表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アフターストーリーのその先へ  作者: 四反田三助
3/12

02話 神の願い

「異世界転生ですか?」


 神の願いを聞いて驚く。

 自分が死んだという事実の次は異世界転生だと・・・。


「そう、異世界に転生してさぁ、問題を解決しきて欲しいんだよねぇ。」

「問題ですか・・・詳しい説明をお願いします。」


 神は頷き、説明を始めた。


 異世界・・・

 そこには魔法もあり、人を襲う魔物もいる世界。


 その異世界に約30年ほど前、争い好きの神によって魔人という種族に王が誕生した。


 魔人は人間に比べ、強靭な肉体と強大な魔力を持つ種族で時折、人間の国を襲っては物資などを奪い取っていた。

 だが魔人同士は群れることを嫌いっていたため、脆弱な人間でも大勢の人で対抗すれば、なんとか追い払うことはできていた。


 だが魔人の王の誕生により、魔人同士が手を結び人間の国へと侵攻を開始した。

 魔人同士が手を組んだだけでも脅威だったのだが、それ以上に魔人の王が強すぎた。


 魔人の王はたった1人で、人間の国1つを滅ぼすほどだった。


 その噂は瞬く間に広がり、これまで人間に虐げられていた他の種族たちも、魔人の王の元へと集まりだし、気づけば魔人たちの勢力は拡大し、この30年の間で5つの国が制圧された。

 

魔人の王は人々に恐れられ魔王と呼ばれだした。

このままでは魔王に、この世界を支配されしまうと恐怖した人々は神に祈りだした。


『どうか魔王の脅威から我々をお守りください』と。


 その声に、人間好きの神が答えた。

 人間好きの神は、魔王に対抗できる力として、ひとりの人間に勇者の力を授けた。


 これで人々は救われるとおもったのだが、勇者の力を授かって10年、未だ活躍したという噂は聞えてこないという・・・。





「その勇者ってどこで、何をしているんですか?」

「それがさぁ、わからないだよねぇ。」


 神はため息をついて話し出す。

 

なんでも他の神から恩寵を与えられた人物は、その神の使徒となるため本人が望まぬ限り、他の神からの干渉は一切許さなという。

 

そのため勇者や魔王についての情報は誰かの噂からしか得ることができないのだと。


「その活躍していない勇者を探して、一緒に魔王を倒せってことですか?」

「ちょーっと違うかなぁ、一緒にじゃなくて勇者に正体がバレないように陰なら魔王討伐のサポートをしいて欲しいんだよねぇ。」


「バレないようにですか?」

「そう! バレるとさぁ、勇者を誕生させた神が、良くおもわないんじゃないかなってぇ。」


(良くおもわないって、わからなくもないけど・・・。)


 神同士にも色々とあるんだなと想像する。


「陰ならって、何をすればいいですか?」

「そうだねぇ、まず勇者を探し出してぇ、魔王討伐へ導いて欲しいかなぁ。」


(魔王討伐に導くって、やる気が無いヤツだったら面倒だな・・・)


 最近の学生バイトを想像する。


(まぁ「お前が勇者だ! 魔王を討伐してこい。」って言われるよりはマシか・・・)


 今時のRPGですら、勇者が魔王を討伐する物語なんてほとんどみかけない。


「因みにだけどぉ、転生は2年後だからぁ。」

「2年後ですか?」


「そう、2年後だねぇ、もっと早くしたいけどさぁ、どうしても準備に2年かかるんだぁ」

「2年後ってことは、勇者は魔王を倒してるかもしれないですね。」

「そうかもしれないねぇ。」


(この10年なんの活躍もしていないとなると、2年じゃ無理か・・・。)


 淡い期待はやめる。


「勇者が魔王を討伐したら、俺ってどうなるんですか? 異世界でのんびりと第二の人生を送っても?」


 できればなんの拘束もなく、魔法がある世界を満喫したい。


「討伐後すぐにってのは無理かなぁ、そもそも魔王討伐ってのは、お願いの通過点に過ぎないからさぁ。」


 神の願いについての説明にはまだ続きがあった。


 勇者が魔王を討伐した後は、魔人と魔王に加勢した種族を人間から守って欲しいのだと。

 魔王が討伐されれば、今度は人間側が魔王に加担した者への報復が始まるだろう。

 

そうなれば争いの連鎖がずっと続き、いつまでも平和な世が訪れない。

 そこで争いの連鎖に終止符を打つことこそが、神の本当の願いなのだと。


「えええええ、無理ですよ! 荷が重すぎますって。」


「そんなことないよぉ、ジン君にならできるってぇ。このお願い聞いてくれた後ならさぁ、異世界でのんびりと第二の人生を送ってもいいらさぁ。」


「いやいやいや、人生かけないとダメな案件じゃないですか。」


(これなら「魔王を討伐してこい」って言われたほうがマシじゃないか。)


 普通のRPGなら魔王討伐で終わる。

 だがこの神の願いは、本編+アフターストーリの攻略も込みなのだ。

 しかも、自分は主人公ではなく黒衣としてだ。


「かなり面倒臭いですね、いっそのこと放っておくってのはどうですか?」

「それじゃ、人間か魔人のどちらか滅んでしまうんだよぉ」


 つい本音が出てしまった。

 10年経っても未だ活躍してない勇者が、魔王を討伐するってだけでも難しいのに、その後の停戦協定まで結ばせるなんて、少し考えただけで無理だとわかる。


「なんで俺なんですか?」


 本当になんで自分なんだと疑問を感じ、神に聞いてみる。


「それはねぇ、ジン君は魔人だけじゃなくてさぁ、人間相手でも非情になれるからだねぇ。」


 神は言う、魔人も人間も害をなすなら殺しても良いと・・・。

 その言葉に正直、引いたが勇者が魔王を倒した後は、人間相手に事を構えなくてはいけない。

 魔王討伐を邪魔する者はもちろん討伐後、邪魔になりそうな者も事前に処分してもいいそうだ。


(神様からしたら人間も魔人も関係ないか・・・ってこの神様は、なんの神様なんだ?)


 ニコニコと笑うこの神はいったい、なんの神なのか気になった。


「魔王は争い好きの神様で、勇者は人間好きの神様なんですよね? で神様はなんの神様なんですか?」


 目の前いる神に直接聞いてみる。


「そうだねぇ、強いて言うなら調和を愛する神かなぁ」


 神が笑いながら答える。


「いやいやいや、調和じゃなく八方美人の神様ですよ!」


 アリエルが神にツッコミを入れる。

 今まで黙って後ろに立っていた美人天使の急なツッコミにアリエルを見る。


「アリエルあなたは、自分の主に対してなんてことを言うんですか。主様はとても優しく、皆の幸福を何よりも考えておられる神様です。言うなれば幸福の神様です。」


「悪魔は黙ってなさい! 他の神たちのことなど私はどうでも良いのよ。なぜ他の神たちの尻拭いをしなければならいですか? もとは、他の神が勝手に始めたこじゃない。」


「皆の幸福を考え、争いに終止符を打つために主様が行動をおこされたのですよ。」

「なにも他の神の体裁まで考えずとも良いではないですか。」


「主様は神々の幸福まで考えておられるのです。」


「それが八方美人と言っているのよ。それに私たち天使だけではなく、こんな悪魔まで従える神なんて、八方美人以外なんていうですか?」


「そんなこと言うなんて、あなたは本当に天使なのですか。」



「まぁまぁ2人とも落ち着いてぇ、ジン君が引いているからさぁ。」


 神がアリエルとベリトを止める。

 神はいつものことなのだろうか、平然としていた。


(うわぁ、天使と悪魔が言い争いって・・・神の世界も複雑そうだな。)


 天使と悪魔の口論をみれるなんて感激だ。

 ゴホン! っと神は咳払いをして、この場を仕切り直す。


「このお願い聞いてくれるかなぁ」

「断るって選択肢はあるんですか?」


「一応あるけどぉ、えー、断るのぉ?」

「断った場合ってどうなるんですか?」

「ジン君はすでに死んでるわけだからねぇ。」


 神は最後まで言わないが聞かなくてもわかる。

 まだ生きていたい、それに魔法がある異世界ってのも魅力的なのだが・・・。

 魔王を討伐し、停戦協定を結ぶよう陰で支えろだなんて自分には無理だ。


「そんなに重くかんがえないでよぉ、転生したら自由に行動してもらっていいしさぁ、それにジン君の前にも転生者は2人いてねぇ、転生先の異世界はかなり住みやすくなってるはずだよぉ。」


 なんでもその1人が発明家だったらしく、魔法の力を利用し色々な物を造りだしたという。

 その発明家のおかげでだいぶ文明レベルが上がり人々の暮らしは豊になったのだと。


 そしてもう1人の転生者は、発明家よりもっと前の時代に転生した人物で、その時代に誕生した魔王との戦争を終わらせた人物だという。

 

この人物は勇者などではないが、魔王に対抗する組織を作り魔王を討伐したという。


 2人とも何百年も前の人らしく、すでに亡くなっているらしい。


「まさか10年前に勇者の力を授かった人って、転生者なんですか?」

「それは違うとおもうよぉ、まぁ絶対とないとは言い切れないけどねぇ。」


 もしも勇者が転生者だったら、停戦協定もスムーズにいくのではと少し期待してしまった。

 だが前任とはいえ2人も転生者がいたのだ。


「わかりました。やります。」


 決意が固まる。


「本当! ジン君ならそう言ってくれると信じてたよぉ。」


 神は大喜びし、後ろに控えるアリエルとベリトも喜んでくれた。


「転生特典にジン君にはぁ 特別な肉体(からだ)を用意するからさぁ。」

肉体(からだ)ですか?」


 山田は既に死んでおり、魂のみの存在である。

 当然、異世界に行くには生身の肉体(からだ)が必要となるため、神が用意してくれるという。


 先ほど転生するのに2年の準備が必要と言っていたのは、魂が新しい肉体(からだ)に定着するまでの期間だそうだ。


 その用意する新しい肉体(からだ)は人間と魔人を融合させた特別制なのだと。

 調和の神なので肉体(からだ)も人間と魔人との調和をとったと笑いながら言われた。


 この新しい肉体(からだ)は魔人と人間のハーフなので3年に1歳しか歳を取らないというのだ。

 魔人は長命種なため5年に1歳のペースでしか歳を取らず、エルフなども同様に長命種だとういう。

 

異世界では人間よりに比べ長命種が多く存在するため、神の願いを聞いた後は、人間などといるよりも、エルフなどの長命種族と過ごすことを進められた。


 長寿以外にも、この肉体(からだ)には、神からの恩寵である能力を授けてくれるらしいが、転生するまでに2年もかかるため、状況の変化をに合わせ、転生後に恩寵を授けてくれるということになったのだ。


 だが転生後、すぐにでも魔法が使いたいと神にお願いしたところ、なんとか『火魔法【球】(ファイアボール)』という魔法だけ使えるようしてくれた。



 それと、この肉体(からだ)の注意点も言われた。

 この新しい肉体(からだ)では、どんなに鍛錬しても魔王を倒すことはできないらしい。


 厳密には倒せないではなく、殺せないっといったほうがよいだろう。

 

新しい肉体(からだ)は鍛錬を積めば、魔王にも勝てるポテンシャルを秘めているそうだが、魔王を倒すのは勇者の使命なので、万が一が起きないよう魔王にトドメを刺せないよう制約がかかっている。


 勇者を誕生させた神への配慮だろう。


 能力については以上で、次は転生後の所持品についての説明をうけた。


 まず収納鞄(マジックバック)っというゲームのような、アイテムを無限に所持できるバックをくれるらしい。

 だが転生後はゲームではないので死んだら最後、死なないように回復薬(ポーション)と千切れた四肢をも繋ぎ合わせることのできる上回復薬(ハイポーション)に剣やナイフといった武器も用意してくれるそうだ。


 勿論お金も沢山くれるんだと思いきや・・・。


「ジン君にお金を渡したらさぁ、怠けて遊びまくるでしょ。だからお金は自力でなんとかしてねぇ。」

「えー、マジすか。」


 当たっている。

 さすが神だと関心しするが、知らない世界で無一文は不安である。


「少しくらいは、くれますよね?」

「んー、ダメぇ。」


「お金ないと、路頭に迷ったときどうするんですかー。」

「大丈夫、路頭に迷わないように、迎えの人を送るからぁ。」


 やはり、お金はくれないようなのであきらめた。


 ひと通りの説明が終わり最終確認がされる。


「いいかい、まずは転生した先に迎えの人を用意するからさぁ、必ず神殿を目指してねぇ。」

「わかりました。神殿ですね。」


「神殿に着いたらぁ、神を祀っている場所で僕を呼んでぇ、そうすれば僕と交信できるはずだからさぁ。」

「わかりました。」


「転生後はぁ、記憶を無くしたフリをするんだよぉ、転生者とバレると厄介だからさぁ。」

「記憶喪失のフリですね。」


「それと名前はジン。苗字がないだだのしジンだからねぇ。」

「ジンですね。わかりました。」


「以上だけど何か聞きたいことはぁ?」


 疑問に思っていたことを聞いてみる。


「勇者が魔王を倒してしまったら、魔王を誕生させた神様は勇者の神様に対して怒らないんですか?」

「それは大丈夫かなぁ、争いが生まれるのが目的だったからねぇ、魔王が討伐されようが気にしないとおもうよぉ。」

「魔王討伐後に俺が魔王軍に入っても大丈夫なんですか? 今度は勇者の神が怒るんじゃ・・・。」

「ジン君がぁ、魔王にならなければ大丈夫だよぉ。」

「絶対にならないですよ。魔王になんてまさか・・・。」


 魔王なんてとんでもない、これ以上事態をややこしくしたくはないのだ。

 早く解決して、残りの人生はのんびりと異世界ライフを送るのだ。



「神様、最後に1ついいですか?」

「いいよぉ。」


「残した妻のことお願います。」

「それは大丈夫。結構な額の保険金が入るみたいだからさぁ、」


 神は笑いながら言う。


 その言葉に安心するが、なんだか納得はできない。


「そろそろ準備はいいかなぁ?」

「わかりました。いいですよ。」

「じゃ行くよぉ そぉーれぇ。」


 神の言葉を聞きジンは気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ