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アフターストーリーのその先へ  作者: 四反田三助
11/12

10話 入市審査

 ジンとアレンは旅の支度をする。


 顔を洗い、昨日買った防具とマントを羽織りる。

 収納鞄(マジックバック)は持っていることを悟られないよう、腰の後ろへと身に着け、剣も腰へと帯びる。


 ロービーへ降りるとトーマス商会の人達も出発の準備をいていた。

 皆に挨拶をし、邪魔にならないよう昨日と同じ椅子へと座る。


 クウがトーマス商会の人に抱えられ馬車に運ばれる。

 痛々しい光景だが、棺桶を見るよりは凹まない。


 ジンも馬車へ乗り、しばらくすると走り出した。


 今日はビックとウッジが先頭でジンは3台目に乗っている。


 アレンは相変わらず御者をしているがジンは荷台にいた。

 荷台ではケイトとアンから都市へ入るときの注意事項を教わっていた。


「良いかい、アンタは旅の途中で身分証を無くしたってことにするんだよ。」


「そうです! ジンさんは旅の途中で、このトーマス商会の馬車を助けた。と言うんですよ! あとはトーマス様がなんとかしてくれます。」


 記憶喪失だと怪しまれるので、トーマスが考えた設定である。


 ケイトとアンが一所懸命に説明してくれるが、どうしても今朝の事が気にって2人の話が入ってこない。


(いやぁ、それにしても俺の息子ちゃんは御立派でしんたなぁ。)


「ジンさん! 聞いてますか?」


「え? ああ、聞いてますよ、えっと身分証をなくしたんってことにするんですよね。」


「はい。そうです。」


(この息子、早く使ってみたいな・・・よーし、異世界の女を無双してやぞー! なんちゃって。)


「ジンさん、どうかしたんですか? 何か変ですよ。」

「いやーそんなことないですよ、ハハハ。」


 ジンは苦笑いをすると、またも考え込む。


(この異世界にもエッチなお店ってあるのかな? あったとしても年齢制限とかありそうだな・・・成人は16歳だから問題ないか。)


 流石にそんなことは、ケイトとアンに聞けない。


「よし! 決めた、俺は21歳でいく。」


「急にどうしたんですかジンさん、びっくりしたじゃないですか。」


「そうだよアンタ! どうしたんだい。」


「いやーなんとなく記憶が戻るまで21歳ってことにしようかなと。」


 2人からはどうみても21歳には見えないと言われたが、ジンは改めて21歳でいくと決意する。




 3人で談笑していると、御者台のアレンが声をかけてきた。


「おーい、ジン。街が見えてきたぞ。」


 ジンは御者台に顔を出す。


 アレンが顎をクイッと動かすのでその先を見る。

 目を凝らすと、遠くに建物らしき物が見えた。


「案外早くつきそうだね。」

「着いてからが長いんだ。」


 ジンが不思議そうな顔をするとアンが、


「持ち込んではいけない物がないか、入市時に荷物を検査されるんです。」


「それで時間がかかるって訳ね! さすがに3台分だもんな。」


 ジンは荷台の荷物を眺めなら呟くと、アンとケイトが顔を見合わせてクスッと笑う。


 首を傾げるジンに


「門兵の人達が、賄賂欲しさにわざと検査を送らせるんですよ。」


「嫌なヤツに当たるとねぇ、半日は難癖つけてくるからねぇ、ホント困ったもんだよ。」


 アンとケイトが嫌な顔をするとアレンが、


「特にジン、覚悟しておけよ。」


 ジンはアレンの言葉で不安にる。


 街へと近づくにつれ高い城壁がハッキリと見えてくる。

 城門らしき場所からは長い列が出来ていた。


「あれ全部街へ入る人?」

「そうだあの人たち全部だよ。」


 ジンたちも列へ並ぶ。

 城壁の立派さにジンはワクワクが抑えきれず、御者台へ移動し城壁を見上げる。


(凄い城壁だな・・・)


 城壁に見とれていると、アレンに座る注意された。



 結構な時間列に並んでいるが、進みが悪い。

 そこでジンはあることに気付く。


「なあアレン、この街道って、俺らだけだったよな? どこにこんな人がいたんだ?」


「街道はここだけじゃないしアレを見ろ。」


 アレンが指差すほうを見る。


「アレは?」

「あれは転移門(ワープゲート)だ。」


「ワープって、あのワープのこと? どこに行けるのさ?」

「王都だよ。」


(スゲェ、ワープまであるなんて!)


「アレも魔道具?」

「そうだ! 因みに転移門(ワープゲート)に使う大量の魔力は罪人から吸い取っているんだ。」


「マジで・・・でもさ、転移門(アレ)を使えば一瞬で王都なんだよな? 俺も王都に行くときがあれば使ってみるか。」


「それはちょっと無理かもな、転移門(アレ)の使用料は高額でな、俺も貴族の護衛で1度しか通ったことがない。それにな、金があっても常に予約が埋まっていて、俺たちみたいな者が通れるのは数ヶ月先だろうな。」


「そうなんだ。」


(簡単に利用できたら、こうやって馬車3台で行商なんてしないよな。)


 ジンはガッカリしながら転移門(ワープゲート)を眺めていると転移門(そこ)から出てきた人が優先で街へと入ってく。


(それゃ当然だよな。でも転移門(アレ)がを使えば旅も楽できそうだな。)


 そんなことを考えているとトーマスに呼ばれた。


「ジンさん、私と一緒に来て下さい。」


 ジンはトーマスと門兵の詰所へ行く。


 詰め所に着くがなんだか中が騒がしい。


 詰め所からは、「早くしてくれ!」や「どこぞの貴族の使いだ」や「領主に至急来るように言われている」などの大声が聞こえてきた。


 ジンは詰め所に入ることを躊躇するが、トーマスが平然と中へと入ろうとする。


「なにか揉めているっぽいのですよ。出直したほうが・・・」


「ああ、いつものことですから、さぁ行きますよ! ジンさん。」


 トーマスは扉を開け中へと入る。

 ジンも続き中へと入ると、門兵が2人と行商団の代表らしき者が3人がいた。


 門兵は新人なのか2人とも若い。

 そんな若い門兵がジンたちを嫌な顔で見る。


「ココに来ても検査は早くならないぞ!」

「いえ、そいうお願いではないです。」

「ならなんの用だ。」


 門兵は怪訝そうな顔をするがトーマスは気にしない。


「バンス隊長を呼んで頂けますか?」

「隊長を? ダメだ、バンス隊長は忙しい。」


「トーマス商会といって頂ければ、隊長もわかると思います。」

「トーマス商会?」


 商会名を名乗るトーマスの姿にジンはカッコイイと思った。


 だが言われた門兵は、トーマス商会がわからなかったのか、もう一人の門兵を見る。

 もう一人のほうもわからないのか首を傾げる。


「どこの商会だろうがダメだ。」


 門兵の反応を見て、ジンは気まずくなるが、先ほどまで騒いでいた行商人たちは、驚い表情をし、黙って詰め所から出ていった。


 ジンは諦めたんだなと出て行く行商人を見ていた。 


 門兵もその姿を見ており、顎をクイッと動かし、トーマスにお前も出ていけとジェスチャーする。


 それに対してトーマスは、


「これは出したく無かったのですがね。」


 そう言い、内ポケットから懐中時計のような物を出すと、それを若い門兵に見せる。


「バンス隊長をすぐに呼んで下さい。」

「そんな物見せ・・・ハイ! すぐ呼んできます。」


 門兵は慌てて奥へ入って行った。

 トーマスの姿は、まるで水戸の老人を彷彿とさせた。


 もう一人の若い門兵はバツが悪そうに平謝りをするので、ジンはトーマスに聞く。


「何をみせたんですか?」

「これですか? これはですね、商人の秘密の武器です。」


 と笑って返された。


 すると奥から、髭を生やした中年の兵士が出てきた。

 その風防はいかにも歴戦の戦士って感じだ。


「やはりトーマスさんでしたか、ウチの新米が無礼を働いたようで。」


「いえいえ、これも任務ですからね。どうか彼らを怒らないてあげて下さい。」


「トーマスさんがそう言うのなら、それでどうされたんですか?」


「領主様に報告したほうが良いと思いまして。」

「ほう、それは・・・」


 トーマスがバンスにこれまでのことを説明した。


「―――でこれが2人の埋葬証明とこちらの方が、ジンさんです。」


「君がか・・・なんと言うか、トーマスさんを疑う訳じゃないのですが、護衛のレベルに問題が・・・」


(でよねぇ、俺の見た目からしたら疑うのも分かるよ。)


 バンスがジンに対して何を思ったか理解できた。


 だがジンの後ろから、


「俺だけじゃなくマリーの魔法も効かなかったんです。」


 様子を見にきていたアレンが援護してくる。


「おー! アレン、お前が警護に着いていたのか。」

「そうです! 実際ジンがいなければ、かなりヤバかったです。」


 バンスとアレンは知り合いだったようで、バンスはアレンからも状況を聞きいた。


 聞き終えたバンスは顎髭をイジり、何かを考えている。


「マリーの魔法がね・・・よし分かった。領主様には報告しよう。と言いたいところだが、今は領主様が不在でな、騎士団へ報告を入れとく。」


「よろしくお願いします。私は傭兵協会と商工協会に報告しますので。」


 トーマスも報告することと告げると、バンスのはからいでトーマス商会の検査は優先されることになった。


 トーマスは手続きがあるため、ジンをアレンに任せ詰め所から出ていってしまった。


「ジン君だったな。君の通行に関してだが、お尋ね者かどうかを調べた後、規定の入市税を納めてくれたら許可を出すよ。」


「バンスさんで良かったなジン。他の門兵だったらアレコレ調べられるところだったな。」


 アレンの言葉にバンスが反応する。


「調べられて困ることでもあるのか?」


 そう言われアレンはジンの記憶喪失のことを伝える。


「記憶が無く、街道沿いの森の中でね・・・最近、色々なことが起きているな。」


「何かあったんですか?」


 アレンが訪ねると、バンスはまたもや顎髭を触りだす。


「数日前に木こりの男が魔物に襲われてな、神殿に運び込まれたとおもったら、その神殿の連中が護衛と共に調査だと言い街から出ていったんだ。」


 そう言うとバンスはジンの前に白いプレートを置いた。

 どうやらコレでお尋ね者かを調べるようだ。


「さ、これに手を置いて。」


 ジンはプレートに右手を置くと青く輝いた。


「よーし大丈夫だ。だが念のため、夕方の更新まで待ってから通行許可を出す。」


 バンスにそう言われ詰め所で更新を待つことになった。


 朝夕の1日2回、転移門(ワープゲート)を使って王都と情報交換をしているらしい。



 その後2人でたわいもない会話をし時間を潰していていると、バンスが戻って来た。


「ジン君、問題ないので通ってよし。入市税もトーマスさんから預かっている。」


 トーマス商会は既に街へと入ったようだ。

 ジンはやっと開放おされると喜んでいるとバンスから、


「ジン君、3日以内に身分証を発行して、衛兵の詰所に提出してくれよ。」


 そう言われジンはアレンを見ると、


「わかりまりた。俺が責任持ってやらせますから。」


 と言いジンの背中を押して詰め所を後にした。


「よーし! 行くか。」


 アレンの掛け声にジンも


「行くぞ!」


 と大声で返し、2人は門を通過した。


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