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アフターストーリーのその先へ  作者: 四反田三助
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06話 宿場町ターキ

 トーマス商会は3台の馬車で行商をおこなっており、ジンは初の馬車を満喫中だ。

 

 アレンが先頭の馬車で護衛を兼ねて御者をし、その隣にジンは座っていた。

 マリーはクウのいる2台目に乗り、ビックとウッジは仲間の遺体が運ばれた3台目で護衛をしている。


「なぁジン、トーマスさんに答えてなかったけど、金は持っているのか?」

「それがさ、記憶もだけど、金もないんだよ。」


 冗談交じりに答えるとアレンは笑う。


 アレンとは、かなり打ち解け、敬語で話すのはやめていた。

 ジンのほうが年上だっていうのもある。


 アレンは、面倒見が良く親切にしてくれる。

 馬車が出発する前にも、ジンについた返り血を洗い流してくれた。


 その時にアレンは小さな水差しからを水を出していた。

 アレンが持っていた水差しは、コップ一杯分ほどの小型の物なのだが、その水差からはサイズ以上の水が出てていた。


「さっきの水差しって何かの便利グッズなの?」

「さっきの水差し? ってまさか出水魔具(ウォーターポット)のことか。」


 ジンは出水魔具(ウォーターポット)が気になり、アレンの驚きをスルーする。


「ウォーターポット? なにそれ、ちょっと見せてよ。」

「なにそれって・・・水を出す魔導具だよ。」


 アレンはそう言いながら出水魔具(ウォーターポット)をジンに渡す。


「確かに持ち運びサイズは珍しいけど出水魔具(ウォーターポット)がわからないなんて・・・。」


 食い入るように出水魔具(ウォーターポット)を見るジンにアレンは心配する。


 ジンは出水魔具(ウォーターポット)を観察するが、なんの変哲もないシルバー制の小さい水差しで中は空っぽだ。


「これさ、どうやって水を出すの?」

「どうって、魔力を込めるんだよ。」


 ジンは少し考え、魔法を使うイメージで念じる。


「おう! 出た。」


 水差しから水が出る。

 感動して、何度も水を出しては外に捨てるを繰り返す。


「さすが魔法を使えるジンは底なしだな。」

「魔法? なんか関係あるの?」

「ああ、そこに小さい石が付いているだろ。」


 ジンは出水魔具(ウォーターポット)の側面を見る。


「これ?」

「そうだ、それはな魔石って言って、それに魔力を込めると水が出るんだ。まぁ魔法が使えない(普通の人)ならその出水魔具(ウォーターポット)で4〜6杯出すのが限界で疲れてしまうんだ。」


 ジンは既にバケツ一杯分の水を出していたが平気な顔している。


「俺も欲しいなコレ。」

「ジンには収納鞄(それ)があるから必要いないさ。」


収納鞄(これ)? アレンも持ってじゃん」

出水魔具(それ)収納鞄(これ)を手に入れる前の物だよ。」


 アレンは他にも火を起こすライターのような魔道具を見せてきた。

 ジンは自分もいつか手に入れてやるとおもい出水魔具(ウォーターポット)を返す。

 アレンは出水魔具(ウォーターポット)を受け取ると何かを考え込む。


「どうしたのアレン。」


「名前以外なにも覚えていないんだろ?」

「そうだよ、なにも覚えていない。」


 神からの設定(約束)だが、嘘をつくのは心が痛む。


「ジンは、どこかの貴族なんじゃないのか?」

「えっ! 俺が、何で?」


収納鞄(マジックバック)を持ってるしな。」

収納鞄(これ)って貴族が持つ物なの?」


「貴族の持ち物ってわけじゃないが、普通の人は高価で持てない代物なんだ。」

「アレンも持っているってことは、お貴族様?」


「いや違う違う、俺達傭兵は護衛の旅をしたり、魔物の素材などを運ぶから仕事上必須なんだよ。収納鞄(コレ)を買うためにどれだけ苦労したか。」


 アレンの言葉でジンは疑問に思う。


「なあアレン、収納鞄(マジックバック)があれば、この行商団も馬車3台なんていらないよな。」

「あのなジン・・・。」


 そんな甘い物ではないとアレンは説明する。

 基本、収納鞄(マジックバック)は入れ口より大きい物は入らない。

 大型の収納鞄(マジックバック)もあるが収納鞄(マジックバック)も魔道具なので中身を取り出すときには魔力が必要で、取り出す物が大きいければ大きいほど大量の魔力が必要となり、取り出す物が大量にあるときや大きい物ある場合は、魔法使いを雇うことになる。


 魔法使いは少なく、そのような依頼をすれば依頼料をふんだくられたり、最悪収納鞄(マジックバック)の中身を盗まれたりもするらしい。 

 

 もし行商中に盗賊に襲われた場合、馬車があれば積荷を囮にして逃げられるが、収納鞄(マジックバック)だけに品物を入れていたら確実に命を奪われてしまうだろう。

 

 そもそも収納鞄(マジックバック)が高価なので、行商で使っていたら「狙ってくれ」といっているようなもので、腕に自信のある者以外は、なるべく小型な物を隠して持ち歩くのだと。

 

 行商人1人に複数の護衛という手もあるのだが、手紙などの配達業務ならよいが、行商となると立ち寄る街でも取引があるため、そう上手くいかないのだと。


 ジンをその話を聞き納得するが、アレンはなにか言いたそうだ。


「なにアレン、まだなにかあるの?」

「ジンが貴族じゃないかと思うことが、もう一つあるんだ。」

「もう一つ?」


「ああ、ジンは唯一使える魔法が火の魔法なんだよな。」

「そうだけど、火の魔法が貴族となにが関係あるんだ?」


 ジンの疑問にアレンは説明する。


 なんでも魔法を1つ覚えるには、初級魔法でも数年の歳月を有するものだなんだと。


 魔法の才能があったとしても、全員がマリーみたいに傭兵をしているわけではない。


 当然金を稼ぐ手段として使える魔法を覚えるのが普通であり、需要が高い水魔法か土魔法のどちらかを選ぶらしい。


 風魔法は水魔法と合わせると氷魔法となるため風魔法も覚える者もいるが、最初から火の魔法を選ぶ者は少なく、天才や変人それと生活に困ることのない貴族に多いらしい。


「その中だったら俺は変人かな?」


 ジンは笑って答えるとアレンの推理はまだ続く。


「ただの貴族じゃなくてどこかの王族って線もあるな、後継者争いに負け記憶を消され、逃がされたとか。」


「ますますないって!」


「でも記憶ないんだろ?いい線いってると思うぞ俺の予想。」

「ないない。」


「あっ! ゴメンな、記憶なくして辛いの思いしるのにさ。」

「別に気にしてないよ。」


「心配するなジン! 俺がみつけてやるよ。」


 アレンの言葉に苦笑いをし感謝をするも、記憶喪失(ウソ)への罪悪感が襲う。


 どういう顔をして良いかわからいので話題をかえる。


「街までどれくらい?」


「目的地のドマドラまでは、まだまだ先だな! その前に今日はターキという宿場町で1日滞在する予定だ。」


 アレンの話では、大きな都市と都市を結ぶ街道には宿場町と村が幾つもあるそうだ。


 夜は魔物や盗賊の活動が活発になるため、なるべく夜営をせずに済むよう各領地ごと街道を管理し、行商人の安全をまもっているらしい。


 行商人に何かあれば食糧の搬入ができなくなり食料不足の問題も出てくるためだ。





 しばらく走ると木造の柵が見える。


「ジン見えたぞ、ターキだ。」

「あそこ?」


 どうやらあの柵が宿場街のようだ。

 柵といっても丸太を刺しただけの物だ。


(あれが宿場町? まぁ移動手段が馬車の時点で覚悟はしてたけど・・・寝る場所とメシは大丈夫かな?)


 柵を見て文明レベルの低さにジンは不安になる。

 そうこうしているうちに宿場町の門に付く。


 門といってもただの丸太の柵だが、その門の前に警備の兵士が2名いたがそのまま素通りする。


「なんの手続きもしないの?」

「ああ、この街道沿いの街や村なら、この紋章をみせれば大丈夫だ。」


 アレンは馬車の帆を見ろと言わんばかりに親指をクイクイっと向けながらは話す。


 ジンは身を乗りだし帆を見るとそこにはトーマス紹介の紋章が書いてあった。


「へー、全然気付かなかった。」

「まぁ、大きな都市じゃダメだけどな。」


 ジンは前を向くと無数の建物を見て驚く。


(すげぇ! 元の世界でも通用する建物じゃん。)


 さすがに高層ビルはないが、6階建ての建物もあり道も舗装されている。


「ここが宿場町?」

「栄えているのは街道沿いだけで、少し離れれば普通の町だよ。」


 そうこうしていると、馬車が大な建物の前に止まる。


「よーし、着いたぞ!」


 アレンはそう言いうが、トーマス紹介の人が1人降りただけだけで他の人は誰も降りない。

 降りたトーマス商会の人が建物の中に入る。


「まずは1軒目か。」

「まずは1軒目って?」

「この人数だろ、空きがあればいいがな。」


(ネットとか無いし、当日の団体予約は難しいよな。)


 目の前の建物は綺麗な造りでとても大きい。

 

(これだけ綺麗な建物なら大丈夫だろう。)


 ジンはこの建物に決まってくれと願う。

 少しすると建物からトーマス商会の人が出てきてトーマスと話している。


 トーマス商会の人達が何やら作業をし始めた頃、トーマスがジンとアレンの元のへとやってくる。


「アレンさん、今日はここに決まりました。」

「1軒目で決まるなんてツイてますね。」


 2人の会話を聞いてジンはガッツポーズを取る。

 それを見ていたアレンとトーマスは笑ってた。


 


 それから部屋割の話をされる。

 トーマス商介の人は全員で18人おりトーマス以外は4人ひと部屋だ。

 護衛は争い事を避ける為に各チームごとの部屋となる。


 マリーは怪我人のクウと2人部屋で、ビックとウッジも部屋を用意されたが遺体と過ごすと言い、トーマス商会の馬車の見張り番と一緒に納屋いることにしたそうだ。


 ビックとウッジのことを考えると、ここに泊まれると浮かれてた自分に嫌気が差す。

 アレンがジンの様子に気付き声をかける。


「ジン、今日はお前の歓迎会をするぞ! ね、トーマスさん。」

「ええ、ジンさんは命の恩人です。今日は盛大にいきましょう。」


 20代であろうアレンに38歳のジンが気を使わせてしまった。

 この世界に生き、死を身近見てきたアレンはとても20代とはおもえない。

 アレンはさらに、


「ジンさえ良ければ部屋一緒にしないか?」


 アレンは野良だ。

 トーマス同様に1人部屋なのだがジンに気を気遣っての提案だ。


(アレン、俺が女ならマジで惚れてるぞ。)


 ジンは心の中で呟く。


「うん。」


ジンはアレンに返事をする。


「トーマスさん、そういうことなんでジンと相部屋でお願い。」

「わかりました。そのように手配させます。」

 

トーマスはニコリと笑ってくれた。

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