#16 睡眠レシピ
寝る前に、録画した料理番組を見た。アイデアがスゴい。みんな、研究しているんだ。
料理研究家は、料理のことを深くまで、研究しているんだ。
じゃあ、僕は料理研究家にはなれない。レシピ製造家とでも、名乗っておこうか。そうしようかな。
並行して、スマホのレシピサイトを見る。そして、料理本も眺めた。
見るだけ、眺めるだけだ。それだけでいいんだ。他の人と違うのは、意識を向けなくていいこと。
覚えようとしなくても、一夜で知識が脳にいる。そんな状態になるのだ。
朝起きると、知識がいた。脳内に、斬新なレシピがいた。
レシピサイト、料理本、料理番組。それらのいいところを取った、斬新レシピが思い付いた。
これは、誰も思い付くはずがない。ハイパーレシピだ。だって、一夜づけは、僕だけのものだから。
早速それを、スマホメモに書き留めた。レシピが、順番を待っている。もうひとつ、またひとつと、レシピが思い付いてゆく。
親指を、縦横無尽に動かしていた。タップしたり、すべらせたり。
そこで、スマホが鳴った。彼女からだろうと、脳は決めてかかった。
やはり、そうだった。『朝も来てほしい』『朝から頼みたいことが』そう書いてあった。