それこそ爆破前の写真とかだったら自分はこの状態の時に入りました的な証拠にはなるので凶器の警棒と一緒に持っていくのは理解できるけど……まして本人が作ったわけじゃない暗号の紙か」

 と呟いた。

「一応、その前に入った中島皆実が取り調べの時に暗号の紙を見たとか見てないとか聞いてみて」

 

 米倉隆二は頷くと

「了解」

 と答え、不意に

「それで暗号は解けたのか?」

 と聞いた。

 

 それに白羽根圭一は頷いた。

「ああ、意味は分からないけど簡単だったよ」

 

 米倉隆二は目を細めると

「……いや、俺は分からなかったけどな」

 と突っ込みつつ、参内満男に再び電話を入れた。

 

 参内満男は他の面々に周囲の聞き込みに当たらせつつ、自身も近隣の店で聞き込みをしていた。

 

 スパゲティ屋であった。

 ニンニクの匂いが立ち込め、パラパラとだが人が席についてスパゲティを食べていた。

 

 店員から話を聞くと店は9時頃からなので少し前に開けたばかりで死亡推定時刻の午前6時頃はシェフが下準備をしている状態で外を気にする余裕はなかったという話であった。

 

 参内満男はメモを取りながら

「なるほど、店に来る途中で誰かを見たということもありませんか?」

 と聞いた。

 

 それにシェフは軽く肩を竦めて

「いや、残念ながら」

 と答えた。

 

 1人の男性がレジに来ると注文票を出した。

 

 参内満男は少し譲って不意に震えた携帯を手にした。

 相手は米倉隆二であった。

 

 参内満男は耳に当てると

「はい、何かありましたか?」

 と聞いた。

 

 それに米倉隆二は

「中島皆実が取り調べの時に戸上雄三が紙を持っていたとかそういうことは言っていなかったか?」

 と聞いた。

「暗号のようなものだ」

 

 参内満男は目を見開くと

「暗号の紙? あ、ああ。彼女自身が兄の作った暗号を置いていったといっていました。もしかして見つけられたんですか?」

 と告げ、レジを済ませた男性が顔を向けたので会釈して扉への道を開けた。

 

 米倉隆二は頷いて白羽根圭一から紙を受け取りながら

「鎌田義昭の部屋から出てきた」

 と告げた。

 そして、ちょうど到着した鑑識を見ると警棒を顎で示した。

「……ルミノール反応を見てくれ」

 

 参内満男は「はい?」と聞き返した。

 米倉隆二は視線を携帯に戻すと

「ああ、今警棒のルミノール反応を見てもらっている」

 と言い

「これで反応が出れば戸上雄三を殺したのは鎌田義昭の可能性が高くなる。鎌田義昭はラブホテルの管理人で防犯カメラの設置場所も詳しい。恐らく死角もよくわかっていたんだろう」

 と告げた。

 

 参内満男は息を吐きだすと店の外へ出て

「その上で中島皆実が言っていた紙を持っていたとすれば爆破前に戸上雄三と接触して殺して爆弾で死んだように見せかけたということですか」

 と告げた。

 

 米倉隆二は頷いて

「だろうな。それに爆弾の周囲にあった布片からガソリンかオイルなど可燃性の物質が出るかも調べた方がいい。爆弾を故意に爆発させた可能性があるからな」

 と告げた。

 

 参内満男は目を見開くと

「わかりました、鑑識からその辺りも聞いてみます」

 と言い

「しかし、鎌田義昭がホシとしたらそのホシを誰が殺したか……ですね」

 と告げた。

 

 米倉隆二は頷いて

「そうだな」

 と言い、ちらりと白羽根圭一を見た。

 

 白羽根圭一は暗号の紙を持ったまま鑑識が警棒のルミノール反応を調べているのを眺めている状態であった。

 

 米倉隆二は参内満男に

「とりあえず、何か分かったらまた連絡する。そっちは周辺の聞き込みを頼む」

 と告げた。

 

 参内満男は「わかりました」と答えて携帯を切った。

 

 米倉隆二は白羽根圭一を見ると

「その暗号はどうやら中島皆実の兄が作ったものらしい」

 と告げた。

 白羽根圭一はそれを聞くと

「じゃあ、中島皆実と彼女の家族に会いに行こう。恐らく鎌田義昭が殺されたのはこの暗号から何かを知ったからだと思う」

 と告げた。

「3年前に起きた爆破事件……鎌田義昭がただ復讐を遂げただけなら殺される理由はない。だが彼は殺されたんだ。その彼がこの紙を警察へ持って行こうとしていた。3年前に爆破事件に巻き込まれた中島皆実の兄である中島翔二が作った暗号を……きっと第三の存在を示すものだったんだ」

 

 米倉隆二は鑑識と警備についている警察官に

「この部屋に関しては家族であっても絶対に入れないように、いやもし入ろうとするものがいたら連絡をしてくれ」

 と告げた。

 

 それに警察官は敬礼をして

「わかりました」

 と答えた。

 

 白羽根圭一と米倉隆二は駐車場に止めていた車に乗ると中島家へと向かった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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